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第9話 1582年6月21日
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歴史上、本能寺の変があった日の早朝である。
この日、本能寺の変がなく信長が天下統一を成し遂げていたら・・・・・・
世界の長はアメリカ合衆国ではなかっただろう、産業革命はイギリスではなく、
日本だっただろうと評価される織田信長。
そんな評価を後世される織田信長の命日の朝、
龍之介と明智光秀とその部下数人は本能寺の門前にいた。
本能寺は、水堀と塀に囲まれ小さな砦の表現があっていた。
本能寺は織田信長が京都で宿泊するのに使われていた施設でもある。
その為、最低限の防衛施設はあった。
二条城と言う城があるのだからそこに宿泊すれば良いものであるが、
そこは信長の油断であったのだろだろう。
史実では、二条城も明智日向守光秀軍別動隊の攻撃により落城したのだから、
本能寺の変は織田信長殺害としては成功しと考えて良いと思う。
しかし、今は本能寺を攻めるために来ているわけではない。
謀反ではないことの証しに、甲冑から平服に着替え主人である信長に会うには
失礼にはならないレベルで身なりを整えていた光秀が門番に告げる。
「日向守光秀である、森蘭丸を呼んでいただきたい」
「はっ、かしこまりました」
森蘭丸が現れる、これまた中性的で美男子なのか?美少女なのか?と、
思ってしまう外見であった。
織田信長が寵愛したのも良くわかる。
龍之介は「衆道もわるくないかも」と、変な気が沸き上がっていた。
「どうされましたか、日向守様」
「御館様に拝謁したく参った、
まだ、ご就寝であろう、急用ではないので別室で待たせてもらいたい」
「わかりました。では、少し早いですが朝食の用意をさせましょう、
そして、そちらの御人はどなたに御座いますか?」
龍之介は、蘭丸の問いに自ら答えた。
「従三位権中納言藤原朝臣三上龍之介正圀と申す、訳あって日向守殿と一緒に
安土様に拝謁を願いたい」
安土様とは、織田信長の事である。
この時代、一人の人物に対して色々な呼び方があった。
織田殿、上総介殿、安土殿、右大臣殿なども織田信長を呼ぶ呼称である。
三上龍之介正圀は京都は名が知られており、信長の家臣でもある名前ぐらいは
森蘭丸も知る人物と言う設定であった。
ここで、一度整理しておこう、
『三上龍之介』は、この安土桃山戦国異世界時代にパッと現れたわけではあるが、
その段階で時代は改変され、従三位権中納言藤原朝臣三上龍之介正圀は当然の如く
この時代にいた人物になっている。
さらに干渉が激しく影響されないように、この三上龍之介正圀と申す人物は
京の嵐山に居を構え、政治には関わりを持たず武道を修練していた変わり者の
公家として知られる人物と設定がされていたのである。
鹿島神道流の使い手、鹿島神宮にて千日修行を行い、鹿島神道流・一の太刀を修得、
その後も他の流派を修得し塚原卜伝が乗り移ったのではないかと噂される。
また、20歳の若さで権中納言の身分だったのは帝の落し胤で常に拝謁が許され帝の
暇潰し相手になっていたのである。
龍之介もまた、その設定が少しずつ脳内に書き加えられるが、それは前世と今いる世界の
記憶の違いが鮮明にわかるようになっていた。
都合は良すぎるだろうが、天界人の力でこのようになっていた。
話は戻り、森蘭丸は二人を客間に案内し、お茶を出した。
「朝食の準備をいたしますのでしばし、お待ちください」
光秀が、
「くれぐれも、御館様を無理に起こさぬように頼む」
「はっ、しかし、中納言様もおいででは、御館様の耳に入れておかねば、
待たせた事を怒られてしまいます」
「いや、約束もせず急に来た私が悪いのですからその事も、信長様にお会いした時に
説明するので、かまいません」
「左様ですか、ではそのようにいたします」
蘭丸は下がり半時ほどして、
「なにも、ございませんが朝食をどうぞ」
と、膳を運んできた一汁二菜まぁあ、早朝にしては良いほうである。
朝食を済ませ膳を下げて貰い、白湯を飲み気分を落ち着かせていた。
明智日向守光秀はまっすぐ前を見、硬直していた。
緊張しているようにうかがえる。
そして、
1582年6月21日
朝は明けた。
庭には雀がチュンチュンと戯れる静かな朝。
本能寺の変は、当然、防いだ事になる。
蘭丸が、
「失礼します、御館様がお会いになるそうです、謁見の間に案内いたします」
謁見の間に通された。
光秀は深々と頭を下げ待っていたが、龍之介は家臣ではないため胡座(あぐら)で、
しっかり前を見、光秀のすぐ左後ろで座っていた。
「御館様の御成り~」
上段の間の襖が開き、織田信長が入ってきた出で立ちは羽織袴であった。
頭をすれすれまで下げる光秀。
信長は、光秀のその姿を見ると、
「どうした光秀、そちは中国毛利攻めを命じたはずだが?」
「はっ、軍は斎藤利三に任せ進ませております。
本日は御館様に謝りたくここに参ったしだいでございます」
すると、信長は龍之介の目をじっと見つめた。
そして、察したのである。
「光秀、そこから先、なにも申すな、申せばそちを斬らねばならぬ、
わかっておる、人間時に迷うときもある、御主ほどの切れ者でも魔が差す事もあろう、
この度の事はなかったこととする。
早よう毛利を平らげ、領地を増やしてこい、切り取りしだい好きなだけ領地にするが良い」
「はっ、さっそく仰せのままに」
再び龍之介のほうに顔を向け、しっかり目を見つめる。
「これでよろしいかな?中納言殿」
「何もかも承知されたのですね?寛大な御言葉であると思います。
今回の一件、信長様の真意が伝わらず起こりうる物であったと思います」
信長と龍之介は言葉を交わした事は無かったものの、宮中で二・三度顔を合わせていたのである。
勿論、そのように時代が改変されていた。
龍之介の記憶も、信長の記憶も。
信長も三上龍之介正圀の噂は耳に入っており一目置く存在であった。
「光秀!早よう行かぬか!わしも京都での仕事が終わり次第毛利攻めに参加する、
猿の加勢はその一時の事、わかるな?そちは秀吉の下になるのではない、わしの名代にして
露払い」
「はっ、わかりましてございます。
では、御館様の道ならしが出来るよう先に行っております」
「んっ、そのようにせい」
光秀は、毛利攻めへと向かった。
この日、本能寺の変がなく信長が天下統一を成し遂げていたら・・・・・・
世界の長はアメリカ合衆国ではなかっただろう、産業革命はイギリスではなく、
日本だっただろうと評価される織田信長。
そんな評価を後世される織田信長の命日の朝、
龍之介と明智光秀とその部下数人は本能寺の門前にいた。
本能寺は、水堀と塀に囲まれ小さな砦の表現があっていた。
本能寺は織田信長が京都で宿泊するのに使われていた施設でもある。
その為、最低限の防衛施設はあった。
二条城と言う城があるのだからそこに宿泊すれば良いものであるが、
そこは信長の油断であったのだろだろう。
史実では、二条城も明智日向守光秀軍別動隊の攻撃により落城したのだから、
本能寺の変は織田信長殺害としては成功しと考えて良いと思う。
しかし、今は本能寺を攻めるために来ているわけではない。
謀反ではないことの証しに、甲冑から平服に着替え主人である信長に会うには
失礼にはならないレベルで身なりを整えていた光秀が門番に告げる。
「日向守光秀である、森蘭丸を呼んでいただきたい」
「はっ、かしこまりました」
森蘭丸が現れる、これまた中性的で美男子なのか?美少女なのか?と、
思ってしまう外見であった。
織田信長が寵愛したのも良くわかる。
龍之介は「衆道もわるくないかも」と、変な気が沸き上がっていた。
「どうされましたか、日向守様」
「御館様に拝謁したく参った、
まだ、ご就寝であろう、急用ではないので別室で待たせてもらいたい」
「わかりました。では、少し早いですが朝食の用意をさせましょう、
そして、そちらの御人はどなたに御座いますか?」
龍之介は、蘭丸の問いに自ら答えた。
「従三位権中納言藤原朝臣三上龍之介正圀と申す、訳あって日向守殿と一緒に
安土様に拝謁を願いたい」
安土様とは、織田信長の事である。
この時代、一人の人物に対して色々な呼び方があった。
織田殿、上総介殿、安土殿、右大臣殿なども織田信長を呼ぶ呼称である。
三上龍之介正圀は京都は名が知られており、信長の家臣でもある名前ぐらいは
森蘭丸も知る人物と言う設定であった。
ここで、一度整理しておこう、
『三上龍之介』は、この安土桃山戦国異世界時代にパッと現れたわけではあるが、
その段階で時代は改変され、従三位権中納言藤原朝臣三上龍之介正圀は当然の如く
この時代にいた人物になっている。
さらに干渉が激しく影響されないように、この三上龍之介正圀と申す人物は
京の嵐山に居を構え、政治には関わりを持たず武道を修練していた変わり者の
公家として知られる人物と設定がされていたのである。
鹿島神道流の使い手、鹿島神宮にて千日修行を行い、鹿島神道流・一の太刀を修得、
その後も他の流派を修得し塚原卜伝が乗り移ったのではないかと噂される。
また、20歳の若さで権中納言の身分だったのは帝の落し胤で常に拝謁が許され帝の
暇潰し相手になっていたのである。
龍之介もまた、その設定が少しずつ脳内に書き加えられるが、それは前世と今いる世界の
記憶の違いが鮮明にわかるようになっていた。
都合は良すぎるだろうが、天界人の力でこのようになっていた。
話は戻り、森蘭丸は二人を客間に案内し、お茶を出した。
「朝食の準備をいたしますのでしばし、お待ちください」
光秀が、
「くれぐれも、御館様を無理に起こさぬように頼む」
「はっ、しかし、中納言様もおいででは、御館様の耳に入れておかねば、
待たせた事を怒られてしまいます」
「いや、約束もせず急に来た私が悪いのですからその事も、信長様にお会いした時に
説明するので、かまいません」
「左様ですか、ではそのようにいたします」
蘭丸は下がり半時ほどして、
「なにも、ございませんが朝食をどうぞ」
と、膳を運んできた一汁二菜まぁあ、早朝にしては良いほうである。
朝食を済ませ膳を下げて貰い、白湯を飲み気分を落ち着かせていた。
明智日向守光秀はまっすぐ前を見、硬直していた。
緊張しているようにうかがえる。
そして、
1582年6月21日
朝は明けた。
庭には雀がチュンチュンと戯れる静かな朝。
本能寺の変は、当然、防いだ事になる。
蘭丸が、
「失礼します、御館様がお会いになるそうです、謁見の間に案内いたします」
謁見の間に通された。
光秀は深々と頭を下げ待っていたが、龍之介は家臣ではないため胡座(あぐら)で、
しっかり前を見、光秀のすぐ左後ろで座っていた。
「御館様の御成り~」
上段の間の襖が開き、織田信長が入ってきた出で立ちは羽織袴であった。
頭をすれすれまで下げる光秀。
信長は、光秀のその姿を見ると、
「どうした光秀、そちは中国毛利攻めを命じたはずだが?」
「はっ、軍は斎藤利三に任せ進ませております。
本日は御館様に謝りたくここに参ったしだいでございます」
すると、信長は龍之介の目をじっと見つめた。
そして、察したのである。
「光秀、そこから先、なにも申すな、申せばそちを斬らねばならぬ、
わかっておる、人間時に迷うときもある、御主ほどの切れ者でも魔が差す事もあろう、
この度の事はなかったこととする。
早よう毛利を平らげ、領地を増やしてこい、切り取りしだい好きなだけ領地にするが良い」
「はっ、さっそく仰せのままに」
再び龍之介のほうに顔を向け、しっかり目を見つめる。
「これでよろしいかな?中納言殿」
「何もかも承知されたのですね?寛大な御言葉であると思います。
今回の一件、信長様の真意が伝わらず起こりうる物であったと思います」
信長と龍之介は言葉を交わした事は無かったものの、宮中で二・三度顔を合わせていたのである。
勿論、そのように時代が改変されていた。
龍之介の記憶も、信長の記憶も。
信長も三上龍之介正圀の噂は耳に入っており一目置く存在であった。
「光秀!早よう行かぬか!わしも京都での仕事が終わり次第毛利攻めに参加する、
猿の加勢はその一時の事、わかるな?そちは秀吉の下になるのではない、わしの名代にして
露払い」
「はっ、わかりましてございます。
では、御館様の道ならしが出来るよう先に行っております」
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