幼なじみの男の子は男らしい女の子で女っぽい幼なじみは男でした

常陸之介寛浩☆第4回歴史時代小説読者賞

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第三章 普通

3-16

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千陽の家に寄りインターフォンを鳴らすと

『あっ、ごめん今出られない鍵開いているはずだから』

中から返事が来たので上がらせて貰う。

千陽の部屋に行く

「うんしょっとに汗で張り付いて脱ぎ辛くて・・・・・・、思ったよりリュウちゃん早いし、着替えの最中だよ」
汗で湿ってしまったシャツを脱ごうとバンザイしているところだった。

ぴったりと張り付いたシャツの裾が丸まってしまい引っかかって上手く脱げない様子、

「ほれ、貸してみろ、前向くなよ」

「うっうん・・・・・・」

背中に張り付いている湿ったシャツをグイグイと脇腹の裾を持ち上げる

「キャッ」

珍しい悲鳴が、

「おっおいなんだよ、変な声出すなよ」

「はははははっ、ごめんごめん。脇腹が性感帯らしい」

「っとに、こんな時に性感帯とか言うなよ。くつぐったかっとでごまかせよな」

さっさと脱がすと綺麗な背中は前屈みになり、用意してあるシャツを手にする千陽。

「待て待て待て待て、ちょっと待ってろ拭いてやるから。タオル脱衣所だよな」

「え?良いよ。あとでシャワー浴びるから。もしかして臭う?」

「全然、臭いとかじゃなくて汗拭かないと冷たくなるだろ、治り遅くなる」

千陽の体臭、秘密だが好きだ。今日はその匂いは強い。黙っておこう。

「あ~ごめんごめん。風邪ひいたの久々で、昔はよくひいていたんだけどね」

脱衣所に行きタオルを取り戻ると、ベッドで背中を向けて正座で待っていた。

「拭くからな、変な声出すなよ」

「はははっ、感じたら出しちゃうよ」

「バーカ、病気の時くらい下ネタから離れろ」

背中の汗を拭き取ると、

「前の汗も拭き取ってくれないかな」

「そんなに拭いて欲しいなら拭いてやるぞ」

いつも俺をからかってくる千陽に勝つには今だろ。

「・・・・・・ごめん。自分で拭く」

後ろ手にタオルを取り、前を素早く拭くとシャツとパジャマをすぐに着た。
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