皇帝より鬼神になりたい香の魔道士

蘇 陶華

文字の大きさ
上 下
12 / 82

恋する妖の姫は、魔導士に落ちる

しおりを挟む
瑠璃香は、美しい。大陸から渡ってきた魔導士は、島国の世間知らずな姫君には、魅力的すぎた。妖に魂を売った紗々姫も、変わらず、瑠璃光に眼前で迫られ、少し、たじろいてしまった。瑠璃光の骸と術を手に入れれば、陽の元の国は、自分の物になると、あの者には、教えられていた。百鬼達を従え、三華の塔には、神器が、多くある。使いこなす事は、できる。だが、
「どうです?私の物になりませんか?」
あろう事か、瑠璃光h、紗々姫の手を取って、耳元で、囁いた。甘い瑠璃光の吐息に、沙耶姫の両目からは、光が飛び出しそうだった。
「紗々姫様!」
玉枝御前は、叫んだ。
「しっかりしてください!」
「おい」
紫鳳も、固まっていた。戦闘モードから、抜け出せないでいるのに、何やら、瑠璃香は、自分とは、別のモードにいる事に戸惑っていた。
「私とくるんです」
瑠璃光は、紗々姫の髪に手を回した。変化していた紗々姫の体からは、力が抜けていき、淡い光が、紗々姫の前身を覆っていた。瑠璃光は、ふわりと、紗々姫の体を抱え上げ、三華の塔の上に降り立った。紗々姫は、何が起きたのか、わからず、混乱していたが、姿は、すっかり、人間の愛らしい姫の姿に戻っていた。
「あの。。」
紗々姫が、見上げると、そこには、瑠璃光の優しく見つめる瞳があった。
「私の骸が欲しいならあげますよ。だけど、こうして話を楽しんだり、抱きしめ合ったりする事はできないのでは?」
瑠璃香に見つめられ、そう囁かれると、確かにそう思えてくる。術師ての腕は、欲しいし、こうしてそばにいてくれるなら、それに越した事はない。
「沙耶姫様!」
沙耶姫の異様な雰囲気に、玉枝御前は、ただならぬ展開を察知し叫んだ。
「三華の塔を守るのです。この国を変えるのでは、なかったのですか?あやつらの意のままにはせず、変えようと、かく。。。」
言いかけて、玉枝御前は、ハッとして口をつぐんだ。
「まぁ。。よい。玉枝」
紗々姫は、瑠璃香の肩越しに言った。
「何も、骸が良いと言う訳ではない」
瑠璃香の顔から、目が離せない
「中身があった方がいいとは、思わぬか」
それを聞いて、瑠璃香の口元は、緩んだ。
「そうですよ。。さあ、ここは、冷える故、中に入りませんか」
「ちょ!」
慌てて紫鳳は、声を上げた。
「そのままにしておくのかよ!」
瑠璃香は、冷めた一瞥を送ると
「あやつは、うるさい故。。」
術を唱えると、ヒュッと音がして、瑠璃香の袖に、封印されてしまった。
「さぁ。。中で、茶でも」
そう言うと瑠璃香は、紗々姫を抱え上げ、三華の塔へと入っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません

ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは 私に似た待望の男児だった。 なのに認められず、 不貞の濡れ衣を着せられ、 追い出されてしまった。 実家からも勘当され 息子と2人で生きていくことにした。 * 作り話です * 暇つぶしにどうぞ * 4万文字未満 * 完結保証付き * 少し大人表現あり

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシャリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

処理中です...