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六芒星の地底に沈む

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伊織は、捕まえた。
陸鳳と大獅子の策略とは、気付かずに。
そこに居たの、大獅子が姿を変えた鼠だった。

「少し、大きすぎやしないか?」
陸鳳は、首を捻った。
「六芒星から逃げ出した鼠は、小さかったのでは?」
「また、変化しなおさないとか?」
大獅子の蒼羽は、不満げだった。
「お前には、無理か?」
陸鳳が、他の生き物に変化する事はできない。
「かといって、誰に頼むか」
鼠なのだ。兎で、はない。兎に心たりは、あるが、危険な目には、合わせられない。
敵役は、狐の大獅子しかない。騙す事には、長けている。
「もう少し、緊張感ないか?」
「これ以上、どうしろと?」
「不細工すぎる」
六芒星の陣は、何を守ろうとしているのか。武人が、陣を定めた聞くが、武人が作ったにしては、繊細な作りだ。繊細に作られた匂いがするが、陣の中に偽って住みながら、見つけ出すことはできなかった。
「このくらいで、いいだろう」
試行錯誤の結果、ようやく、大獅子を美しい白い小鼠の姿に化けさせた。
「陣の中に潜り込むのだな」
「それには、一芝居が必要だ」
陣を探る為、陸鳳と蒼羽h、手を組む事にした。


創宇が探しているのは、あの鼠だろうか?伊織は、迷った。陣の地底底深く、支える柱の一つに隠し扉がある。その中の白鼠が、いなくなったのは、つい先日だった。探しても探しても、見つからない。代わりの鼠捕えたのが、あの栗鼠だった。ただの生き物ではない。獣神ではないと意味がない。

「どうして、鼠にこだわるのです?」
探しても見つからない。創宇に伊織は聞いた。
「獣神には、それぞれ、意味がある。あの鼠は、誕生を司るのだ」
「誕生?」
「生きる事を指す。」
「どうして、陣の中に」
創宇は、黙った。
「いつか、知る時は来る」
伊織は、思った。創宇が隠したがる事。それは、咲夜姫につながる事ではないかと。
「それは、陣が始まった時に、遡る事でしょうか?」
創宇は、答えなかった。それで、伊織には、十分だった。
「霊獣の鼠を探してきます」

それは、目の前にいた。
それとなく、陸鳳は、邪魔をしながら、伊織が、大獅子の化けた小鼠を掴めるように誘導していった。
「この小鼠め!」
そう言いながら、縄で縛り上げる事ができていた。
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