上 下
70 / 76
1章

(70)ドワーフ族とエルフ族は犬猿の仲?

しおりを挟む

ドワーフ王にとってエルフ族3部族連合と
戦うことはかなり苦しい展開であった。

このまま戦い続けると負けるだろうと
思っていた。

そんな折に以前から懇意にしていた
ドノバンが中央帝国の使者としてきたのだ。

中央帝国がドワーフ国と
同盟を結びたいという会談内容であると
事前に聞いたドワーフ王は喜んだ。

ドワーフ族は中央帝国以上にエルフ族が
嫌いであった。

エルフ族に滅ぼされるくらいなら
中央帝国と同盟することを選ぶほど
嫌いであった。

もちろん、エルフ族もドワーフ族が大嫌いである。

中央帝国が後ろ盾になるということは
エルフ族も容易にはドワーフ国へ
侵攻がしづらくなる。

ドワーフ王は同盟を結びたいと
思っていたが足元を見られてはならないと
ドライな対応を心がける。

「ドノバン、そちの顔に免じて
 先の中央帝国の我が国への
 侵攻については触れぬでおこう」

「ありがとうございます。
 中央帝国の皇帝ライト様は
 以前の皇帝ではありません。
 平和的解決を望んでおります。
 ドワーフ国ともこれからは良い
 関係を築けると思います」

「わかった。夜の会談では
 過去のことは水に流して
 話し合おうではないか」

……… ……… ………

「ドワーフ王よ、会談の申し入れを
 受け入れてくれてありがとう」

「ドノバンがどうしてもと申すので
 受けたまでだ。申し出の内容を
 教えてもらおう」

「中央帝国としてはこれからは
 侵略による領土拡大は行わないつもりだ。

 できる限り近隣諸国と良好な関係を
 築いていくことを国の基本としたい」

「なるほど、それでドワーフ国とも
 同盟をしたいと?」

「その通りだ。過去の我々の行いを
 改めたいと思っている」

「狡猾で残虐な行いしかしてこなかった
 中央帝国に対してすぐに信じるわけには
 いかないぞ」

「時間をかけても信頼を
 取り戻すつもりだ」

「それでは明日、エルフ族との戦場に出て
 中央帝国のライトが参戦していることを
 示すことはできるのか?」

「もちろんだ、エルフ族に顔を
 見せるとしよう」

「エルフ族への牽制ができたならば
 同盟のことを前向きに考えよう」

「わかった。それでは明日の夜
 再度話し合おうではないか」

……… ……… ………

「攻めろーっ!ドワーフ国は
 今やもう滅びる寸前だぁ~!」

エルフ族はここぞとばかりに攻め入る。
ドワーフ国は防戦一方である。

エルフ族が前のめりになり
攻めかかっている。

司令部である本陣も前のめりである。

「ドカッーン」

爆撃魔法が本陣の目の前に炸裂する。

かなり大きな爆撃のため
エルフ族本陣は慌てふためく。

目の前には空中に浮かぶ
中央帝国皇帝ライトの姿。

「エルフ族に告ぐ。
 中央帝国はドワーフ国に
 手を貸すことに決めた。
 死にたいエルフ族は
 このまま攻めてこい」

エルフ族は戦いを止めざるを得なかった。

中央帝国は強大であり、ドワーフ国との
小競り合いとは訳が違うのである。

それでもエルフ族の中で1人だけは
考えが違った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔王城の面子、僕以外全員ステータスがカンストしている件について

ともQ
ファンタジー
昨今、広がる異世界ブーム。 マジでどっかに異世界あるんじゃないの? なんて、とある冒険家が異世界を探し始めたことがきっかけであった。 そして、本当に見つかる異世界への経路、世界は大いに盛り上がった。 異世界との交流は特に揉めることもなく平和的、トントン拍子に話は進み、世界政府は異世界間と一つの条約を結ぶ。 せっかくだし、若い世代を心身ともに鍛えちゃおっか。 "異世界履修"という制度を発足したのである。 社会にでる前の前哨戦、俺もまた異世界での履修を受けるため政府が管理する転移ポートへと赴いていた。 ギャル受付嬢の凡ミスにより、勇者の村に転移するはずが魔王城というラストダンジョンから始まる異世界生活、履修制度のルール上戻ってやり直しは不可という最凶最悪のスタート! 出会った魔王様は双子で美少女というテンション爆上げの事態、今さら勇者の村とかなにそれ状態となり脳内から吹き飛ぶ。 だが、魔王城に住む面子は魔王以外も規格外――そう、僕以外全てが最強なのであった。

精霊のジレンマ

さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。 そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。 自分の存在とは何なんだ? 主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。 小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。

サフォネリアの咲く頃

水星直己
ファンタジー
物語の舞台は、大陸ができたばかりの古の時代。 人と人ではないものたちが存在する世界。 若い旅の剣士が出逢ったのは、赤い髪と瞳を持つ『天使』。 それは天使にあるまじき災いの色だった…。 ※ 一般的なファンタジーの世界に独自要素を追加した世界観です。PG-12推奨。若干R-15も? ※pixivにも同時掲載中。作品に関するイラストもそちらで投稿しています。  https://www.pixiv.net/users/50469933

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ
ファンタジー
勇者によって魔王が討伐されてから千年の時が経ち、人族と魔族による大規模な争いが無くなっていた。 それでも人々は魔族を恐れ、いつ自分たちの生活を壊しに侵攻してくるのかを心配し恐怖していた ───── 。 サーバイン戦闘専門学校にて日々魔法の研鑽を積んでいたスズネは、本日無事に卒業の日を迎えていた。 卒業式で行われる『召喚の儀』にて魔獣を召喚する予定だっのに、何がどうなったのか魔族を統べる魔王クロノを召喚してしまう。 訳も分からず契約してしまったスズネであったが、幼馴染みのミリア、性格に難ありの天才魔法師、身体の頑丈さだけが取り柄のドワーフ、見習い聖騎士などなどたくさんの仲間たちと共に冒険の日々を駆け抜けていく。 そして・・・スズネと魔王クロノ。 この二人の出逢いによって、世界を巻き込む運命の歯車がゆっくりと動き出す。 ■毎週月曜と金曜に更新予定です。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

櫻木零
ファンタジー
20XX年。特にこれといった長所もない主人公『朝比奈陽翔』は二人の幼なじみと充実した毎日をおくっていた。しかしある日、朝起きてみるとそこは異世界だった!?異世界アリストタパスでは陽翔はグランと名付けられ、生活をおくっていた。陽翔として住んでいた日本より生活水準が低く、人々は充実した生活をおくっていたが元の日本の暮らしを知っている陽翔は耐えられなかった。「生活水準が低いなら前世の知識で発展させよう!」グランは異世界にはなかったものをチートともいえる能力をつかい世に送り出していく。そんなこの物語はまあまあ地頭のいい少年グランの異世界建国?冒険譚である。小説家になろう様、カクヨム様、ノベマ様、ツギクル様でも掲載させていただいております。そちらもよろしくお願いします。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...