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敵になったけど、一番の友達だったから
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水面を割って現れたのは、巨大な蛟だった。
その周りを取り囲むように、白い光が飛び交う。
「颯太。数珠を離せ」
封雲は、僕の右手に集中していた。
「渡すんだ!」
封雲の叫びに反応するように、蛟の視線がこちらに向けられた。
「その数珠に反応するんだ」
「これに?」
封雲は、颯太の数珠を奪う目的だけではなかった。
「そいつが、呼ぶんだ!」
「何を?」
颯太が、振り向いた瞬間、蛟が、水面を大きく叩いた。
飛びかかる封雲。
数珠が外れそうになるが、颯太は、離さない。
「あれは、蛟ではない」
水面を跳ねるように、見えたのは、たくさんのオーブの塊だった。
「オーブって?」
答えを求めるように、封雲を見るが、
「だから・・・」
封雲は、隠し持っていた札を投げつける。
命中したオーブの塊が、少しだけ、弾け飛ぶ。
「えぇ?」
「本当に、お前は、とろくさい」
「何が、何だか?」
オーブは、再度、固まり、蛟となって、2人に襲いかかる。
「何が、起きて・・・」
逃げきれないと思った颯太は、構えた。
数珠のかかった右手で、印を結ぶ。
「ダメだ・・颯太。危険だ」
封雲が、印を破る。
「何すんだ?」
オーブが吸い付くように、颯太に飛んで来る。
「呼ぶって、言ったろう?これは、ダムに集まった地縛霊だ」
封雲の札も、効き目がない。
「どうして、ダムから現れた?」
「このダムの底には、たくさんの集落が沈んでいる。予定では、村の人の移住が済んでから、放流される予定だった」
オーブから、逃げながら、封雲が話す。
「だけど、ちょっとした事があって、生きたまま、みんな沈められたんだ」
「だから・・??」
「成仏したくて、寄ってくる。この数じゃ・・・お前では、敵わない」
すがりつく、オーブを払うが、キリがない。
「村の人だけじゃないだろう?」
「この数は、異常だ」
乗ってきたバスに戻ろうとするが、バスの周りには、百鬼が集まり、2人を阻む。
「百鬼も役にたたん」
封雲は、颯太を試すつもりで、百鬼を呼び集めていた。
だが、本物を呼び寄せたようだった。
「オーブの蛟か・・・。誰の企みで、こんなに集まった?」
「先導する者がいるって、事?」
「こんなに、集まるとは・・・」
振り向くと、蛟は、水面を這い上がり、2人の逃げて来た山道を、追ってくる。キラキラと光を放ちながら、迷いもせず、追っていく。
「やっぱり、先導する者がいた・・・」
封雲が呟く。
「え?」
よく、目を凝らすと、オーブの塊の先に、ぼうっと、白く見えるる姿があった。
「あれは・・・」
音羽?と言いそうになって、唾を飲み込む。
いいや・・・似ているが、音羽ではない。
その周りを取り囲むように、白い光が飛び交う。
「颯太。数珠を離せ」
封雲は、僕の右手に集中していた。
「渡すんだ!」
封雲の叫びに反応するように、蛟の視線がこちらに向けられた。
「その数珠に反応するんだ」
「これに?」
封雲は、颯太の数珠を奪う目的だけではなかった。
「そいつが、呼ぶんだ!」
「何を?」
颯太が、振り向いた瞬間、蛟が、水面を大きく叩いた。
飛びかかる封雲。
数珠が外れそうになるが、颯太は、離さない。
「あれは、蛟ではない」
水面を跳ねるように、見えたのは、たくさんのオーブの塊だった。
「オーブって?」
答えを求めるように、封雲を見るが、
「だから・・・」
封雲は、隠し持っていた札を投げつける。
命中したオーブの塊が、少しだけ、弾け飛ぶ。
「えぇ?」
「本当に、お前は、とろくさい」
「何が、何だか?」
オーブは、再度、固まり、蛟となって、2人に襲いかかる。
「何が、起きて・・・」
逃げきれないと思った颯太は、構えた。
数珠のかかった右手で、印を結ぶ。
「ダメだ・・颯太。危険だ」
封雲が、印を破る。
「何すんだ?」
オーブが吸い付くように、颯太に飛んで来る。
「呼ぶって、言ったろう?これは、ダムに集まった地縛霊だ」
封雲の札も、効き目がない。
「どうして、ダムから現れた?」
「このダムの底には、たくさんの集落が沈んでいる。予定では、村の人の移住が済んでから、放流される予定だった」
オーブから、逃げながら、封雲が話す。
「だけど、ちょっとした事があって、生きたまま、みんな沈められたんだ」
「だから・・??」
「成仏したくて、寄ってくる。この数じゃ・・・お前では、敵わない」
すがりつく、オーブを払うが、キリがない。
「村の人だけじゃないだろう?」
「この数は、異常だ」
乗ってきたバスに戻ろうとするが、バスの周りには、百鬼が集まり、2人を阻む。
「百鬼も役にたたん」
封雲は、颯太を試すつもりで、百鬼を呼び集めていた。
だが、本物を呼び寄せたようだった。
「オーブの蛟か・・・。誰の企みで、こんなに集まった?」
「先導する者がいるって、事?」
「こんなに、集まるとは・・・」
振り向くと、蛟は、水面を這い上がり、2人の逃げて来た山道を、追ってくる。キラキラと光を放ちながら、迷いもせず、追っていく。
「やっぱり、先導する者がいた・・・」
封雲が呟く。
「え?」
よく、目を凝らすと、オーブの塊の先に、ぼうっと、白く見えるる姿があった。
「あれは・・・」
音羽?と言いそうになって、唾を飲み込む。
いいや・・・似ているが、音羽ではない。
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