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弐の章 1590年 陰謀

弐の壱

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1590年

豊臣秀吉は真田と北条の沼田領の割譲に端を発した問題から北条との仲が険悪となっていた。
上洛をしようとしない北条に対して終には討伐を全国の大名に命じ戦は刻一刻と迫っていた。
領地で政務に追われていた伊達政宗、そこには引っ切りなしに豊臣秀吉派からの
使者・書状が来ていた。
内容はどれもこれも、豊臣秀吉に執り成しをするから上洛・北条征伐に参陣して臣下の礼を取り
蘆名攻めの許しを請え、と言う内容であった。
そんな使者・書状に政宗は曖昧な返答を繰り返していた。
伊達家の家中でも、北条との同盟を強固とし豊臣秀吉と一戦交えよう、
すぐに上洛して許しを請うべきだ、奥州で迎え撃つべきだ、豊臣秀吉が奥州に来る前に
勢力を拡大するべきだ、家督を弟に譲り許しを請うて伊達家存続を願うべきだ、
などと様々な声が上がり魚棹していた。
しかし、様々な意見が出されようとも政宗は家中でも態度を曖昧にしていた。
本心を知っているのはごく一部の家臣だけ。
そんな中、伊達政宗の実母・保春院もまた伊達家存続のため熟慮を重ねていた。
保春院は最上義光が妹、最上家と伊達家とを結ぶために政略結婚で伊達家に輿入れをした。
最上家と伊達家が争事がなきよう事有る事に動いていた。
この時代の女性は意外なほどに権力と言うのか、政治力と言うのか力を持っている。
女だからと言って低い身分ではなく、時には家・主人の名代、時には家臣、時には軍師、
時には城主だったりする。
その戦国時代の女の中でも保春院は男勝りな性格な上に、当主としてはまだまだ若い政宗を導く役目、
後見役をしなければと思っていた。
そんな政宗が天下に一番近いであろう最大勢力、豊臣秀吉と敵対するかもしれないと言う
伊達家存亡の危機の状況下、兄である最上義光に相談をするのも母心であり、
伊達家をいかにすれば存続できるかを苦慮する後見役であった。
その相談は謀略の可能性も認識しつつ伊達家存続のためと、自分に言い聞かせる保春院・・・・・・

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