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砂羽。妹をおいかけ、魔に染まる
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妹が、消えた。
酷い飢饉が東北を襲っていた。
貧しくて、自分の子供を売りに出す親が相次いでいた。
砂羽の家もそうだった。
自分の下には、妹達が何人もいる。
食べる為には、娘を売らなくてはいけない。
親の苦肉の決断だった。
「私が、行くから」
下の妹達を救う為、砂羽は、自分から、言い出した。
人買いに連れられて出て行く時に、下の妹達は、泣いていた。
「お金を送るから、絶対、妹達は、売らないで」
両親に約束させ、砂羽は、家を後にした。
すぐ下の妹が、まもなく、売られた事を知った。
「嘘でしょ」
変わらぬ貧困に、両親は負けていた。
やけを起こした父親は、酒に溺れ、喧嘩が絶えなくなった。
生活は、更に傾き、下の妹、音羽も、人買いの手に渡った。
砂羽は、探し回った。
長い時間をかけて、知ったのは、音羽の悪い噂だった。
男に騙され、復讐と化した音羽は、火をつけて、相手を殺し、やがて、火炙りの刑となった。
その時、音羽は、炎に包まれ、天に駆け上がっていったと。
「怨霊になった」
砂羽の耳に入ったのは、音羽の哀しい噂だった。
怨霊と化した音羽は、悪事を重ねて、ついに、僧侶に退治され、山に眠らされたと。
砂羽は、狂乱した。
音羽を苦しめた里の人に、復讐し、音羽を助けにいった。
山を揺り動かし、狂った様に探し回る。
もはや、砂羽は、人間で無くなっていた。
いや、もっと、以前に人間でなかったのかもしれない。
気がつくと、何百年も経っており、何処の山に、音羽が、眠っているのか、わからなくなっていた。
「可哀想な、音羽」
音羽を、騙した人間が憎かった。
次から次へと、殺めていった。
いつしか、恐れられ、自分も、封印させられてしまった。
永い間・・・。
どこにいるのかも、わからない妹。
ようやく、妹と出会えた時、昔の面影はなく。側には、人間の少年がいた。
「また、妹を苦しめる奴がいる」
「音羽を、離しては、ならない」
砂羽に言う奴がいた。
「そのつもりです」
封印された砂羽を救った奴が言った。
「音羽を側から、離すな。今度こそ、音羽は、消えてなくなる」
「音羽を守る為なら」
「その少年には、気を付けるんだな」
砂羽は、不思議そうな顔をした。
「気をつけろとは?」
「恐ろしい存在だからな・・・」
砂羽にそう言うのは、白い羽を持つ者だった。
酷い飢饉が東北を襲っていた。
貧しくて、自分の子供を売りに出す親が相次いでいた。
砂羽の家もそうだった。
自分の下には、妹達が何人もいる。
食べる為には、娘を売らなくてはいけない。
親の苦肉の決断だった。
「私が、行くから」
下の妹達を救う為、砂羽は、自分から、言い出した。
人買いに連れられて出て行く時に、下の妹達は、泣いていた。
「お金を送るから、絶対、妹達は、売らないで」
両親に約束させ、砂羽は、家を後にした。
すぐ下の妹が、まもなく、売られた事を知った。
「嘘でしょ」
変わらぬ貧困に、両親は負けていた。
やけを起こした父親は、酒に溺れ、喧嘩が絶えなくなった。
生活は、更に傾き、下の妹、音羽も、人買いの手に渡った。
砂羽は、探し回った。
長い時間をかけて、知ったのは、音羽の悪い噂だった。
男に騙され、復讐と化した音羽は、火をつけて、相手を殺し、やがて、火炙りの刑となった。
その時、音羽は、炎に包まれ、天に駆け上がっていったと。
「怨霊になった」
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砂羽は、狂乱した。
音羽を苦しめた里の人に、復讐し、音羽を助けにいった。
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もはや、砂羽は、人間で無くなっていた。
いや、もっと、以前に人間でなかったのかもしれない。
気がつくと、何百年も経っており、何処の山に、音羽が、眠っているのか、わからなくなっていた。
「可哀想な、音羽」
音羽を、騙した人間が憎かった。
次から次へと、殺めていった。
いつしか、恐れられ、自分も、封印させられてしまった。
永い間・・・。
どこにいるのかも、わからない妹。
ようやく、妹と出会えた時、昔の面影はなく。側には、人間の少年がいた。
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「音羽を、離しては、ならない」
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「音羽を側から、離すな。今度こそ、音羽は、消えてなくなる」
「音羽を守る為なら」
「その少年には、気を付けるんだな」
砂羽は、不思議そうな顔をした。
「気をつけろとは?」
「恐ろしい存在だからな・・・」
砂羽にそう言うのは、白い羽を持つ者だった。
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