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憂の月姫、白蓮
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梨王と朱殷が、泡立つ水面を見つめている時間はなかった。木々がザワザワとざわめき、瑠璃光が、右袖で香を払う姿が見えたからだ。
「兵士が、いる!」
紫鳳が叫び、青嵐が身構えた。矢を構えた軍兵がワラワラと木々の間から、なだれ込んできた。青嵐が、炎を召喚しようとするのを、紫鳳が、止めた。
「不味い。瑠璃光に任せるんだ」
青嵐の手を取り、木陰へと身を隠す。
「どうして?」
青嵐は、姿を隠そうとする紫鳳を見上げた。
「皇宮の兵士を相手にすると、面倒になる。それに。。。」
瑠璃光の手から放った香が、風に舞い、甘い香を放っていく。輪になり、広がり、兵士達は、陶酔した顔に変わっていった。さらに、瑠璃光が、何かを呟くと梨王と朱殷の姿は、消え、あたり一面、桜の花が咲き乱れていった。
「何か、ありましたか?」
その声に、顔を覗かせると、そこに居るはずだった、瑠璃光の姿は、若く美しい女性の姿になっており、怪訝な顔つきをしている兵士に話しかけていた。
「ここは、探されている場所とは、違うはずです。よく、見渡してごらんなさい」
声を掛けられた指揮官と見られる兵士は、あたりを見回した。
「確かに、龍岩咲の松の木のはずですが」
瑠璃光の紅唇が、上に引きあがると、桜の吹雪が一層強くなった。
「まだ、皇宮から、出ていないはずです。誰に言われて、出ていくのですか?」
「それは。。」
兵士は、口籠った。
「言っても、大丈夫ですよ」
「はい。風蘭様」
瑠璃光の姿は、いつの間にか、男装の皇帝、風蘭に代わっていた。
「龍伝河を堰き止め、妖の龍を撃つように、成徳様が指揮されました」
「成徳が。。」
瑠璃光の双眸が、赤く光った。同時に、河面が激しく泡立ち、水面下の生き物が、顔を出そうと足掻いていた。
「いね!」
瑠璃光の右手が横に走り、白い稲妻が、空を裂いた。同時に、河面が割れ、中から、白銀に輝く龍が現れた。
「抑えられなかったか!」
「余計な事をしおって」
白銀の龍は、同じ白銀の鎧を着た女性の姿に代わっていた。舞い散る桜吹雪は、激しくなり、2人の女性の姿を、浮かび上がらせていた。
「無理はないか?瑠璃光」
「この姿の方が、性に合っててね」
白銀の女性は、百蓮と言って、白虎の剣の主でもあった。
「余計な事をしおって」
周りの兵士を、抜いた剣で、切り付けようとするのを、瑠璃光が、放った花の渦が、押し止めた。
「止めるな!」
「騒ぎが大きくなる。堪えよ」
「放っておくか?我らが、残るか、どうかの戦いじゃ」
瑠璃光と白蓮が争っている間を縫って、銀の矢が放たれた。
「瑠璃光!」
紫鳳が踊りでて、矢を素手で掴むが、刃先が、手をすり抜け、黒い煙が上がった。
「妖を倒す弓矢か?」
瑠璃光の目が細くなった。
「そうだ、決着をつけないとな。瑠璃光」
現れたのは、成徳。男装の皇帝、風蘭の側近であった。
「兵士が、いる!」
紫鳳が叫び、青嵐が身構えた。矢を構えた軍兵がワラワラと木々の間から、なだれ込んできた。青嵐が、炎を召喚しようとするのを、紫鳳が、止めた。
「不味い。瑠璃光に任せるんだ」
青嵐の手を取り、木陰へと身を隠す。
「どうして?」
青嵐は、姿を隠そうとする紫鳳を見上げた。
「皇宮の兵士を相手にすると、面倒になる。それに。。。」
瑠璃光の手から放った香が、風に舞い、甘い香を放っていく。輪になり、広がり、兵士達は、陶酔した顔に変わっていった。さらに、瑠璃光が、何かを呟くと梨王と朱殷の姿は、消え、あたり一面、桜の花が咲き乱れていった。
「何か、ありましたか?」
その声に、顔を覗かせると、そこに居るはずだった、瑠璃光の姿は、若く美しい女性の姿になっており、怪訝な顔つきをしている兵士に話しかけていた。
「ここは、探されている場所とは、違うはずです。よく、見渡してごらんなさい」
声を掛けられた指揮官と見られる兵士は、あたりを見回した。
「確かに、龍岩咲の松の木のはずですが」
瑠璃光の紅唇が、上に引きあがると、桜の吹雪が一層強くなった。
「まだ、皇宮から、出ていないはずです。誰に言われて、出ていくのですか?」
「それは。。」
兵士は、口籠った。
「言っても、大丈夫ですよ」
「はい。風蘭様」
瑠璃光の姿は、いつの間にか、男装の皇帝、風蘭に代わっていた。
「龍伝河を堰き止め、妖の龍を撃つように、成徳様が指揮されました」
「成徳が。。」
瑠璃光の双眸が、赤く光った。同時に、河面が激しく泡立ち、水面下の生き物が、顔を出そうと足掻いていた。
「いね!」
瑠璃光の右手が横に走り、白い稲妻が、空を裂いた。同時に、河面が割れ、中から、白銀に輝く龍が現れた。
「抑えられなかったか!」
「余計な事をしおって」
白銀の龍は、同じ白銀の鎧を着た女性の姿に代わっていた。舞い散る桜吹雪は、激しくなり、2人の女性の姿を、浮かび上がらせていた。
「無理はないか?瑠璃光」
「この姿の方が、性に合っててね」
白銀の女性は、百蓮と言って、白虎の剣の主でもあった。
「余計な事をしおって」
周りの兵士を、抜いた剣で、切り付けようとするのを、瑠璃光が、放った花の渦が、押し止めた。
「止めるな!」
「騒ぎが大きくなる。堪えよ」
「放っておくか?我らが、残るか、どうかの戦いじゃ」
瑠璃光と白蓮が争っている間を縫って、銀の矢が放たれた。
「瑠璃光!」
紫鳳が踊りでて、矢を素手で掴むが、刃先が、手をすり抜け、黒い煙が上がった。
「妖を倒す弓矢か?」
瑠璃光の目が細くなった。
「そうだ、決着をつけないとな。瑠璃光」
現れたのは、成徳。男装の皇帝、風蘭の側近であった。
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