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小さな裏切りの代償
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「ここに君が来たのは、彼女を連れ帰ってくれとお願いするだけではないよね」
リファルは、身構えた。
構えた右手には、いつの間にか、細い剣が握られていた。
「招待したつもりが、招待されるなんてね」
薄く笑う。
「縁があるよ。全く、壁画が思い出させてくれたよ」
「私に、剣を向けるのですか?」
陽葵は、怯む様子もなく、その剣先に、首元を突き出す。
「そう、思うなら、どうぞ、私の命をお取りください」
「以前も、そう言って、逃げ出したよね」
リファルと陽葵のやりとりに、エルタカーゼは、戸惑っていた。
「リファル様、何の事なんです?この娘は・・」
「魂石を持って、逃げた侍従がいたな・・」
「えぇ・・確か、10年位前だったような」
「こんなところで、逢うとはな」
「えぇ?あの雪葵??」
エルタカーゼは、陽葵の顔を、正面から、何度も、見下ろした。
「どうして、ここに?」
剣の先を向けているリファルより、エルタカーゼの方が冷静な様だ。
「何か、理由があっての事でしょう?」
「同情するな。魂石を持ち出すなんて、許せない」
「ですけど、雪葵は、そんな娘では・・」
エルtかーぜは、陽葵の手を取る。
「逢えば、バレてしまうのに、どうして、ここに来たの。本当のあの女性を連れ帰ればいいの?」
「彼女さえ、いなければ、安全なんです」
「誰の事?」
聞かれて陽葵は、目を伏せた。
「一体、何があったの?」
エルタカーゼが、詳しく聞き出そうとした時に、化身した陸羽を伴って、桂華が現れた。
「おや?結局、みなさん、お揃いで?」
化身を解き、人間の姿に戻る。
陸羽は、エルタカーゼやリファルの顔を、見下ろすと、陽葵の前で、ふと、考え込む表情になった。
「お前・・・どこかで」
険しい顔つきで、考え込んだ後、両手を叩く。
「兄者のクリニックの看護師・・・いや、待て。もう少し、前に見た気もする」
険しい顔が、山犬の目になる。
「そうだ・・・あの時、兄者が助けに行った、雪兎だ」
四人の視点の先に、陽葵が居る。
「結局、兄者を追いかけて、現れたか」
その言葉を聞いて桂華の胸が少し痛んだ。
「あなたも、ここに来るとはね」
口を開いた陽葵の言葉が、攻撃だった。
「みんな、ここに簡単に入ったみたいだけど、危険は、感じなかったの?」
桂華は、陽葵の言葉が、届かない振りをした。
「ここには、何かがある。だけど、普通は、入れない筈なのに、入れる」
リファルは、言う。
「罠だと、知ってるよ。この階段は、終わりがない。閉じ込める気なんだ」
「知っているんだ。へぇ」
陸羽は、茶化した。
「なら、この先、どうなるかは、予測つくはずだ」
リファルは、そう言われて笑った。
リファルは、身構えた。
構えた右手には、いつの間にか、細い剣が握られていた。
「招待したつもりが、招待されるなんてね」
薄く笑う。
「縁があるよ。全く、壁画が思い出させてくれたよ」
「私に、剣を向けるのですか?」
陽葵は、怯む様子もなく、その剣先に、首元を突き出す。
「そう、思うなら、どうぞ、私の命をお取りください」
「以前も、そう言って、逃げ出したよね」
リファルと陽葵のやりとりに、エルタカーゼは、戸惑っていた。
「リファル様、何の事なんです?この娘は・・」
「魂石を持って、逃げた侍従がいたな・・」
「えぇ・・確か、10年位前だったような」
「こんなところで、逢うとはな」
「えぇ?あの雪葵??」
エルタカーゼは、陽葵の顔を、正面から、何度も、見下ろした。
「どうして、ここに?」
剣の先を向けているリファルより、エルタカーゼの方が冷静な様だ。
「何か、理由があっての事でしょう?」
「同情するな。魂石を持ち出すなんて、許せない」
「ですけど、雪葵は、そんな娘では・・」
エルtかーぜは、陽葵の手を取る。
「逢えば、バレてしまうのに、どうして、ここに来たの。本当のあの女性を連れ帰ればいいの?」
「彼女さえ、いなければ、安全なんです」
「誰の事?」
聞かれて陽葵は、目を伏せた。
「一体、何があったの?」
エルタカーゼが、詳しく聞き出そうとした時に、化身した陸羽を伴って、桂華が現れた。
「おや?結局、みなさん、お揃いで?」
化身を解き、人間の姿に戻る。
陸羽は、エルタカーゼやリファルの顔を、見下ろすと、陽葵の前で、ふと、考え込む表情になった。
「お前・・・どこかで」
険しい顔つきで、考え込んだ後、両手を叩く。
「兄者のクリニックの看護師・・・いや、待て。もう少し、前に見た気もする」
険しい顔が、山犬の目になる。
「そうだ・・・あの時、兄者が助けに行った、雪兎だ」
四人の視点の先に、陽葵が居る。
「結局、兄者を追いかけて、現れたか」
その言葉を聞いて桂華の胸が少し痛んだ。
「あなたも、ここに来るとはね」
口を開いた陽葵の言葉が、攻撃だった。
「みんな、ここに簡単に入ったみたいだけど、危険は、感じなかったの?」
桂華は、陽葵の言葉が、届かない振りをした。
「ここには、何かがある。だけど、普通は、入れない筈なのに、入れる」
リファルは、言う。
「罠だと、知ってるよ。この階段は、終わりがない。閉じ込める気なんだ」
「知っているんだ。へぇ」
陸羽は、茶化した。
「なら、この先、どうなるかは、予測つくはずだ」
リファルは、そう言われて笑った。
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