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1章
(27)ウァイト、エルフ族を初めて認識する
しおりを挟む自由な時間の一日目が過ぎた。
ウァイトは食事をとり、お風呂に入り
床についた。
ウァイトは自分の力が強いことに
ウキウキであった。
「明日は魔法やスキルを
試してみようかな~」
独り言を口ずさむ。
「そうだ!明日はまず王宮内を
探検しよう」
ウァイトは新しいこの世界に
興味津々である。
一年以上休職していたため
外の世界とふれあわなかった反動に
駆られている。
わくわくしながらも疲れ切ってウァイトは
そのまま眠りにつく...... ......
・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・ ・・・・・・
「コンッ...コンッ...コン」
寝室のドアからノックの音がなる。
「入れ」
寝ぼけながらもウァイトは
一番偉い人のようなつもりで声を出す。
「失礼します」
キュウイチゴが入ってくる。
「お休みでしたら申し訳ございません。
起床の時間ですが
いかがなさいますか?」
(そうか、前の団長は朝誰よりも
早く起きるんだった...)
ウァイトはサブロクとのやりとりを
思い出す。
「すまん。まだ体調が戻りきらない。
だがもう起きよう」
「本日のご予定はいかがなさいますか?」
「今日は午前中に王宮内を見て回ろうと
思う。午後は闘技場の予定だ」
「わかりました。
外には出られないご様子ですね。
本日のバトラーは私が
選定いたしましょうか?」
「いや、今日は王宮内に留まるから
バトラーはいなくてよい」
ダメ元で言ってみる。
「かしこまりました。
それでは王宮外に出られる際は
必ずお申し付けください」
(王宮内はバトラーなしでOKなんだ)
一人の方が気が楽なので良かったと
心の中で喜ぶウァイト。
ウァイトはキュウイチゴのエスコートに従い洋服に着替え、朝食をとり、
王宮内の散策に出掛ける。
「意外と質素だな。王宮って言うと
もっと豪華なイメージを
してたけどなぁ」
王宮の中を歩きながら
(意外につまらないな)と
感じてしまうほど質素である。
「大聖堂はきれいだったのになぁ」
とぼやいてしまうほどだ。
歩いていると向こうから人がやってくる。
なにか見た目に違和感があるが
それが何かはわからない。
こちらに気付いたその青年は
廊下の端により敬礼をしている。
「お疲れ様」
とりあえずウァイトは声を掛けてみる。
その男性は敬礼はしているものの、
気弱そうな敬礼と顔をしている。
「まだ記憶が戻りきっていないから
名前を教えてもらっていいかな?」
「はっ。私は第一師団ジュピター様の
副官のリトルです」
弱々しい声で答える。
「それじゃリトルは魔道士かな?」
「その通りです。
ジュピター様には叱られてばかり
ですが......」
リトルは言ってはいけないことを
言ってしまった顔をしている。
「リトル。申し訳ないんだが
何か違和感を感じるんだけど普通と
何か違うの?」
ウァイトは容姿のことをずけずけと聞く。
「多分ですがエルフ族だからです、
かな......」
とたどたどしく答える。
「!!! なるほど!耳がとがっている。
顔もきれいな顔筋をしている」
違和感の答えがわかるとすっきりする。
「エルフ族は他にもいるの?」
優しく問いかける。
「第三師団長のスカイ様とフライ様です。
あとはバトラーのニーナナヨンゴと
ヨンゴーナナゴーです。
聖騎士国ではまだまだ他部族は
少ないですので」
「ありがとう。
引き続きこの国のために頼む」
ウァイトはそう言うとその場を離れ王宮内を散策する。
「意外な発見。エルフ族がいた。
ほかにもいるのかな~」
新しい発見に今日初めてのワクワクを
感じる。
そして一番楽しみにしていた
闘技場での魔法とスキルの試し打ち。
昼食をとり、闘技場に向かう
ウァイトであった。
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