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姿を現しき者。封印を解く
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狂気に駆られた砂羽は、颯太を執拗に攻撃していた。
もう、数珠は、当てにならない。
逃げ回る颯太の姿に、封雲は、どこか、楽しそうに見えた。
信頼できる友人。
だった訳ではない。
どこか、颯太をライバル視していた。
師匠が、特別、颯太をエコひいきしていた訳ではない。
あの数珠が特別な物ではない。
邪神を抑える金鎖があるように。
颯太は、数珠の力を借りていた訳ではない。
封雲は、知らなすぎた。
どうして、師匠が、颯太を目にかけていた訳ではない。
颯太は、知っていた。
師匠は、自分を監視している。
この数珠は。
僕を縛り付ける物。
誰も、知らない。
僕は、どうして、あの寺に身を置かなくては、ならなかったのか。
思い出せ!
思い出せ!
あの日の事を。
自分の中に眠る邪神より、恐ろしい者。
渦巻く感情。
それは、何か。
「なかなか、しぶといな」
しつこい砂羽の攻撃に、倒れない颯太に封雲は、言い放った。
「倒れて欲しいのか?」
「いや・・・どういう展開になるかと思って」
砂羽の巨大な剣は、辺りを崩していく。
少しでも、間違えば、自分の身は、山ごと吹き飛んでしまう。
「颯太。ダムの下流には、村があるの。知っているな」
「あぁ・・」
封雲と来る途中に、幾つもの村を見た。
「逃げ回るのは、いいが。あの剣が、ダムに当たったら、どうなる?」
逃げ回りながら、ダムの端まで来ていた。
「止めろよ」
「止めろって?」
どうやって?と聞くと、封雲は、颯太を指す。
「体で?」
「もちろん!」
ダムの壁に、行く手を塞がれ、逃げ場がなくなっていた。
自分が、逃げれば、ダムが破壊される。
体で、抑えるしかないのか。
「死ね!」
砂羽は、真っ先に剣を振り下ろす。
「颯太!」
封雲は、颯太を庇う所か、颯太を突き飛ばした。
「!」
瞬間、砂羽は、笑った。
手応えがあったからだ。
「やった!」
砂羽は、立ち上がる砂埃に、颯太の体が消し飛んだと思った。
今、そこには、ちぎれた颯太の体があるはず。
湧き上がるアドレナリンに、砂羽は、震えた。
「これで、音羽は、自由になる」
穏やかな眠りに就けるはず。
そう思った時に、剣を握っている手が、揺れた。
「!」
何が起きたのか、わからなかった。
剣先を握っていたのは、オッドアイの妖だったからだ。
「誰?」
封雲も、目を疑った。
剣の下には、颯太の姿がなかったからだ。
もう、数珠は、当てにならない。
逃げ回る颯太の姿に、封雲は、どこか、楽しそうに見えた。
信頼できる友人。
だった訳ではない。
どこか、颯太をライバル視していた。
師匠が、特別、颯太をエコひいきしていた訳ではない。
あの数珠が特別な物ではない。
邪神を抑える金鎖があるように。
颯太は、数珠の力を借りていた訳ではない。
封雲は、知らなすぎた。
どうして、師匠が、颯太を目にかけていた訳ではない。
颯太は、知っていた。
師匠は、自分を監視している。
この数珠は。
僕を縛り付ける物。
誰も、知らない。
僕は、どうして、あの寺に身を置かなくては、ならなかったのか。
思い出せ!
思い出せ!
あの日の事を。
自分の中に眠る邪神より、恐ろしい者。
渦巻く感情。
それは、何か。
「なかなか、しぶといな」
しつこい砂羽の攻撃に、倒れない颯太に封雲は、言い放った。
「倒れて欲しいのか?」
「いや・・・どういう展開になるかと思って」
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少しでも、間違えば、自分の身は、山ごと吹き飛んでしまう。
「颯太。ダムの下流には、村があるの。知っているな」
「あぁ・・」
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「逃げ回るのは、いいが。あの剣が、ダムに当たったら、どうなる?」
逃げ回りながら、ダムの端まで来ていた。
「止めろよ」
「止めろって?」
どうやって?と聞くと、封雲は、颯太を指す。
「体で?」
「もちろん!」
ダムの壁に、行く手を塞がれ、逃げ場がなくなっていた。
自分が、逃げれば、ダムが破壊される。
体で、抑えるしかないのか。
「死ね!」
砂羽は、真っ先に剣を振り下ろす。
「颯太!」
封雲は、颯太を庇う所か、颯太を突き飛ばした。
「!」
瞬間、砂羽は、笑った。
手応えがあったからだ。
「やった!」
砂羽は、立ち上がる砂埃に、颯太の体が消し飛んだと思った。
今、そこには、ちぎれた颯太の体があるはず。
湧き上がるアドレナリンに、砂羽は、震えた。
「これで、音羽は、自由になる」
穏やかな眠りに就けるはず。
そう思った時に、剣を握っている手が、揺れた。
「!」
何が起きたのか、わからなかった。
剣先を握っていたのは、オッドアイの妖だったからだ。
「誰?」
封雲も、目を疑った。
剣の下には、颯太の姿がなかったからだ。
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