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地這いの王は、救いの手になるのか?
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地底の不吉な動きは、地這いの王の子であるナチャにも感じ取るものがあった。転生したシャルを追って、大陸を渡ってきたが、今までに感じた事のない動きだった。
「中核が・・・まさか。ここに?」
東洋には、深い海溝がある幾つか重なる点に大きな山がある。古代から不死の山とも呼ばれ、永遠の噴煙をあげている山である。地底の王族でありながら、遠い昔に、国を追われ、呪術によって、記憶を無くしていたが、姿や記憶を取り戻した今は、古代の霊力が甦りつつあった。戻ってきた感覚は、恐ろしいものだった。
「シャルは、どこに?」
気になるのは、シャルの事だった。シャルの身体は消え、新たに犀花として、転生したが、その魂は、変わらない。
「この動きは・・」
ここに、犀花として、生まれたのは、間違いだ。この地は、危ない。地面の下で、動き回る力は、巨大で、ナチャは、この地を離れるべきと判断した。が、ナチャに味方はなく、兄は、呪術が解けず、力には、なれない。当てになるのは、
「白夜狐か?」
眷属なら、とうにこの事態は、把握しているだろう。八百万の神の眷属とあれば、その霊力を余す事なく、協力してくれるだろう。
「不本意ではあるが」
ナチャとて、白夜狐と協力する事は、納得できない。犀花の前世の中で、何か、深い縁があったようだから。だが、この不穏な動きは、そんな事も言っていられない気がした。
「事態は、一刻を争う」
地の底で、何かが起きようとしている。不本意ながら、白夜狐の居場所を探し、その場に行こうとし、右手を回転し、空を掴んだ。掌の中には、光る石が現れた。
「しばらくぶりだけど」
掌の上で、輝く石は、再び、宙に浮かび上がると、ナチャの額へと消えていった。その時だった、宙を揺るがす波動が、伝わり、感覚が鋭敏なナチャは、思わず、眩暈がして、転倒しそうになり、側にある椅子にしがみついた。音の原因は、空の端から現れ、不死の山の麓へと落ちていった。
「嘘だろう」
ナチャは、目眩に、耳元を抑えた。
「誰だ・・・古代から、厄介な者を連れてきたのは?」
宙に漂う波動に眩暈を感じながら、ナチャは、空気が変わっていくのを感じた。更に、地底の動きが、更に変わっていくのを感じる。
「一体、誰が?過去から連れ出した?何をするつもりなんだ?」
ナチャの額に入った細長い石が、金色の光を放っていた。
「中核が・・・まさか。ここに?」
東洋には、深い海溝がある幾つか重なる点に大きな山がある。古代から不死の山とも呼ばれ、永遠の噴煙をあげている山である。地底の王族でありながら、遠い昔に、国を追われ、呪術によって、記憶を無くしていたが、姿や記憶を取り戻した今は、古代の霊力が甦りつつあった。戻ってきた感覚は、恐ろしいものだった。
「シャルは、どこに?」
気になるのは、シャルの事だった。シャルの身体は消え、新たに犀花として、転生したが、その魂は、変わらない。
「この動きは・・」
ここに、犀花として、生まれたのは、間違いだ。この地は、危ない。地面の下で、動き回る力は、巨大で、ナチャは、この地を離れるべきと判断した。が、ナチャに味方はなく、兄は、呪術が解けず、力には、なれない。当てになるのは、
「白夜狐か?」
眷属なら、とうにこの事態は、把握しているだろう。八百万の神の眷属とあれば、その霊力を余す事なく、協力してくれるだろう。
「不本意ではあるが」
ナチャとて、白夜狐と協力する事は、納得できない。犀花の前世の中で、何か、深い縁があったようだから。だが、この不穏な動きは、そんな事も言っていられない気がした。
「事態は、一刻を争う」
地の底で、何かが起きようとしている。不本意ながら、白夜狐の居場所を探し、その場に行こうとし、右手を回転し、空を掴んだ。掌の中には、光る石が現れた。
「しばらくぶりだけど」
掌の上で、輝く石は、再び、宙に浮かび上がると、ナチャの額へと消えていった。その時だった、宙を揺るがす波動が、伝わり、感覚が鋭敏なナチャは、思わず、眩暈がして、転倒しそうになり、側にある椅子にしがみついた。音の原因は、空の端から現れ、不死の山の麓へと落ちていった。
「嘘だろう」
ナチャは、目眩に、耳元を抑えた。
「誰だ・・・古代から、厄介な者を連れてきたのは?」
宙に漂う波動に眩暈を感じながら、ナチャは、空気が変わっていくのを感じた。更に、地底の動きが、更に変わっていくのを感じる。
「一体、誰が?過去から連れ出した?何をするつもりなんだ?」
ナチャの額に入った細長い石が、金色の光を放っていた。
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