53 / 79
神なく鬼の住む里で、僕らは、育った。
しおりを挟む
封雲と僕が、晴先生を迎えに戻った時。
その家の門は、開いていた。
「遅かったな」
迎えたのは、晴先生のお婆さんだった。
「お前達が、この家に戻したから、また、連れて行かれたよ」
僕達が、悪い事をしたかの様に、お婆さんは、言った。
「まるで、僕らが悪い事をしたみたいでないか」
「していないと言えるのかい?」
認知症があるとは、聞いていたが、この婆さんは、音羽によく似ている。
婆さんに喰ってかかられた封雲は、不満だった。
「晴は、邪神なんだろう?庇う理由は、あるのかい?」
失礼な発言に、婆さんの顔色が変わった。
「そう言うお前さん達は、何だい?」
手元にあった箒を振りかざす。
「やめろよ。封雲!」
封雲の手を引くが、口喧嘩が、ヒートアップしていく。
「前達が、来たのは、神無鬼有の里だろう。何もない里。大きな星の降った里には、紙屑の命すら育たない」
「待って!どうして、僕らの里の名前を・・」
僕が、預けられたのは、寺だったとしか、他人に言っていない。地元の人達が、陰で、神無鬼有と言っていたが、それは、この辺りの人は、誰も知らないはず。
「邪神が育った家だ、関係ないとは、言えない」
封雲は、婆さんの握る箒を叩き落とす。
「認知症なんて、言っているけど、違うな。婆さん」
カーっとくると、封雲は、手に負えない。
僕を庇って、何人かの先輩を怪我させた事もある。
「相手は、年寄りだよ。封雲」
除霊師とは言っても、封雲は、生身の人間にも容赦ない。
禁呪を使用し、酷い目に遭わせる可能性もある。
そうだ。
封雲は、見境がない。
僕が、今まで、距離をとっていた理由だ。
音羽が、僕を守っていた。
「こんな年寄りを相手にしてもな」
封雲は、蔑んだ顔をした。
こんな、封雲を見るのは、嫌な気分だった。
「やめろよ。先生のお婆さんだ」
僕らの先生だ。
最近、いろんな事があって、学校で、先生と逢う事はなかったけど、人間性は、熱い人だった。
「いいか・・・」
封雲の態度に、お婆さんは、言った。
「生きて帰れると思うな。今まで、逢った事のない妖が待っているだろう」
僕らは、顔を見合わせた。
「寺が無くなったのは・・・やはり」
「その里の名前が、どうして、そうなのか、お前達なら、わかるだろう」
そうだ。
そこは、音羽と初めて出会った場所もある。
神はいない。鬼のみ。
そこは、僕ら、捨てられた子供達が、住んでいた寺があった。
その家の門は、開いていた。
「遅かったな」
迎えたのは、晴先生のお婆さんだった。
「お前達が、この家に戻したから、また、連れて行かれたよ」
僕達が、悪い事をしたかの様に、お婆さんは、言った。
「まるで、僕らが悪い事をしたみたいでないか」
「していないと言えるのかい?」
認知症があるとは、聞いていたが、この婆さんは、音羽によく似ている。
婆さんに喰ってかかられた封雲は、不満だった。
「晴は、邪神なんだろう?庇う理由は、あるのかい?」
失礼な発言に、婆さんの顔色が変わった。
「そう言うお前さん達は、何だい?」
手元にあった箒を振りかざす。
「やめろよ。封雲!」
封雲の手を引くが、口喧嘩が、ヒートアップしていく。
「前達が、来たのは、神無鬼有の里だろう。何もない里。大きな星の降った里には、紙屑の命すら育たない」
「待って!どうして、僕らの里の名前を・・」
僕が、預けられたのは、寺だったとしか、他人に言っていない。地元の人達が、陰で、神無鬼有と言っていたが、それは、この辺りの人は、誰も知らないはず。
「邪神が育った家だ、関係ないとは、言えない」
封雲は、婆さんの握る箒を叩き落とす。
「認知症なんて、言っているけど、違うな。婆さん」
カーっとくると、封雲は、手に負えない。
僕を庇って、何人かの先輩を怪我させた事もある。
「相手は、年寄りだよ。封雲」
除霊師とは言っても、封雲は、生身の人間にも容赦ない。
禁呪を使用し、酷い目に遭わせる可能性もある。
そうだ。
封雲は、見境がない。
僕が、今まで、距離をとっていた理由だ。
音羽が、僕を守っていた。
「こんな年寄りを相手にしてもな」
封雲は、蔑んだ顔をした。
こんな、封雲を見るのは、嫌な気分だった。
「やめろよ。先生のお婆さんだ」
僕らの先生だ。
最近、いろんな事があって、学校で、先生と逢う事はなかったけど、人間性は、熱い人だった。
「いいか・・・」
封雲の態度に、お婆さんは、言った。
「生きて帰れると思うな。今まで、逢った事のない妖が待っているだろう」
僕らは、顔を見合わせた。
「寺が無くなったのは・・・やはり」
「その里の名前が、どうして、そうなのか、お前達なら、わかるだろう」
そうだ。
そこは、音羽と初めて出会った場所もある。
神はいない。鬼のみ。
そこは、僕ら、捨てられた子供達が、住んでいた寺があった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。



久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる