29 / 79
囚われた邪神
しおりを挟む
その帰り道。
誰もが、振り返って僕らを見ていたと思う。
晴先生は、何があったのか、理解できない様子で、とても、静かだった。
ただ、今までと違うのは、晴先生の首に、金のネックレスが、ある事だった。
「いつ、顔を出すか、わからないからな」
音羽は、そう言うと、何か、口の中で、呟くと、金の鎖は、ネックレスへと姿を変えた。
「新幹線で帰るんだろう?」
別世界に、晴先生を、送り込んでおきながら、帰りは、新幹線で帰れと言う。
「音羽は、ただで、乗れるかもしれないけど」
僕は、携帯すら、持って来ていない晴先生のチケットも購入する羽目になった。
「ごめんな。何で、山で、遭難したのか、覚えていなくて」
それは、そうだ。
晴先生は、必死に弁解した。
「気が付いたら、遭難しかかっていてさ。お婆さんとお孫さん達に助けられた」
助けたと言う3人は、晴先生の真実の姿を見ると、震え上がっていた。
「主の顔も忘れたのか!」
耳まで、口が裂けそうな位に叫んだ音羽は、3人に
「もう少し、修行してこい」
と叫び、砂漠の世界に飛ばした。
あの世とこの世の境だ。
その入り口に、居たのがあの婆さんだ。
3人とも、小鬼だ。
使い魔だった。
「喰われなくて良かったな」
音羽が、トドメを刺した。
「新幹線に乗ったら、ビールくらい飲むんだろう?」
音羽は、何か、酒を買えとせがむ。
「あのさ・・・俺、一応、学生」
「かまわん。晴が許す」
「いやいや。ダメでしょう」
音羽の存在に慣れたのか、顔を出しかけると、舌を鳴らす。
「幽霊っては、昼間も出るなんて、思わなかった」
小鬼達の前で、音羽の存在を知って、2度、気絶した晴先生が言った。
「君には、幽霊が取り憑いていたんだな」
「大した事ないですよ。僕は」
僕は、事前に購入していたお茶を口に含んだ。
「先生ほどでは、ないんで」
「僕?」
晴先生は、おどけて見せた。
「どんだけ、馬鹿なんだか」
音羽が、宙で、舌打ちしたらしく、空気が音を立てた。
「颯太。これで、思い切り、仕事ができる筈だ。お守りができたからな」
「お守り?疫病神では?」
「お守りになるよ。お前の力には、限界があるからな」
「ただの、除霊師でしょ。それ以上の事は、引き受けないし」
「どうやら、そでもないんだぞ」
「こいつが、目を覚ました事が、何よりの証拠だ」
隣で、眠り始めた晴先生の寝顔を指して、音羽は言った。
誰もが、振り返って僕らを見ていたと思う。
晴先生は、何があったのか、理解できない様子で、とても、静かだった。
ただ、今までと違うのは、晴先生の首に、金のネックレスが、ある事だった。
「いつ、顔を出すか、わからないからな」
音羽は、そう言うと、何か、口の中で、呟くと、金の鎖は、ネックレスへと姿を変えた。
「新幹線で帰るんだろう?」
別世界に、晴先生を、送り込んでおきながら、帰りは、新幹線で帰れと言う。
「音羽は、ただで、乗れるかもしれないけど」
僕は、携帯すら、持って来ていない晴先生のチケットも購入する羽目になった。
「ごめんな。何で、山で、遭難したのか、覚えていなくて」
それは、そうだ。
晴先生は、必死に弁解した。
「気が付いたら、遭難しかかっていてさ。お婆さんとお孫さん達に助けられた」
助けたと言う3人は、晴先生の真実の姿を見ると、震え上がっていた。
「主の顔も忘れたのか!」
耳まで、口が裂けそうな位に叫んだ音羽は、3人に
「もう少し、修行してこい」
と叫び、砂漠の世界に飛ばした。
あの世とこの世の境だ。
その入り口に、居たのがあの婆さんだ。
3人とも、小鬼だ。
使い魔だった。
「喰われなくて良かったな」
音羽が、トドメを刺した。
「新幹線に乗ったら、ビールくらい飲むんだろう?」
音羽は、何か、酒を買えとせがむ。
「あのさ・・・俺、一応、学生」
「かまわん。晴が許す」
「いやいや。ダメでしょう」
音羽の存在に慣れたのか、顔を出しかけると、舌を鳴らす。
「幽霊っては、昼間も出るなんて、思わなかった」
小鬼達の前で、音羽の存在を知って、2度、気絶した晴先生が言った。
「君には、幽霊が取り憑いていたんだな」
「大した事ないですよ。僕は」
僕は、事前に購入していたお茶を口に含んだ。
「先生ほどでは、ないんで」
「僕?」
晴先生は、おどけて見せた。
「どんだけ、馬鹿なんだか」
音羽が、宙で、舌打ちしたらしく、空気が音を立てた。
「颯太。これで、思い切り、仕事ができる筈だ。お守りができたからな」
「お守り?疫病神では?」
「お守りになるよ。お前の力には、限界があるからな」
「ただの、除霊師でしょ。それ以上の事は、引き受けないし」
「どうやら、そでもないんだぞ」
「こいつが、目を覚ました事が、何よりの証拠だ」
隣で、眠り始めた晴先生の寝顔を指して、音羽は言った。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。



久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる