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宇宙の旅・着陸

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龍之介はパカルとピロリン船長に問いたいことはあったが、今は緊急事態のさなか、
無駄に口を挟むような空気の読めない行動はしなかった。
窓の外を見ると速度を落としたため星々が、光ではなく一つの球体として
確認できるようになっていた。
レ-ダ-の復活によりモニター画面にもその景色は映し出されている。
その中の一つに近づいていくのがわかった。
水と思われる青色と大陸と思われる赤茶色の大地が見える星、
スイゾクオオアライ星、それは、地球ではないのか?と、思えてしまうくらい
似ていたが、大陸の形で違う事がわかる、大陸は一つであった。
龍之介達が乗る鯱型宇宙船はその大地を目指している。
大気圏に突入する際の衝撃、重力を想像する龍之介であったが、
この宇宙船に乗るものは皆いつもと変わらずシ-トベルトもしていない椅子に座り、
操縦を続けていた。

「スイゾクオオアライ星、大気圏突入します。」

と、操縦士の一人が言った物の宇宙船には何の衝撃も走らなかった。
衝撃と言うなら、先程のヒトデ型宇宙船からの攻撃のほうがあったくらいである。

「着陸に適した場所を確認しました。」

「着陸を許可する。」

大地に着陸をする鯱型宇宙船
モニター画面には赤茶色の大地が映し出される。
まるで、オ-ストラリアやエジプトの砂漠のような光景、所々に風になびく
平たい葉のような赤みがかった植物のような物が見えており生物は
映っていなかった。

「エネルギーの回復までどのくらいかかる?」

「ピロリン船長、コウナン星までの必要エネルギー回復まで10日ほどかかります。」

「食料の備蓄は?」

「10日分は余裕にありますがそれを食べてしまうとコウナン星へ行く最中の
食料がありません。」

「他船への連絡は出来ないのか?」

「こちらの通信機は復活しましたが、他船の電波をとらえる事が出来ません。」

「他はやられてしまったと考えるのが妥当か?」

「おそらく・・・・・・」

船内には沈黙と言う重たい空気が流れていた。

「今は、他の宇宙船のことより私たちが生きる事を考えるのが先です。」

パカルが凛々しく言った。

「発言よろしいですかな?」

「何でしょう?龍之助様。」

「この星の環境は私達は生きれますか?」

「はい、幸いなことにこの星には空気と水が適した状態であります、以前、
探索隊が入った時にも環境には問題はなかったと聞いておりますが・・・・・・」

口ごもるパカルの代わりにピロリン船長が口を開いた。

「この星には大型の肉食獣がおりまして危険なのです。探索隊は15人入りましたが
帰ってきたのは3人でした。」

「おお、生物がいるのならそれを食べればいいではないですか?」

「ですから、その生物が私たちが食べる側ではなく、食べられる側、格好の餌食に
なってしまう可能性が高く危険なのです。」

「笑止、私が切り倒して見せましょう。」

春とエリリが後ろで「やっぱり」と言う顔で頭を抱えていた。



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