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砂の女王。降臨
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上も下もない闇が続いていく。
自分は、どこまで、行くのか。
蜘蛛の糸が、体に絡みつく。
「ここは、どこだ」
音羽は、声を上げた。
つもりだった。
無限に広がった闇に、吸い込まれていく。
「どこだ」
答えが聞こえる訳がない。
宙で、がんじがらめになった体を動かしてみる。
いつも、逆さになったり、自由が聞く体だったのに。
現在は、囚われた獲物の様に、身動きが取れない。
「何だよ」
長い髪が絡み合う。
「何がしたいんだよ」
糸は、取れない。
「あまり、深入りしすぎた。そう、思わないか」
闇の中で、何かが、蠢く。
「幽霊として、接していただけだろう?」
そこには、闇より、暗い存在があった。
「もう、関わるなって事か?」
音羽は、身を捩って、逃れようとする。
「いつまで、あの人間に関わる?」
その存在は、音羽をよく、知る物のようだ。
「あくまでも、霊。それだけの存在。余計な事は、するな」
「余計な事?何もしていない」
「お前は、関わりすぎる。だから、封印された。忘れたのか?」
「忘れた訳ではない」
「心配なのだ。また、封印されたら・・・・お前は」
闇から、差し出された片腕が、音羽の体を包み込む。
「完全に消滅してしまう・・・」
音羽の頬を優しく包み込む両手。
「こうしなければ、巻き込まれていた・・」
「姉さん・・・」
音羽が呟く。
「ここまで、しなくても・・・」
音羽の呟きが、闇の中に響くと、天から、一筋の光が差し込んだ。
「こうしないと、引き止める事ができなかった」
次第に、刺す光の中に、一人の姿が見て撮れた。
蜘蛛の糸を、操る一人の女性。
音羽によく似た女性。
「姉さん。行かないと・・」
「行かせないよ。お前を戻す事はできない」
女性の両手からは、銀色に光る幾つもの、糸が吐き出される。
「少しの間、眠ってて・・・その間に、全て、終わるから」
「砂羽・・・」
銀の糸は、音羽を飲み込んでいった。
自分は、どこまで、行くのか。
蜘蛛の糸が、体に絡みつく。
「ここは、どこだ」
音羽は、声を上げた。
つもりだった。
無限に広がった闇に、吸い込まれていく。
「どこだ」
答えが聞こえる訳がない。
宙で、がんじがらめになった体を動かしてみる。
いつも、逆さになったり、自由が聞く体だったのに。
現在は、囚われた獲物の様に、身動きが取れない。
「何だよ」
長い髪が絡み合う。
「何がしたいんだよ」
糸は、取れない。
「あまり、深入りしすぎた。そう、思わないか」
闇の中で、何かが、蠢く。
「幽霊として、接していただけだろう?」
そこには、闇より、暗い存在があった。
「もう、関わるなって事か?」
音羽は、身を捩って、逃れようとする。
「いつまで、あの人間に関わる?」
その存在は、音羽をよく、知る物のようだ。
「あくまでも、霊。それだけの存在。余計な事は、するな」
「余計な事?何もしていない」
「お前は、関わりすぎる。だから、封印された。忘れたのか?」
「忘れた訳ではない」
「心配なのだ。また、封印されたら・・・・お前は」
闇から、差し出された片腕が、音羽の体を包み込む。
「完全に消滅してしまう・・・」
音羽の頬を優しく包み込む両手。
「こうしなければ、巻き込まれていた・・」
「姉さん・・・」
音羽が呟く。
「ここまで、しなくても・・・」
音羽の呟きが、闇の中に響くと、天から、一筋の光が差し込んだ。
「こうしないと、引き止める事ができなかった」
次第に、刺す光の中に、一人の姿が見て撮れた。
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音羽によく似た女性。
「姉さん。行かないと・・」
「行かせないよ。お前を戻す事はできない」
女性の両手からは、銀色に光る幾つもの、糸が吐き出される。
「少しの間、眠ってて・・・その間に、全て、終わるから」
「砂羽・・・」
銀の糸は、音羽を飲み込んでいった。
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