上 下
21 / 76
1章

(21)副団長の復活は『半分成功、半分失敗』

しおりを挟む
聖霊の力により身体の動かし方や
力の加減が制御できるようになったウァイトは
大司教の下へ各師団長と三老聖とともに向かう。

サドキエル大聖堂の門を開けるとそこには
アズラエル大司教とセカンドとモーメントがいた。

大聖堂の中央にウィークスの身体が捧げられている。

その下でアズラエルは魔法を詠唱し
聖霊を召喚しようと試みている。

「聖霊の召喚ではウィークスは蘇生しないよ」

ディーナシーが突如現れ
ウァイトに話しかけてくる。

「アズラエルが召喚できる聖霊では
 なんにも起こせないよ。

 だって副団長の自爆聖魔法の聖霊は
 破壊の聖霊グレムリンだからね」

ムリアンも現れた。

「部品を破壊した。破壊した」
グレムリンがキャッキャと声を発する。

「ということは蘇生の聖霊もいるの?」

「蘇生は難しい。難しい」
グレムリンがキャッキャと声を発する。

「100%修復することはできないけど
 グレムリンなら蘇生させることは
 できるかもね」

ムリアンが可能性を示唆する。

「聖騎士副団長は俺には必要な存在でしょ?
 俺を守ってくれる守護者が
 副団長ってさっき聞いたよ?」

「蘇生してくれたらなんでも一つ
 言うこと聞くよ」

「グレムリン、これから団長が
 もっと楽しませてくれるらしいから
 修復してあげて」

ディーナシーがグレムリンにお願いをする。

「壊した部品をくっつける。くっつける」

グレムリンはウィークスの周りを飛び回り
光の粉を振りかける。

「半分成功。半分失敗。半分成功。半分失敗」
グレムリンはキャッキャと声を発する。

ウィークスはそっと目を覚ます。

いつものように表情は変えずに辺りを見回す。

「副団長が目を覚ましたぁ~!」

セカンドとモーメントがガッツポーズをする。

「神よ。おぉ神よ。感謝しますぞぉ」

とアズラエルは天に向かって祈りを捧げる。

「...... ...... ......」

ウィークスは何も反応しない。

「ウィークス、声がでないのか?」

声をかけたのはウァイトだった。

ウァイトは「半分失敗」と
グレムリンの言っていた言葉が聞こえていたので
ウィークスの状態が心配だった。

まさか声が出せない身体になったのでは
ないかと不安になっていた。

「......話せます...」

ウィークスが声を発する。

「ほっ」

ウァイトは胸をなで下ろす。

「よくわかっていないのですが
 ここはどこですか?」

ウィークスが質問をする

「生き返りにより記憶が混濁しているのでしょう。
 まずはすこしお休みをしていただきましょう。

 セカンド、モーメント、副団長を自室まで
 お連れしてあげなさい」

スァタンが指示を出す。

セカンドがウィークスを抱きかかえようとする。

「自分で歩けますので結構です」

ウィークスがすごい勢いで手を払いのける。

「申し訳ございません。
 出過ぎたまねをいたしました。
 お許しください」

セカンドが謝罪の言葉を述べる

「いえ、気にしないでください。
 すこし休ませてください」

ウィークスは受け答えをする。

「はっ。かしこまりました。

 私に付いてきてください。副団長。

 自室までお連れいたします」

セカンドがウィークスを誘導して大聖堂をでる。

「このあとはいかがなさいますか。ウァイト様」

スァタンが伺いを立てる。

「私も少し疲れた。全員、戦いの疲れもあるだろう。

 数日は鋭気を養うとしよう」

ウァイトはそう答えると各自休みを取るように
指示をだす。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

精霊のジレンマ

さんが
ファンタジー
普通の社会人だったはずだが、気が付けば異世界にいた。アシスという精霊と魔法が存在する世界。しかし異世界転移した、瞬間に消滅しそうになる。存在を否定されるかのように。 そこに精霊が自らを犠牲にして、主人公の命を助ける。居ても居なくても変わらない、誰も覚えてもいない存在。でも、何故か精霊達が助けてくれる。 自分の存在とは何なんだ? 主人公と精霊達や仲間達との旅で、この世界の隠された秘密が解き明かされていく。 小説家になろうでも投稿しています。また閑話も投稿していますので興味ある方は、そちらも宜しくお願いします。

サフォネリアの咲く頃

水星直己
ファンタジー
物語の舞台は、大陸ができたばかりの古の時代。 人と人ではないものたちが存在する世界。 若い旅の剣士が出逢ったのは、赤い髪と瞳を持つ『天使』。 それは天使にあるまじき災いの色だった…。 ※ 一般的なファンタジーの世界に独自要素を追加した世界観です。PG-12推奨。若干R-15も? ※pixivにも同時掲載中。作品に関するイラストもそちらで投稿しています。  https://www.pixiv.net/users/50469933

転移想像 ~理想郷を再現するために頑張ります~

すなる
ファンタジー
ゼネコン勤務のサラリーマンが祖父の遺品を整理している中で突如異世界に転移してしまう。 若き日の祖父が言い残した言葉に導かれ、未知の世界で奮闘する物語。 魔法が存在する異世界で常識にとらわれず想像力を武器に無双する。 人間はもちろん、獣人や亜人、エルフ、神、魔族など10以上の種族と魔物も存在する世界で 出会った仲間達とともにどんな種族でも平和に暮らせる街づくりを目指し奮闘する。 その中で図らずも世界の真実を解き明かしていく。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

魔王召喚 〜 召喚されし歴代最強 〜

四乃森 コオ
ファンタジー
勇者によって魔王が討伐されてから千年の時が経ち、人族と魔族による大規模な争いが無くなっていた。 それでも人々は魔族を恐れ、いつ自分たちの生活を壊しに侵攻してくるのかを心配し恐怖していた ───── 。 サーバイン戦闘専門学校にて日々魔法の研鑽を積んでいたスズネは、本日無事に卒業の日を迎えていた。 卒業式で行われる『召喚の儀』にて魔獣を召喚する予定だっのに、何がどうなったのか魔族を統べる魔王クロノを召喚してしまう。 訳も分からず契約してしまったスズネであったが、幼馴染みのミリア、性格に難ありの天才魔法師、身体の頑丈さだけが取り柄のドワーフ、見習い聖騎士などなどたくさんの仲間たちと共に冒険の日々を駆け抜けていく。 そして・・・スズネと魔王クロノ。 この二人の出逢いによって、世界を巻き込む運命の歯車がゆっくりと動き出す。 ■毎週月曜と金曜に更新予定です。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

王家から追放された貴族の次男、レアスキルを授かったので成り上がることにした【クラス“陰キャ”】

時沢秋水
ファンタジー
「恥さらしめ、王家の血筋でありながら、クラスを授からないとは」 俺は断崖絶壁の崖っぷちで国王である祖父から暴言を吐かれていた。 「爺様、たとえ後継者になれずとも私には生きる権利がございます」 「黙れ!お前のような無能が我が血筋から出たと世間に知られれば、儂の名誉に傷がつくのだ」 俺は爺さんにより谷底へと突き落とされてしまうが、奇跡の生還を遂げた。すると、谷底で幸運にも討伐できた魔獣からレアクラスである“陰キャ”を受け継いだ。 俺は【クラス“陰キャ”】の力で冒険者として成り上がることを決意した。 主人公:レオ・グリフォン 14歳 金髪イケメン

魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~

月見酒
ファンタジー
 俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。  そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。  しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。 「ここはどこだよ!」  夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。  あげくにステータスを見ると魔力は皆無。  仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。 「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」  それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?  それから五年後。  どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。  魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!  見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる! 「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」 ================================  月見酒です。  正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。

処理中です...