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第四章 美少年と異世界生活

美少年と衆道の教育

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俺はベッドに入り自分だけの世界に入ることだけで落ち着きを戻そうとしていた。
自分が恐ろしい形相をするのをなんの曇りもない澄んだ瞳に写されたことで自己嫌悪を感じた。

「失礼します、御主人様、少し眠ったほうがよろしいと思いまして落ち着く煎じ薬をお持ちしました」

俺は返事をするのさえ嫌だった。

「こちらに置いておきますね、冷めると苦さが増しますので温かいうちにお召し上がりください」

そう言ってミラは部屋から出ていった。
出ていったのを確認してから布団から出てまだ湯気が立ち上るカップをゆっくりと飲み干し布団にくるまった。
即効性などはないものの温かいものを飲んだことでもあってか少しずつ気は落ち着き眠りにへと入る。

気が付いた時には部屋には月明かりが差し込んでいた。
窓から見える月はまだ東の空の低い位置、さほど長い時間寝たわけではないようだ。
戸を一枚隔てた向こう側からミラだけでは不自然な気配を感じて目が覚めた。
何人かいる感じがする。
五月蠅いわけではないものの気にはなる。
そして、俺の腹の虫は空腹であることを知らせた。
何かを食べたいという食欲ではなく、胃に何かを入れなければという感覚が出たため、部屋を出るとテーブルには先ほど人型になった二人がお茶を飲んでいる。

「御主人様、お腹すきましたか?すぐに何か用意するのでお座りください」

と、ミラが言うので仕方なく座る。
二人のドラゴン人は俺の動作を静かに見ている。
若いほうはどことなく怯えているかのようにも見える。
ミラが運んできたのは干し肉と野菜をパンに挟んで一口サイズに切ったものだった。
食欲がさほどない時にはこのように食べやすいものはありがたい。
ゆっくりと食べ終え、シロップの入った甘いお茶を飲んだ。

「ご馳走様」

「お粗末様でした」

ミラがそう言って皿をかたずけると、カップに減ったお茶を美少年?美少女が注いでくれた。

「あ、ありがとう」

「いえ、どういたしまして」

と言って席に戻った。
やはり俺に話があるのだろう。

「で、話とは?」

長々と伸びる白い顎鬚を右手で撫でながら話し始める老人の姿のドラゴン。
 
『衆道には興味はおありか』

ごふっ、ゲホゲホゲホゲホ

あまりにも予想だにしない言葉に飲んでいたお茶を吹き出してしまった。

『おじい様』

うん、この子、美少年なんだね、わかっちゃったよ・・・・・・

「いやいやいやいや、男を抱く趣味なんかないから、同性愛を否定はしないけど俺は女のほうが好きで」

『ほほほほほほっ、いやね、この子を傍に置いてもらおうかと思っていたんだが』

美少年を見るとなにやらもじもじくねくねしながら恥ずかしがっているようで、うん、可愛いけどね。

「唐突に一体何なんですか?」

『人質、いや監視者と呼ぶべきかな?』

「人質?監視者?」

『いかにも、過ぎたる力を持つ者が力を暴走させないかの監視者であって、我ら中立派である神龍ドラゴン族の人質』

「すみません、この世界の、いや、この国の政治的なこととかパワーバランスですか?一切興味がなくて、俺はただ静かに暮らしたいだけなんです、そうですね、本当なら半農半漁で暮らしたい」

『作物を育てながら魚?獣?を取る暮らしか、なかなかよい暮らしですが、残念ながらあなたにはその暮らしは出来ないでしょう』

「出来ない?」

『過ぎたる力は名声と地位とお金が自然と舞い込んでくる、そして災いも』

「望んだ力ではないのですが」

『そうであろうともそれが世界の理(ことわり)』

俺はお茶をすすった。

「ミラ、どう思う?」

「え?私の意見ですか?私は別に構いませんが部屋は一つ空いていますし」

住むの確定で話進んでいましたね、君たち。だったら俺の意見なんて必要なくない?

「この家は今は御主人様の物ですので、お決めになるのは御主人様です」

奴隷の物は主の物か?
どうにかして断れないかと考えていると、

『なに、この孫は衆道の教育は受けていますからご安心くだされ』

「はぁあ?衆道の教育?」

『はい、この孫はもともとライトワール王国の盟友バッサル国王の小姓になるように教育していたのじゃが、バッサル国王が重い病とのことで辞退されてな、行き場所に少し困っていたのじゃよ、そんなときに耳にしたのが「瑠璃色のドラゴン殺し」の噂でな』

なんか、だっさい二つ名が出てきたぞ・・・・・・
俺のビジネススーツの色は紺色、ドラゴンを殺した俺、ダサい、そのネーミングだれよ。

「俺の事?」

『ほほほほほっ、ほかに誰がいますか?』

『あの~僕頑張りますから、お尻きれいにしてますから』

ごふっ、ゲホゲホゲホゲホ

またお茶を吐き出してしまった。
慌ててミラが水を持ってくる。

『秘伝のドロドロ海藻エキスもいっぱい持ってきてますから』

ごふっ、ゲホゲホゲホゲホゲホゲホ。

咳止まらなくなりそう。何に使うのか知っているわけね。
言葉とは裏腹に綺麗な銀色の瞳が少しだけたまった涙でキラキラしており見つめられると引き込まれそうになった。
断る理由と言うよりなにか無理な願いを頼んで、交換条件にして帰っていただこう。


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