幼なじみの男の子は男らしい女の子で女っぽい幼なじみは男でした

常陸之介寛浩☆第4回歴史時代小説読者賞

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第四章  真実

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   ◆◆◆

 いまだ火の手がおさまらぬ王城の門前にて、兵士達が整列していた。
 全員が銃を持ち、パワーアーマーを着ている。
 先ほどまで戦っていたかのような風貌であり、実際その通りであった。
 いまだ銃身が熱を帯びていると錯覚するほどに、兵士達の心はまだ火照っている。
 その熱を帯びた視線は、前方に歩み現れたある一人の男に注がれ始めた。
 その男は普通の風貌では無かった。
 明らかに量産型とは違う、漆黒のパワーアーマーに男は身を包んでいた。
 細かな装飾が多く、高級感すら感じられる。
 しかし背中に背負った巨大な銃剣がその高級感を打ち消し、黒い威圧感だけを残している。
 何者なのか、それを答えるように、兵士の一人が声を上げた。

「ガタノトーア元帥様に敬礼!」

 その声が響いた直後、整列している全兵士が一挙一動そろえて敬礼の姿勢を取った。
 そんな兵士達の前に立ったガタノトーアは大きく声を響かせた。

「諸君、ご苦労であった! 諸君らはいま、歴史の転換点に立っている! ここが新たな始まりの場であり、それを成しえたのは諸君ら一人一人の奮戦によるものである! ゆえに私は誇りに思う!」

 言いながら、ガタノトーアは近くにある壁に視線を誘導するように手で示した。
 その壁には、十名ほどの人間が並び立たされていた。
 全員が縄で拘束されている。
 麻の袋を頭からかぶせられているため顔はわからない。服装から性別だけは判別できる。
 ガタノトーアはその者達を手で示したまま、再び声を上げた。

「その誇りと共に、最後の仕事をかつての英雄の末裔(まつえい)である、アーサーに任せたいと思う!」

 その声と共に、『かつての英雄の末裔』と称された者が前に歩み出た。
 その者もガタノトーアと同じく、量産型とは違うパワーアーマーに身を包んでいた。
 ガタノトーアとは対照的な銀色の装甲。中世の騎士を思わせる形状をしている。
 兜は着けておらず、端正な顔立ちがあらわになっていた。
 その顔は、既に知る誰かに似ていた。性別が違うが、たしかに似ていた。
 アーサーは壁の前に立ち、拘束されている者達に向かってライフルを構えた。
 そしてアーサーは引き金に指をかけながら思った。

(この場にクラリスがいなくて良かった)と。

 こんな姿を妹に晒すことにならなくて本当に良かったと、己をなぐさめながらアーサーは引き金を引いた。 
 
   第八話 ちっちゃいはかわいい。かわいいは正義。ゆえにちっちゃいは正義 に続く
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