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1章
春休み最終日はニャン銃士!
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いつもの春休みに戻った。
おれはくるみ、未知さんのことも考え出すようになった。
それでもシルさんが1番多く脳裏に浮かぶ。
やはり自分の気持ちを確かめるためには
シルさんに会わなければはっきりしないと思う。
そして合宿解散のその日の夜から
またあの公園に通い始める。
それでもやはり会えない………
和菓子屋「藍」にも通う。
やはり会えない。
「はぁ~………」
夜、自宅のリビングでため息をつく。
「もう!いい加減にしなさい」
じんのが怒り口調で声を掛けてくる。
ツンデレ人格のじんのだ。
「春休み、じんのをどこかに連れていってあげてないの?」
「あっ、ごめん。そうだ!合宿で遊んだだけだ」
「あの子は優しいからおねだりしないのよ。
どこか遊びに連れていってあげなさい」
ツンデレじんのは口調はきついが基本優しい。
おれがどちらのじんのにも分け隔てなく優しく接するから
ツンデレじんのも俺のことが嫌いではない。
「そうだね。どこがいいかな?」
「そんなの自分で考えなさい」
「そんなこと言わずに、じんののためにも教えてくださーい」
「もう、わかったわ。好きなものは一緒だから
たぶん、アニメのニャン銃士なんかのイベントは
喜ぶと思うわ」
「なるほど!ネットで探してみるよ」
「そろそろ気付いてよね。わたしが現れる時は
じんのが何かしら我慢した時なのよ」
「確かにそうだ!
いまのじんのが現れるということは
じんのに負担を掛けてるということだね。
気をつけるよ。
ところで晩御飯何がいい?
じんのにも喜んでもらいたいから
おいしいものつくるぞ」
「なんでもいい」
「そんなこというなよ。
オムライス、ハートマーク付きでいい?」
「子どもじゃないんだからハートなんていらない」
「じゃあ特大ハートで!」
「………」
ツンデレじんのは黙っていたが内心は喜んでいることをおれは知っている。
「オムライス食べて、一緒にお風呂入って、一緒に寝よう」
「勝手にすれば」
ツンデレじんのが現れた時はその日はツンデレじんのに尽くすことが大切だ。
ルーティンはオムライス、お風呂、寝かしつけを手を抜かずに行うこと。
そうすれば次の日朝起きると甘えん坊ないつものじんのに戻っている。
じんのが寝た後、ネットでニャン銃士について調べる。
そしてその後あの公園にいく。
結果はいつもと一緒でシルさんはいない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「じんのー、春休みの最後の日に一緒にお出かけしないか?」
「いいの?? うれしい!どこ行くの?」
「お兄ちゃんともう1人のじんのと相談して決めました!」
俺は明るくなにかの発表風にしゃべった。
「パチパチパチ」
じんのは喜んで拍手してくれる。
「ニャン銃士のイベントだー!」
「おおー!! やったー!」
じんのは大喜びだ。
ニャン銃士とは人型のネコのペルとシルとメルが中世を舞台に
悪者と戦ってやっつけていくストーリーだ。
小学生低学年と猫好きが好きなアニメである。
今回のイベントのメインは着ぐるみを着たニャン銃士が
舞台でキャラクターショーをしてくれる。
そしてそこに本物の声優さんが声を当ててくれるという豪華な内容だ。
子ども向けがメインだが声優陣も豪華らしく
人気のイベントで定期的に行われているらしい。
春休み最終日のイベントが決まった。
イベント当日、じんのは大はしゃぎ。
会場についても辺りをキョロキョロして落ち着きがない。
このイベントは小学生かカメラ小僧の大人か声優ファンの客層だった。
正直、おれはこの手のアニメには興味がない。
もちろん声優のこともよく知らない。
知っていても「くりかん」や「のざまさ」ぐらいだ。
「きむすば」も知っていたな、と思いつつ
今日の主役はじんのだ。
目一杯楽しんでもらおう。
「よいこのみんなー、こんにちわー」
司会のお姉さんの声がこだまする。
「こんにちわー」
じんのの声もみんなと一緒にこだましていた。
「じゃあまずはニャン銃士を呼びましょう!
大声でせーの!」
「ペルー、シルー、メルー」
みんな大はしゃぎで大声で呼ぶ。
もちろんじんのもおおはしゃぎ。
ただ、じんのは少し浮いていた。
なぜなら声を出す元気な子供は小学生。
どちらかというと低学年寄りだ。
中2の女の子だとある意味目立ってしまう。
ショーは大盛況だった。
おれはイオソとかで行われるキャラショーぐらいのイメージをしていた。
おれが小さいころもよく連れて行ってもらったものだ。
でもちがった。
最新は着ぐるみショーとモニターでアニメを映し出し連動させる。
さらにプロジェクションマッピングも活用していて
ニャン銃士好きで無くてもそれなりに楽しめる。
クライマックスではこの日1番の大盛り上がりを見せる。
悪の組織のボスとの対決だ。
ネズミをモチーフにした『チュー魔王』とニャン銃士との戦いだ。
「ペルー、がんばれ~!」
「シルー、負けるな~!」
「メルー、やっつけろ~!」
子供達の黄色い声援が飛び交う。
「まっち~!」
「しるくちゃ~ん!」
「かなちゃ~ん」
クライマックスに合わせて今度は声優ファンが
声優に声援を送る。
ついにニャン銃士の必殺技が飛び出す。
「ペルスラーッシュ!」
「シルアターック!」
「メルクラッシュ!」
キャラクターと声優のコラボが会場を大熱気に包む。
「パチパチパチ!パチパチパチ!」
ショーの終わりと共に拍手の嵐が生れた。
おれはちょっとした感動を覚えた。
キャラショーだけでは見て楽しむだけ。
声優だけでは熱狂しない。
プロジェクションマッピングだけでもみるだけ。
その3つが同時に行われるとここまで感動をもたらせてくれるとは。
「第一部が終わったね。
第二部は声優陣のイベントみたいだけどどうする?」
興奮冷めあらぬじんのに問いかける。
「みたい!だってシルーの話すとこみたいもん」
じんのはシルー推しだった。
たしかにチラシには声優のイベントトークと
映像を流しながら生アテレコをステージでしてくれると
書いてあった。
おれはくるみ、未知さんのことも考え出すようになった。
それでもシルさんが1番多く脳裏に浮かぶ。
やはり自分の気持ちを確かめるためには
シルさんに会わなければはっきりしないと思う。
そして合宿解散のその日の夜から
またあの公園に通い始める。
それでもやはり会えない………
和菓子屋「藍」にも通う。
やはり会えない。
「はぁ~………」
夜、自宅のリビングでため息をつく。
「もう!いい加減にしなさい」
じんのが怒り口調で声を掛けてくる。
ツンデレ人格のじんのだ。
「春休み、じんのをどこかに連れていってあげてないの?」
「あっ、ごめん。そうだ!合宿で遊んだだけだ」
「あの子は優しいからおねだりしないのよ。
どこか遊びに連れていってあげなさい」
ツンデレじんのは口調はきついが基本優しい。
おれがどちらのじんのにも分け隔てなく優しく接するから
ツンデレじんのも俺のことが嫌いではない。
「そうだね。どこがいいかな?」
「そんなの自分で考えなさい」
「そんなこと言わずに、じんののためにも教えてくださーい」
「もう、わかったわ。好きなものは一緒だから
たぶん、アニメのニャン銃士なんかのイベントは
喜ぶと思うわ」
「なるほど!ネットで探してみるよ」
「そろそろ気付いてよね。わたしが現れる時は
じんのが何かしら我慢した時なのよ」
「確かにそうだ!
いまのじんのが現れるということは
じんのに負担を掛けてるということだね。
気をつけるよ。
ところで晩御飯何がいい?
じんのにも喜んでもらいたいから
おいしいものつくるぞ」
「なんでもいい」
「そんなこというなよ。
オムライス、ハートマーク付きでいい?」
「子どもじゃないんだからハートなんていらない」
「じゃあ特大ハートで!」
「………」
ツンデレじんのは黙っていたが内心は喜んでいることをおれは知っている。
「オムライス食べて、一緒にお風呂入って、一緒に寝よう」
「勝手にすれば」
ツンデレじんのが現れた時はその日はツンデレじんのに尽くすことが大切だ。
ルーティンはオムライス、お風呂、寝かしつけを手を抜かずに行うこと。
そうすれば次の日朝起きると甘えん坊ないつものじんのに戻っている。
じんのが寝た後、ネットでニャン銃士について調べる。
そしてその後あの公園にいく。
結果はいつもと一緒でシルさんはいない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「じんのー、春休みの最後の日に一緒にお出かけしないか?」
「いいの?? うれしい!どこ行くの?」
「お兄ちゃんともう1人のじんのと相談して決めました!」
俺は明るくなにかの発表風にしゃべった。
「パチパチパチ」
じんのは喜んで拍手してくれる。
「ニャン銃士のイベントだー!」
「おおー!! やったー!」
じんのは大喜びだ。
ニャン銃士とは人型のネコのペルとシルとメルが中世を舞台に
悪者と戦ってやっつけていくストーリーだ。
小学生低学年と猫好きが好きなアニメである。
今回のイベントのメインは着ぐるみを着たニャン銃士が
舞台でキャラクターショーをしてくれる。
そしてそこに本物の声優さんが声を当ててくれるという豪華な内容だ。
子ども向けがメインだが声優陣も豪華らしく
人気のイベントで定期的に行われているらしい。
春休み最終日のイベントが決まった。
イベント当日、じんのは大はしゃぎ。
会場についても辺りをキョロキョロして落ち着きがない。
このイベントは小学生かカメラ小僧の大人か声優ファンの客層だった。
正直、おれはこの手のアニメには興味がない。
もちろん声優のこともよく知らない。
知っていても「くりかん」や「のざまさ」ぐらいだ。
「きむすば」も知っていたな、と思いつつ
今日の主役はじんのだ。
目一杯楽しんでもらおう。
「よいこのみんなー、こんにちわー」
司会のお姉さんの声がこだまする。
「こんにちわー」
じんのの声もみんなと一緒にこだましていた。
「じゃあまずはニャン銃士を呼びましょう!
大声でせーの!」
「ペルー、シルー、メルー」
みんな大はしゃぎで大声で呼ぶ。
もちろんじんのもおおはしゃぎ。
ただ、じんのは少し浮いていた。
なぜなら声を出す元気な子供は小学生。
どちらかというと低学年寄りだ。
中2の女の子だとある意味目立ってしまう。
ショーは大盛況だった。
おれはイオソとかで行われるキャラショーぐらいのイメージをしていた。
おれが小さいころもよく連れて行ってもらったものだ。
でもちがった。
最新は着ぐるみショーとモニターでアニメを映し出し連動させる。
さらにプロジェクションマッピングも活用していて
ニャン銃士好きで無くてもそれなりに楽しめる。
クライマックスではこの日1番の大盛り上がりを見せる。
悪の組織のボスとの対決だ。
ネズミをモチーフにした『チュー魔王』とニャン銃士との戦いだ。
「ペルー、がんばれ~!」
「シルー、負けるな~!」
「メルー、やっつけろ~!」
子供達の黄色い声援が飛び交う。
「まっち~!」
「しるくちゃ~ん!」
「かなちゃ~ん」
クライマックスに合わせて今度は声優ファンが
声優に声援を送る。
ついにニャン銃士の必殺技が飛び出す。
「ペルスラーッシュ!」
「シルアターック!」
「メルクラッシュ!」
キャラクターと声優のコラボが会場を大熱気に包む。
「パチパチパチ!パチパチパチ!」
ショーの終わりと共に拍手の嵐が生れた。
おれはちょっとした感動を覚えた。
キャラショーだけでは見て楽しむだけ。
声優だけでは熱狂しない。
プロジェクションマッピングだけでもみるだけ。
その3つが同時に行われるとここまで感動をもたらせてくれるとは。
「第一部が終わったね。
第二部は声優陣のイベントみたいだけどどうする?」
興奮冷めあらぬじんのに問いかける。
「みたい!だってシルーの話すとこみたいもん」
じんのはシルー推しだった。
たしかにチラシには声優のイベントトークと
映像を流しながら生アテレコをステージでしてくれると
書いてあった。
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