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白川町商店街とはじめてのそっくり王国

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――あなたには、ありのままのあなたを受け入れてくれる街はありますか? そしてその街は、どんな街ですか? 目が涙で腫れて、腫れぼったい恥ずかしい顔をしている斎藤 要(さいとう かなめ)の顔が、鏡越しに反射した。 「こんな不細工な顔をしていたんだ」顔を真っ赤にしながら、涙で過呼吸気味な僕は、この人生をもがき生きるために大量の水を口に含んだ。 生きているという証が感じられた。 生きているということは、惨めな姿を受け入れ、そして受け入れてくれる人を大切にすることだ。 急行電車が通り過ぎた。手で一生懸命、真っ赤な頬を隠しながらアパートに帰る。 「ここはもう、自分がいて良い場所じゃない」 そう要は呟くと、家具や自分の所有物をまとめ始めた。 「また次の街へ引っ越そう」 次の街は、人情味溢れるノスタルジックな街だった。 要が引っ越した新しい街は、昔ながらの商店街が賑わう街だった。 たまにテレビ取材も来るような大型の商店街の街で、休日になると人がごった返している。 ただ引っ越した初日は人ごみが少なく、要を受け入れてくれたのは、大がかりの取材陣だった。 「ここで殺傷事件が起きました」 色々あった要は、一瞬驚くことがあっても、都心部の中でも賃料の安い地域に住めたこと、また引っ越し先のアパートのすぐ近くのお弁当屋にありつけたことで不安より、安堵に満ちていた。 以前住んでいた街は綺麗で清潔感のあるところだったが、辛い記憶が蘇り、不安と緊張で寝不足が多かった。 「初めて見る顔だね。お弁当、今日はサービスで400円のところ、300円だよ」 空腹が耐えられなかったので300円を差し出し、セールのお弁当を購入した。 「この街で事件は良くあることだけど、悪い街じゃないから、安心してね」 街の周辺は、若い20代の男女と老人が多かった。 周辺の居酒屋は若い人も、ちょっと変わった訳ありおじさんも、よぼよぼと歩いている70代のたくましいおじいさんも、皆集って酒を酌み交わしていた。 「ここの街の歴史を聞くかい! ここの街は物騒な事件が多くてさ~」 店の店主はがはがはと笑いながら、驚くようなことを口にする。 「でも、そんな街が好きで、なんだかんだ言って住み着いてるよ! お兄さんも気に入ってくれると嬉しいよ!」 キンキンに冷えたビールジョッキに注がれた380円のビールは今までどこで飲んだお酒より格別だった。 多分。ここなら好きになれる。 ここなら自分を受け入れてくれる。 目が涙で腫れて、腫れぼったい恥ずかしい顔で、アルコールを一気飲みする。 はじめまして。そして、ただいま。 新しい街は物騒なこともありそうだけど、今日はぐっすりと眠れそうだ。

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