62 / 127
遠くなる君の影
しおりを挟む
「いつも、振り回してごめんな」
そんな寧大の謝罪の言葉は、何度、聞いただろう。
「いい加減にしろよ」
そう言いながら、結局、許してしまう僕。
項垂れる寧大は、子犬の様に、上目遣いで、僕を見上げる。
「俺は・・・ずっと、海になりたかった?」
「え?僕?なんで」
本当の親もいない僕の何処が羨ましいの?
僕には、自由で、やりた事をやっている寧大が、羨ましかったのに。
「才能もあるし、人を惹きつける力もある。ずっと、お前になりたいと思っていた」
「よせよ」
僕の首に腕を回す寧大を払いのける。
「結局、俺の周りの女の子も、みんな、お前に惹きつけられる」
「そんな事ないだろう」
「知っている癖に」
僕は、ハッとした。
「花子・・・」
寧大が呟く。
「知っていたんだろう?」
「あぁ・・・」
寧大は、僕の才能とか言うけど、花子も最初は、寧大の派手な顔に惹かれたのは、事実だ。
僕が、魅力的なんて、否定する。
「本当、ごめんな」
何度、謝るのか。
僕は、行き詰まった寧大の為に、音夢の父親に会う事になっていった。
「澪は・・・」
口に出そうになって、僕は、口を閉じた。
どんな映像が出来ているんだろう。
僕のイメージが掻き立てられた。
旋律が頭に浮かぶ。
優しい色が、何層も重なり、彼女をイメージした歌が生まれる。
それを、載せてやりたい。
今すぐ、届けたいけど。それは、叶わないのかも。
寧大は、巨大な渦だ。
僕を飲み込んでしまう。
彼から、離れないと、穏やかな生活ができそうにない。
「少し、待ってて・・」
僕は、寧大にそう言い、彼から、離れた場所で、閃いた歌を携帯に録音した。
「まだ、完成してないけど、この次、逢った時には、生で披露するから」
そう付け足して、録音した歌を送信した。
この歌は、寧大には、知られたくなかった。
きっと、寧大は、借金の肩に、僕らの歌を持っていってしまうだろう。
寧大に、声を掛けてきた音夢の父親の事だって、どれだけ、信じられるか、わからない。
あの事件の事を考えると、結構、裏社会の顔もありそうだった。
「だから・・・頼むよ」
そう言う寧大と音夢の父親が、待つカフェに向かう事になった。
そんな寧大の謝罪の言葉は、何度、聞いただろう。
「いい加減にしろよ」
そう言いながら、結局、許してしまう僕。
項垂れる寧大は、子犬の様に、上目遣いで、僕を見上げる。
「俺は・・・ずっと、海になりたかった?」
「え?僕?なんで」
本当の親もいない僕の何処が羨ましいの?
僕には、自由で、やりた事をやっている寧大が、羨ましかったのに。
「才能もあるし、人を惹きつける力もある。ずっと、お前になりたいと思っていた」
「よせよ」
僕の首に腕を回す寧大を払いのける。
「結局、俺の周りの女の子も、みんな、お前に惹きつけられる」
「そんな事ないだろう」
「知っている癖に」
僕は、ハッとした。
「花子・・・」
寧大が呟く。
「知っていたんだろう?」
「あぁ・・・」
寧大は、僕の才能とか言うけど、花子も最初は、寧大の派手な顔に惹かれたのは、事実だ。
僕が、魅力的なんて、否定する。
「本当、ごめんな」
何度、謝るのか。
僕は、行き詰まった寧大の為に、音夢の父親に会う事になっていった。
「澪は・・・」
口に出そうになって、僕は、口を閉じた。
どんな映像が出来ているんだろう。
僕のイメージが掻き立てられた。
旋律が頭に浮かぶ。
優しい色が、何層も重なり、彼女をイメージした歌が生まれる。
それを、載せてやりたい。
今すぐ、届けたいけど。それは、叶わないのかも。
寧大は、巨大な渦だ。
僕を飲み込んでしまう。
彼から、離れないと、穏やかな生活ができそうにない。
「少し、待ってて・・」
僕は、寧大にそう言い、彼から、離れた場所で、閃いた歌を携帯に録音した。
「まだ、完成してないけど、この次、逢った時には、生で披露するから」
そう付け足して、録音した歌を送信した。
この歌は、寧大には、知られたくなかった。
きっと、寧大は、借金の肩に、僕らの歌を持っていってしまうだろう。
寧大に、声を掛けてきた音夢の父親の事だって、どれだけ、信じられるか、わからない。
あの事件の事を考えると、結構、裏社会の顔もありそうだった。
「だから・・・頼むよ」
そう言う寧大と音夢の父親が、待つカフェに向かう事になった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説




鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。



とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる