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1626年 第七回偕楽園世界水戸の梅祭りと世界異臭食品珍味祭り
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1626年三月三日
第七回偕楽園世界水戸の梅祭りと世界異臭食品珍味祭りが開催された。
昨年は正長暗殺未遂事件により開催がされなかったため二年ぶりの開催、そして新世界異臭食品珍味堂のお披露目もかねて盛大な開催となった。
天気はまるで誰かが操作したかのように快晴で春の麗らかな陽気に包まれていた。
満開と見頃を迎えた梅林に、鶯、目白が花の蜜を啄む和やかな偕楽園。
今年は千波湖の対岸に新築となった新世界異臭食品珍味堂の銅板の黄金に輝く屋根が光を指していた。
毎年、目には見えないはずの臭いが空気をどよめかせ黒い陽炎に包まれていた建物だったが今年は最上階から黒い陽炎が上空へと伸びていた。
異臭は上空へと上り異臭の苦情はなく、偕楽園もその周辺も梅の甘い香りに春を感じさせていた。
もちろん、偕楽園の梅祭りは来賓客には毎年のごとく喜ばれているが今年は恐るべき事に新世界異臭食品珍味堂も大盛況となっていた。
それは、食品の異臭に合わせてランク付けされ階に別れていたからである。
特に一階の口に入れなければ気にならないような食品は品薄になる程であった。
今年の目玉は異臭食品では無いものな原始的な酒である「口噛み酒」が珍品として出された。
この口噛み酒を配っていたのは美少女五人で、
「私達が作った口噛み酒はいかがですか?」
と、配っていると男どもが列をなして並んでいた。
そんな酒を飲みながらクラッカーに乗せられた納豆やブルーチーズ、鮒寿司は喜ばれる。
例年参加している大使達の中には少し物足りなさを感じ二階へと上がる。
二階でもシュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック・クサヤと強烈な物が用意されていたが臭いが籠っていなく常に新しい空気が吹き抜けを抜けていくため入れないほど強烈な異臭にはならず、自国でなれている大使は異臭珍味を楽しんでいた。
しかし、三階に登る強者?物好きはなかなか現れなかった。
それは、昨年暗殺未遂事件の刺客を自白に追い込んだシュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック内臓ソ-スサンドイッチが出され瘻ためでった。
そこに挑戦者と呼ぶか無謀ものと呼ぶか一人の男が入って言った。
上杉貞勝である。
貞勝は一昨年のシュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック内臓ソ-スのサンドイッチを今一度食べてみたいと言う不思議な魔力によってひきつられていた。
貞勝が三階に登ると、客は誰もいないはずなのに人影が見えた。
しかし、気にせず着座するとカラスマスクをした給仕係がサンドイッチと蛇酒を運んで着た。
「今回こそ、気絶せず食べきってやる」
それは貞勝の意地であった。
パクッ
「グフッ、なんだこれは?ぬお~前回より酷いなんだこれは……」
気が遠退く貞勝のもとに先程見えた人影が近付いてきた。
「シュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック内臓ソ-スにドリアンのヌッタリとした甘さ、そしてなんて表現するべきなのかこの生臭いトドの睾丸スライスさらに刺激を増すカメムシの素揚げが素晴らしいサンドイッチではないか!この付け合わせの生きたままの活きの良いカブトムシの幼虫の甘さで口直しがまた良い」
有り得ない味に進化しているサンドイッチを喜ばしげに口にして味を語る人影を夢幻かと思いながら気絶する貞勝、目を覚ましたのは祭りが終わった深夜であった。
「貞勝殿、また無理をしましたな?」
「正長様、いやはや、面目次第もありません、しかし、あれを喜ばれて食べられていた御人が居られましたが、あれはどこのどなたに御座いますか?」
正長は首を横に捻っていた。
「はて?あれを食されたのは貞勝殿だけと聞いておりますが?」
「いや、しかし、先に居られた御人が」
「ははははは、何かのお間違えでは?」
「では、あれはあのサンドイッチを食べて亡くなった亡霊?」
「貞勝殿、流石に死亡者は出ていませんよ」
「そうですか、失礼いたしました」
上杉貞勝は腑に落ちない様子で帰りの徒についた。
貞勝の話を聞いた正長は大老柳生宗矩を呼び出した。
「あの三階には誰かいたか?」
「それが給仕係も貞勝殿の前に一人いたと言うのですが誰だかわからないのです。しかも、人は確かにいたそうなのですがその人相を思い出そうとすると黄金のような輝きしか思い出せなく人相、体型、姿形など全く思い出せないとのことでございました、料理も確かに一人分は綺麗に皿から無くなっているそうですが」
「ん~そうかそうか、まあ良かろう、今年は世界異臭食品珍味堂も喜ばれたし良かったとしようではないか、これなら父上様もお喜びのはず」
「そうで御座いますね、進化した異臭珍味をきっとお喜びのはずでございますね」
「私にはその良さがわからぬが」
「ははははは」
一人の完食者の謎を残しつつ第七回偕楽園世界水戸の梅祭りと世界異臭食品珍味祭りは閉幕した。
第七回偕楽園世界水戸の梅祭りと世界異臭食品珍味祭りが開催された。
昨年は正長暗殺未遂事件により開催がされなかったため二年ぶりの開催、そして新世界異臭食品珍味堂のお披露目もかねて盛大な開催となった。
天気はまるで誰かが操作したかのように快晴で春の麗らかな陽気に包まれていた。
満開と見頃を迎えた梅林に、鶯、目白が花の蜜を啄む和やかな偕楽園。
今年は千波湖の対岸に新築となった新世界異臭食品珍味堂の銅板の黄金に輝く屋根が光を指していた。
毎年、目には見えないはずの臭いが空気をどよめかせ黒い陽炎に包まれていた建物だったが今年は最上階から黒い陽炎が上空へと伸びていた。
異臭は上空へと上り異臭の苦情はなく、偕楽園もその周辺も梅の甘い香りに春を感じさせていた。
もちろん、偕楽園の梅祭りは来賓客には毎年のごとく喜ばれているが今年は恐るべき事に新世界異臭食品珍味堂も大盛況となっていた。
それは、食品の異臭に合わせてランク付けされ階に別れていたからである。
特に一階の口に入れなければ気にならないような食品は品薄になる程であった。
今年の目玉は異臭食品では無いものな原始的な酒である「口噛み酒」が珍品として出された。
この口噛み酒を配っていたのは美少女五人で、
「私達が作った口噛み酒はいかがですか?」
と、配っていると男どもが列をなして並んでいた。
そんな酒を飲みながらクラッカーに乗せられた納豆やブルーチーズ、鮒寿司は喜ばれる。
例年参加している大使達の中には少し物足りなさを感じ二階へと上がる。
二階でもシュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック・クサヤと強烈な物が用意されていたが臭いが籠っていなく常に新しい空気が吹き抜けを抜けていくため入れないほど強烈な異臭にはならず、自国でなれている大使は異臭珍味を楽しんでいた。
しかし、三階に登る強者?物好きはなかなか現れなかった。
それは、昨年暗殺未遂事件の刺客を自白に追い込んだシュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック内臓ソ-スサンドイッチが出され瘻ためでった。
そこに挑戦者と呼ぶか無謀ものと呼ぶか一人の男が入って言った。
上杉貞勝である。
貞勝は一昨年のシュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック内臓ソ-スのサンドイッチを今一度食べてみたいと言う不思議な魔力によってひきつられていた。
貞勝が三階に登ると、客は誰もいないはずなのに人影が見えた。
しかし、気にせず着座するとカラスマスクをした給仕係がサンドイッチと蛇酒を運んで着た。
「今回こそ、気絶せず食べきってやる」
それは貞勝の意地であった。
パクッ
「グフッ、なんだこれは?ぬお~前回より酷いなんだこれは……」
気が遠退く貞勝のもとに先程見えた人影が近付いてきた。
「シュールストレミング・ホンオホェ・エピキュア-チ-ズ・キビヤック内臓ソ-スにドリアンのヌッタリとした甘さ、そしてなんて表現するべきなのかこの生臭いトドの睾丸スライスさらに刺激を増すカメムシの素揚げが素晴らしいサンドイッチではないか!この付け合わせの生きたままの活きの良いカブトムシの幼虫の甘さで口直しがまた良い」
有り得ない味に進化しているサンドイッチを喜ばしげに口にして味を語る人影を夢幻かと思いながら気絶する貞勝、目を覚ましたのは祭りが終わった深夜であった。
「貞勝殿、また無理をしましたな?」
「正長様、いやはや、面目次第もありません、しかし、あれを喜ばれて食べられていた御人が居られましたが、あれはどこのどなたに御座いますか?」
正長は首を横に捻っていた。
「はて?あれを食されたのは貞勝殿だけと聞いておりますが?」
「いや、しかし、先に居られた御人が」
「ははははは、何かのお間違えでは?」
「では、あれはあのサンドイッチを食べて亡くなった亡霊?」
「貞勝殿、流石に死亡者は出ていませんよ」
「そうですか、失礼いたしました」
上杉貞勝は腑に落ちない様子で帰りの徒についた。
貞勝の話を聞いた正長は大老柳生宗矩を呼び出した。
「あの三階には誰かいたか?」
「それが給仕係も貞勝殿の前に一人いたと言うのですが誰だかわからないのです。しかも、人は確かにいたそうなのですがその人相を思い出そうとすると黄金のような輝きしか思い出せなく人相、体型、姿形など全く思い出せないとのことでございました、料理も確かに一人分は綺麗に皿から無くなっているそうですが」
「ん~そうかそうか、まあ良かろう、今年は世界異臭食品珍味堂も喜ばれたし良かったとしようではないか、これなら父上様もお喜びのはず」
「そうで御座いますね、進化した異臭珍味をきっとお喜びのはずでございますね」
「私にはその良さがわからぬが」
「ははははは」
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