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今度は、僕が守るから

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桂華と陸羽が、潜り込んだのは、古城の一番下だった。
上へと伸びる階段が、螺旋状に連なり、彼方、遠くには、誰かしらが、居るのが見えた。
「この上に、リファル達がいるのかしら?」
「降りてきたくても、降りれない」
「・・て言うのは」
「呪だよ。同じ所を行き来している」
「私達が、あそこまで、行く事は?」
「できるけど、どうだろうな。同じ呪にかかり、抜け出せなくなる」
陸羽は、古城の柱のあちこちを叩いて、回っていた。
からくりはこの様に、幾つも重なったのようが、寄木細工の様に、美しい。
「何を見ているの?」
模様にしか、見えない、箱細工を、中身を確認しているように、叩いている。
「この中の一つが、空なんだけど」
見上げると、積み上がった箱の山が、半端ない。
「この箱達は?」
「柱の一部になっているんだけど、前の箱を横にずらし、出てきた箱を、縦にずらしたりしながら、壁の模様が、浮かび上がるように、入れ替えていく」
「入れ替えても、崩れないのね」
「不思議なんだけど、一番手前の箱が、移動する事により、奥まで、届くようになっている」
陸羽は、奥まで、届く箱を開いた。
「ほら・・・空いている」
中身は、空っぽだった。
「これが、逃げ出した鼠の居た箱?」
「うん・・・そうだね」
陸羽は、箱の中に指を入れて、残された羽毛を指に、擦り付ける。
「ほら・・やっぱり、普通のネズミの毛ではないんだ。わかる?」
桂華に、指の先に、くっついた金の羽毛を見せる。
「金色の鼠だよ」
「ここは・・・鼠の獣神だけ?」
「いや・・・そうじゃない。僕らの居た、山にも口伝があって、このずらした箱細工の柱に、肝心の獣神が、入り込、事で、完成する」
「その獣神の事は、どうして、あなたは、知っているの?」
「獣神を紐解くと、自ずとわかるよ。最後の駒が、何で、この陣が、守っている者の正体がね・・」
陸羽は、リファル達のいる方向を見つめると、
「ほら・・・やっぱり、来ると思った」
どうやら、陸羽が、言っているのが、リファル達で、ない事がわかった。
「誰がいるの?」
「桂華。君が一番、逢いたくない奴だ」
「逢いたくない?」
陸羽は、薄く笑う。
「今度は、僕が、守るから。君を二度と辛い目には、合わせないから」
冷たく光る瞳の奥に、桂華が、知らない事実があった。
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