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プロローグ

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『人間とはなんだ!』

人間と言う定義は、なんなのであろうか?

ホモサピエンス、知性を獲得した猿?

人間は地球上で一番繁栄し、地球を支配している生物ではあるが、進化は止まったのだろうか?

いや、自ら進化することを捨てた存在なのではないか?

拒否をしているのではないか?

人間は幾年の歳月をかけ、あらゆる技術を進化させてきた。

それは医療においてもだ。

古代は呪術、呪い(まじない)の類いだった医療に、自然の動植物から得た力、漢方などと呼ばれる物を摂取するようになり、カビから作られる抗生物質の発見によりウイルス・菌に打ち勝つ医療的・技術的進化を成し遂げてきた。

外科的医療にも、切除、移植技術の進歩を手に入れ、中には機械を体に埋め込むことで病気に打ち勝つ事ができるようになった。

そのおかげで人間は長寿を手に入れた。

そして、現在、人類は新たなる技術、遺伝子治療の技術を手に入れた。

しかし、それを使う事を断固として阻む者共がいる。

その者どもは『倫理』『神の領域』『神への冒涜』などと言う、あたかも大義名分であるかのように声高々に主張して。

なら、開腹手術は倫理的に許される行為なのか?

肉体を傷付け臓器を取り出す事は『神の領域』ではないのか?

機械を体に埋め込むことは、生物学的『倫理』として許される行為なのか?

脳死判定と言う曖昧な『死』の名のもとに、まだ息をしている人間から臓器を取り出す事は、それこそが『神の領域』を侵している行為なのではないのか?

異常になっている遺伝子を修正することがなぜにいけない?

様々な病気を根絶するために遺伝子を改造することがなぜにいけない?

老化をとめる技術すら手に入れたのに、なぜに老化を受け入れ、死をまたなければならない?

人間が、人類が、遺伝子に手を加える技術を手にしてしまったとき、それは最早、『神の領域』ではない。

人間が獲た技術でしかない。

俺は、この技術を使う。

新たなる治療技術確立への一歩を踏み出すのだ。

人間が次への一歩を踏み出すときなのだ。

神よ、それが神の領域と言うなら我を罰せよ。

これが人間が得るべくして獲た力なら我に助けを与えよ。

人間の進化を拒んでみせよ。

悪魔に魂を売ったと罵られようと私は踏み出す。

新たな世界の一歩を。
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