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●REC
●REC<25>
しおりを挟む「したいことは色々思い付くんだけど、忘れないうちにしておきたいのはやっぱり――♡♡」
彼は再び私に近付き、目線を合わせて、両腕を首と背中の後ろに回した。
(ハグ?♡♡ ……挿れるために適当に胸揉んで、下弄ってみたいなの当たり前になってたから、裸でハグって久しぶりかも♡♡ 正常位もAVみたいに身体起こしてする男ばっかだったし、密着正常位も好きなのにあんまり長い時間付き合ってもらってなかったし…………)
肩に顎を乗せ、髪に顔を擦り付けている彼を眺めて考える。
(なのに、鏑木くんは挿れる前にハグしてくれるんだ♡ きっと他の男と一緒で、早くしたくて仕方ないはずなのに……♡♡ ここまで私のこと好きでいてくれてるひとなんて、今までいなかったんじゃない?♡♡)
「…………気持ちいいな……♡♡ 居酒屋にいたのに、髪もいい匂いだし全然べたついてないし♡♡ お肌のほうも『離れないで♡ もっとくっついてて♡』って訴えてるみたい♡ 紗世ちゃんも気持ちいいって思ってくれてたらいいな…………」
自分の命よりも大切な宝物を抱くような抱擁だと思った。――――少なくとも、私の目にはそう見えてしまった。
(……なんだろう。……なんでかなあ。さっきまでは『寝てる人間に何してるの!?』って思ってたはずなのに、今は『なんでこのときに目を覚ませなかったんだろう』って後悔してる。そしたら、一応は合意の上ってことになるから、鏑木くんの罪だって少しは軽くできたはずだもん)
「大好きだよ、紗世ちゃん……。こんな卑怯な真似してごめんね…………。大好きなんだ。小さい頃から。…………でも、再会してからはもっともっと大好き。『愛してる』って言葉も、君相手だったら嘘にならないって確信出来る……」
真剣な声が胸を打った。
(昔の私と今の私じゃ随分違うし、今の私、自分でも嫌なとこばっかり目に付くんだけど…………。それでも鏑木くんは私のこと好きでいてくれて、そんな風に言ってくれるんだね……)
外側から貫かれるのではなく、内側から巨大な杭が突き出してきているのではないかと思ってしまうような痛みが私の胸を襲うけれど、鏑木くんが感じてきた痛みはこんなものではないはずだ。
(贅沢だな。ハイスペな人に想われてるとかじゃなくて、ここまで受け入れてくれてる人が長い間近くにいることが……。しかも、ずっと無自覚だったとか。私、救いようのない大馬鹿者だよ……)
正確な年数はわからないけれど、苦悶の叫びを上げずにはいられないような痛苦に耐えて堪えて、ひたすらに想い続けてくれた彼の後ろ姿には、きっと目には見えない傷がある。
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