幼なじみの男の子は男らしい女の子で女っぽい幼なじみは男でした

第三章 普通

3-17

「・・・・・・汗臭くない？」

「病人が気にすることではないさ。ってか、臭くないから安心しろ」

臭くなんかない。むしろ千陽の部屋は心地よい甘い匂いに包まれている。

「うん。ありがとう」

「飯は？スポドリは？薬は？」

「うん、お祖母ちゃんも来てくれたから冷蔵庫に入ってるよ、お昼もちゃんと食べたよ、一眠りしたら汗でビショビショになってて着替えている最中だったんだ。・・・・・・昔も風邪ひきの時、心配して来てくれたよね」

「そこまでは覚えてないな」

「リュウちゃんは昔の事みんな忘れちゃう質（たち）なのかな？」

「さぁ～どうなんだろ？なんでもかんでも覚えている方が凄いって。記憶は上書き保存」

「私はリュウちゃんの事は別フォルダーにして大切に保存しているけどね」

今日の千陽は少しお淑やかに見えた。風邪で弱っているからかな？

「ミーもヒロも脳内キャパシティーに余裕あるんだろうな、・・・・・・俺、昔なんかやらかしたらしいじゃん。それ覚えているみたいだし」

目を大きく見開きゴソッと起き上がって千陽は俺の両肩をがしっと掴んだ。