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宇宙の旅・戦闘

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大母艦から緊急離脱をする龍之介達が乗っている鯱型の宇宙船。
その間も、攻撃と思われる音と衝撃は続いていた。

「コウナン星までもう少しと言うのに、星には連絡できないのか?」

「駄目です。次元が湾曲されています、通信不能。大母艦から離脱の為他の船との
連絡も不能、レ-ダ-も役に立ちません、このままでは我らは攻撃の的のままです。」

龍之介は、操作室の隅に胡坐をかいて座り目を閉じていた。
その両脇には春とエリリが立っていた。
エリリが部屋からそれぞれの愛刀を持ってきて帯刀して。

「前方、右上より攻撃。」

パッと龍之介を見るピロリン船長。

「レ-ダ-が使えない今、龍之介様の指示に従ってみよう。」

「では、私が攻撃してくるほうを手で示しますので、それを避けるようにピロリン船長、
命令願います。」

そう言うと、龍之介の右手が上がり敵の位置を知らせそれに合わせてピロリン船長が
回避行動を指示していた。

ひたすら逃げ動く龍之介達が乗る鯱型宇宙船。

「反撃する武器はないのか?」

宇宙船に乗船して以来丁寧な言葉づかいであった龍之介、
業を煮やして武人としての言葉使いになっていた。
それは、この船が切迫した状況であることを物語っていた。

「攻撃手段は、パ-ティクルキャノンがありますが、正確な位置がわからないと無駄撃ちになります。
エネルギーの使用量が多い為、何発も撃てません。」

大画面のモニター画面の前に座っている操縦士の一人が言う。
その操縦士の手には左右に分かれたスティック状のレバーが握られている。
スティック状のレバーの一番上には赤いボタンがあり、いかにも何かしらの発射装置である事が容易に
うかがえた。その者が砲手なのだろう。

「私が、あなたに私が千里眼で見ている敵機を念力で送る、それに照準を合わせて
そのパ-ティクルキャノンを発射する、良いですね?ピロリン船長。」

ピロリン船長はその問いの答えを出すのに言葉が詰まってしまった。
躊躇(ちゅうちょ)するのは当然、何人もの乗船員の命を預かる船長として、
宇宙船乗船しているただの客にそこまで任せて良いのか?
自分たちより遅れた文明人に任せて良いのか?
しかし、自分たちにはない不思議な力の使い手、任せてみるか?
そう、考えが巡ってしまうのもしかたはない。
操作室の沈黙のあとに一人の乗組員が、

「ピロリン船長、忘却の彼方に忘れられし民人の代表ごときに船を任せるのは私は反対です。」

と、声を荒げ反対する者がいた。

「私が許可します。」

操作室のドアのほうから声が聞こえた。

「今、一度言います。敵機襲来緊急事態、緊急事態条項第56789条規定、文民統制官権限を発動、
コウナン星第一王女パカル・シュ-ル・イナンナが命じます。地球代表大使、平和維持連合代表・
正一位終身関白太政大臣帝代理大日本合衆国統治責任者全権大使大将軍藤原朝臣三上龍之介正國を
船長補佐と任命し、敵機からの逃亡及び、反撃の指示を許可します。」

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