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何も知らない事が、許される理由には、ならない
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地面に突き刺さったのは、砂の姫の剣先だった。
「ウォ・・」
地に響いたのは、誰の声でもなかった。
封雲の腕、スレスレに突き刺さった剣先が、数珠の紐を切ってしまったのだ。
「まずい」
颯太は、砂の姫。砂羽が、自分に襲いかかるのを忘れて叫んだ。
紐は切れ、一つ一つ、繋がれていた黒々とした球が、一瞬で、空に散っていった。
「バカな!」
見上げる颯太の頬を砂羽の剣先が霞め、鮮血が飛び散る。
「なんて事を!」
構わず、颯太は、封雲に殴りかかかかる。
「どんな想いで、師匠達が、作り上げたか」
「ふん・・」
地面に叩きつけられていた封雲は、体を起こした。
「所詮、まがいの力だったんだろう」
「確かに、奴らの力を借りていたに違いないけど、自由となった今は・・」
「無視するのか?」
砂羽は、2人がなんとか、剣先から、逃れるのが気に入らなかった。
イライラしながら、
「逃げるな!」
颯太に狙いをつけてくる。
「しつこい」
「数珠がない、お前に何ができる?」
「数珠・・数珠って、うるさい」
避けた剣先が、封雲に向かい、飛ばした札が、刃先を覆い。
「なかなか、当てる事はできないな」
封雲は、他人事のように笑う。
「砂姫と言ったな、颯太を消すには、今が、チャンスだぞ」
封雲は、けしかける。
「なんの力も、持っていない。全くの無力だ。お前の妹も、いないしな」
「妹って?」
瞬間理解した。音羽によく似た、その顔。その声。姉妹が居たと聞くのは、初めてだった。
「姉妹って?音羽は、どうしている?」
音羽の消息を聞きたがる、颯太に、砂羽は、不機嫌な顔をした。
「聞いて、どうする?」
「突然、居なくなった音羽の事は、心配していたんだ。無事なのか?」
「心配していた?お前が、あんな目に合わせたのに」
砂羽は、颯太に悪意を持っているのは、明らかだった。
「あんな目に合わせた?って」
「山から、連れ出した・・・あの子は、あと少し、とどまっている必要があったのに」
砂羽は、颯太が、音羽を祠から、助け出した事を言っていた。
「お前が、あの子を苦しみの中に、戻した」
「いや・・・・待ってくれ。何を言っているのか、わからない」
「わからない?」
「音羽は、どうして、あそこにいたんだ・・・?」
初めて、気づいた。
自分は、余計な事をしてしまったのか?と。
「音羽は、幽霊ではなかったのか?」
「何も知らない事が、許される理由には、ならない」
砂羽の言葉には、深い意味があった。
「ウォ・・」
地に響いたのは、誰の声でもなかった。
封雲の腕、スレスレに突き刺さった剣先が、数珠の紐を切ってしまったのだ。
「まずい」
颯太は、砂の姫。砂羽が、自分に襲いかかるのを忘れて叫んだ。
紐は切れ、一つ一つ、繋がれていた黒々とした球が、一瞬で、空に散っていった。
「バカな!」
見上げる颯太の頬を砂羽の剣先が霞め、鮮血が飛び散る。
「なんて事を!」
構わず、颯太は、封雲に殴りかかかかる。
「どんな想いで、師匠達が、作り上げたか」
「ふん・・」
地面に叩きつけられていた封雲は、体を起こした。
「所詮、まがいの力だったんだろう」
「確かに、奴らの力を借りていたに違いないけど、自由となった今は・・」
「無視するのか?」
砂羽は、2人がなんとか、剣先から、逃れるのが気に入らなかった。
イライラしながら、
「逃げるな!」
颯太に狙いをつけてくる。
「しつこい」
「数珠がない、お前に何ができる?」
「数珠・・数珠って、うるさい」
避けた剣先が、封雲に向かい、飛ばした札が、刃先を覆い。
「なかなか、当てる事はできないな」
封雲は、他人事のように笑う。
「砂姫と言ったな、颯太を消すには、今が、チャンスだぞ」
封雲は、けしかける。
「なんの力も、持っていない。全くの無力だ。お前の妹も、いないしな」
「妹って?」
瞬間理解した。音羽によく似た、その顔。その声。姉妹が居たと聞くのは、初めてだった。
「姉妹って?音羽は、どうしている?」
音羽の消息を聞きたがる、颯太に、砂羽は、不機嫌な顔をした。
「聞いて、どうする?」
「突然、居なくなった音羽の事は、心配していたんだ。無事なのか?」
「心配していた?お前が、あんな目に合わせたのに」
砂羽は、颯太に悪意を持っているのは、明らかだった。
「あんな目に合わせた?って」
「山から、連れ出した・・・あの子は、あと少し、とどまっている必要があったのに」
砂羽は、颯太が、音羽を祠から、助け出した事を言っていた。
「お前が、あの子を苦しみの中に、戻した」
「いや・・・・待ってくれ。何を言っているのか、わからない」
「わからない?」
「音羽は、どうして、あそこにいたんだ・・・?」
初めて、気づいた。
自分は、余計な事をしてしまったのか?と。
「音羽は、幽霊ではなかったのか?」
「何も知らない事が、許される理由には、ならない」
砂羽の言葉には、深い意味があった。
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