87 / 96
音の辿る道
しおりを挟む
たまには、叔母の言う事を聞こう。
本当は、寂しい人なのかもしれない。
夫は、ギャンブル好きな上に、投資で、幾つも失敗をしている。
他に女性がいるかもしれない。
そんな中で、叔母は、澪の家族に固執している。
寂しい人だから。
そう思って、理解しようとしていた。
叔母は、寂しい人。
自分は?
光を失って寂しいと思わなかったの。
自分の大事な人を亡くして、何も感じなかった?
そんな筈ない。
覗き込んだら、底のない暗闇が口を開けていた。
「澪・・・飲み込まれてはダメだ」
気が狂いそうな現実。
目が見えない事が、良かったのか。
悲惨な状況を見ずに済んだ。
亡くなった彼の姿を見ないですんだのが、救いだった。
脳裏に弾ける様々な光のグラデーション。
視力を失った代わりに、与えられたのは、声を色で、見る能力。
誰よりも、人の声を聞き分ける事ができる。
「混んでいるみたいね。時間どうり着きそう?」
叔母は、運転手に声をかける。
叔母の気に入ったバイオリニストが海では、ない事は明らかだった。
年齢的にも、海ではないか。
そう思って、澪は、安心していた。
日本に居る間だけ、バックアップしたい。
叔母が、音楽に興味を持つとは、思っていなかった。
それとも、ビジュアルで、好きになったのか。協力会社の家族だからなのか。
叔母にしては、珍しい。
はしゃいで、いた。
澪には、わかる。
叔母の声が、ピンクやオレンジに弾けていた。
「なあに、少しも、進まないじゃない?」
ライブ会場の、近くの国道は、渋滞で、少しも、車が動かなかった。
「仕方がないわよ。ライブのせいでしょう?」
澪が言うと
「いえ・・・そうでも、ないみたいで。」
当惑した運転手が言った。
車の脇を、何やら、騒ぎながら、女の子達が、渋滞した車の間をすり抜けていく。
「何か、あるみたいよ」
叔母も、騒ぎに気がつく。
「ライブとは、また、違うみたいね」
遠くから、騒ぐ、人溜りから、何やら、音が流れてくる。
「会場の前で、何か、あるみたい」
叔母が、遠くを見つめていた。
「何か、聞こえる」
人々の声に混じって、何か、音が聞こえてくる。
澪の脳裏に、色が弾ける。
「何かしら?」
叔母はには、わからない。
「えぇ・・・そう。ここで、車を止めて」
車道の真ん中で、降りようとする澪に、叔母は、慌てた。
「ここは、無理よ。危ないわ」
「大丈夫よ」
澪には、聞こえる。
音が、彼女を導いていた。
「こんな所で、あなたに怪我されたら・・・」
慌てる叔母。
「あの場所に行かなきゃ・・」
ドアに手を掛け、降りようとする澪を引き止めるように、叔母も車から、降りる事にした。
「どうしたの、あなたらしくない」
「行かなきゃ」
目が見えない筈なのに、澪は、まっすぐ、人だかりに向かって歩いていく。
行き交う人にぶつかりそうになるので、叔母は、間に、入りながら、ガードしていく。
澪は、こんな子だったかしら?
叔母の疑問に対する答えは、目指す、人だかりの中にあった。
本当は、寂しい人なのかもしれない。
夫は、ギャンブル好きな上に、投資で、幾つも失敗をしている。
他に女性がいるかもしれない。
そんな中で、叔母は、澪の家族に固執している。
寂しい人だから。
そう思って、理解しようとしていた。
叔母は、寂しい人。
自分は?
光を失って寂しいと思わなかったの。
自分の大事な人を亡くして、何も感じなかった?
そんな筈ない。
覗き込んだら、底のない暗闇が口を開けていた。
「澪・・・飲み込まれてはダメだ」
気が狂いそうな現実。
目が見えない事が、良かったのか。
悲惨な状況を見ずに済んだ。
亡くなった彼の姿を見ないですんだのが、救いだった。
脳裏に弾ける様々な光のグラデーション。
視力を失った代わりに、与えられたのは、声を色で、見る能力。
誰よりも、人の声を聞き分ける事ができる。
「混んでいるみたいね。時間どうり着きそう?」
叔母は、運転手に声をかける。
叔母の気に入ったバイオリニストが海では、ない事は明らかだった。
年齢的にも、海ではないか。
そう思って、澪は、安心していた。
日本に居る間だけ、バックアップしたい。
叔母が、音楽に興味を持つとは、思っていなかった。
それとも、ビジュアルで、好きになったのか。協力会社の家族だからなのか。
叔母にしては、珍しい。
はしゃいで、いた。
澪には、わかる。
叔母の声が、ピンクやオレンジに弾けていた。
「なあに、少しも、進まないじゃない?」
ライブ会場の、近くの国道は、渋滞で、少しも、車が動かなかった。
「仕方がないわよ。ライブのせいでしょう?」
澪が言うと
「いえ・・・そうでも、ないみたいで。」
当惑した運転手が言った。
車の脇を、何やら、騒ぎながら、女の子達が、渋滞した車の間をすり抜けていく。
「何か、あるみたいよ」
叔母も、騒ぎに気がつく。
「ライブとは、また、違うみたいね」
遠くから、騒ぐ、人溜りから、何やら、音が流れてくる。
「会場の前で、何か、あるみたい」
叔母が、遠くを見つめていた。
「何か、聞こえる」
人々の声に混じって、何か、音が聞こえてくる。
澪の脳裏に、色が弾ける。
「何かしら?」
叔母はには、わからない。
「えぇ・・・そう。ここで、車を止めて」
車道の真ん中で、降りようとする澪に、叔母は、慌てた。
「ここは、無理よ。危ないわ」
「大丈夫よ」
澪には、聞こえる。
音が、彼女を導いていた。
「こんな所で、あなたに怪我されたら・・・」
慌てる叔母。
「あの場所に行かなきゃ・・」
ドアに手を掛け、降りようとする澪を引き止めるように、叔母も車から、降りる事にした。
「どうしたの、あなたらしくない」
「行かなきゃ」
目が見えない筈なのに、澪は、まっすぐ、人だかりに向かって歩いていく。
行き交う人にぶつかりそうになるので、叔母は、間に、入りながら、ガードしていく。
澪は、こんな子だったかしら?
叔母の疑問に対する答えは、目指す、人だかりの中にあった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる?
「年下上司なんてありえない!」
「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」
思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった!
人材業界へと転職した高井綾香。
そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。
綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。
ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……?
「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」
「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」
「はあ!?誘惑!?」
「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【R18】愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
奏音 美都
恋愛
シャルール公国のプリンセス、アンジェリーナの公務の際に出会い、恋に落ちたソノワール公爵であったルノー。
両親を船の沈没事故で失い、突如女王として戴冠することになった間も、彼女を支え続けた。
それから幾つもの困難を乗り越え、ルノーはアンジェリーナと婚姻を結び、単なる女王の夫、王配ではなく、自らも執政に取り組む国王として戴冠した。
夫婦となって初めて迎えるアンジェリーナの誕生日。ルノーは彼女を喜ばせようと、画策する。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
青い導火線 クセモノたちの狂詩曲
奈月沙耶
恋愛
高校生になって始まったのは騒がしい日々。
クセモノな先輩たちに振り回されて彼はたくましくなっていく。
やがて知る様々な思い、たくさんの思惑。
そして一生ものの恋が始まる――――。
始めは学園コメディですが後半恋愛色が強くなります。多角多面な恋愛模様がお好きな方は是非。
今後は「Lotus 便利屋はカフェにいる」に続きます。
※2021/12/11~冒頭から文章とレイアウトの手直ししていきます。内容に変更はありません
*登場人物
・池崎正人
新入生。持ち前の行動力と運動能力で活躍するようになる。負けず嫌いで男らしい性格だが察しが悪い。
・中川美登利
中央委員会委員長。容姿の良さと性格の特異さで彼女を慕う者は多いが恐れる者も多い。
・一ノ瀬誠
生徒会長。美登利の幼馴染。彼女に動かされているようでいて、実はいちばん恐れられている。
・綾小路高次
風紀委員長。堅物で融通が利かないが、意外な一面を持っていたりもする?
・坂野今日子
中央委員会書記。価値観のすべてを美登利を基準に置き絶対的に従っている。
・船岡和美
中央委員会兼放送部員。軽快なトークが得意。
・澤村祐也
文化部長。ピアノの達人。彼も幼い頃から美登利に心酔している。
・安西史弘
体育部長。際立った運動能力の持ち主で「万能の人」とあだ名される。性格は奇々怪々。
・森村拓己
正人の同級生で同じく寮生。美登利の信奉者。計算力が高く何事もそつなくこなす。
・片瀬修一
正人の同級生。総合的に能力が高く次期中央委員長と目される。マイペースで一見感情が鈍いようにも見えるが。
・小暮綾香
正人の同級生で調理部員。学年一の美少女。
・須藤恵
綾香の親友。大人し気な様子だが計算力が高く、けっこうちゃっかりしている。
・宮前仁
美登利と誠の幼馴染。市内の不良グループをまとめる櫻花連合の総長になるため北部高校に入学した経緯を持つ。
・錦小路紗綾
綾小路の婚約者。京都に住んでいる。
・志岐琢磨
喫茶ロータスのマスター。元櫻花連合総長。美登利たちの後ろ盾のような存在。
・中川巽
美登利の兄。初代生徒会長。「神童」「天才」と称されるものの、人間的に欠けている部分が多い。それゆえに妹との関係を拗らせてしまう。
・榊亜紀子
美大生。芸術に精魂を傾ける奇抜な性格の持ち主。
・村上達彦
巽の同級生。生い立ちと持って生まれた優秀さのせいで彼もまた拗らせている。中川兄妹に出会って一層歪んでしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる