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1章
(70)ドワーフ族とエルフ族は犬猿の仲?
しおりを挟むドワーフ王にとってエルフ族3部族連合と
戦うことはかなり苦しい展開であった。
このまま戦い続けると負けるだろうと
思っていた。
そんな折に以前から懇意にしていた
ドノバンが中央帝国の使者としてきたのだ。
中央帝国がドワーフ国と
同盟を結びたいという会談内容であると
事前に聞いたドワーフ王は喜んだ。
ドワーフ族は中央帝国以上にエルフ族が
嫌いであった。
エルフ族に滅ぼされるくらいなら
中央帝国と同盟することを選ぶほど
嫌いであった。
もちろん、エルフ族もドワーフ族が大嫌いである。
中央帝国が後ろ盾になるということは
エルフ族も容易にはドワーフ国へ
侵攻がしづらくなる。
ドワーフ王は同盟を結びたいと
思っていたが足元を見られてはならないと
ドライな対応を心がける。
「ドノバン、そちの顔に免じて
先の中央帝国の我が国への
侵攻については触れぬでおこう」
「ありがとうございます。
中央帝国の皇帝ライト様は
以前の皇帝ではありません。
平和的解決を望んでおります。
ドワーフ国ともこれからは良い
関係を築けると思います」
「わかった。夜の会談では
過去のことは水に流して
話し合おうではないか」
……… ……… ………
「ドワーフ王よ、会談の申し入れを
受け入れてくれてありがとう」
「ドノバンがどうしてもと申すので
受けたまでだ。申し出の内容を
教えてもらおう」
「中央帝国としてはこれからは
侵略による領土拡大は行わないつもりだ。
できる限り近隣諸国と良好な関係を
築いていくことを国の基本としたい」
「なるほど、それでドワーフ国とも
同盟をしたいと?」
「その通りだ。過去の我々の行いを
改めたいと思っている」
「狡猾で残虐な行いしかしてこなかった
中央帝国に対してすぐに信じるわけには
いかないぞ」
「時間をかけても信頼を
取り戻すつもりだ」
「それでは明日、エルフ族との戦場に出て
中央帝国のライトが参戦していることを
示すことはできるのか?」
「もちろんだ、エルフ族に顔を
見せるとしよう」
「エルフ族への牽制ができたならば
同盟のことを前向きに考えよう」
「わかった。それでは明日の夜
再度話し合おうではないか」
……… ……… ………
「攻めろーっ!ドワーフ国は
今やもう滅びる寸前だぁ~!」
エルフ族はここぞとばかりに攻め入る。
ドワーフ国は防戦一方である。
エルフ族が前のめりになり
攻めかかっている。
司令部である本陣も前のめりである。
「ドカッーン」
爆撃魔法が本陣の目の前に炸裂する。
かなり大きな爆撃のため
エルフ族本陣は慌てふためく。
目の前には空中に浮かぶ
中央帝国皇帝ライトの姿。
「エルフ族に告ぐ。
中央帝国はドワーフ国に
手を貸すことに決めた。
死にたいエルフ族は
このまま攻めてこい」
エルフ族は戦いを止めざるを得なかった。
中央帝国は強大であり、ドワーフ国との
小競り合いとは訳が違うのである。
それでもエルフ族の中で1人だけは
考えが違った。
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