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●REC
●REC<12>
しおりを挟む俺の腕の下で、小さな身体が小さく震えた。日が陰ってきて冷房のききがよくなりすぎたのかと思ったけど、シーツをぎゅっと握っただけらしかった。
(あー……。たぶんまだ気付いてないんだな。場所もそうだし、女の子の正体にも。……紗世ちゃん、自分に嫉妬してるんだね♡♡ なんだ♡♡ 思った以上に愛されてるじゃん、俺♡♡ でも、それならそれで――――)
顔が見えなくても、あまり支障はないみたいだ。彼女はすべてにおいて正直だったらしい。シーツを握る手にはどんどん力がこもっていっている。
(俺の手でも腕でも抓ってくれていいのにな。あのコが紗世ちゃんじゃないコだった場合、君にはそれをする権利があるんだから。付き合い始めたばっかの彼氏が他のコとイチャイチャしてる過去映像観せられてるんだぜ? 怒っていいんだよ?)
彼女の腕の上に乗っけるように腕を重ねた。だが、思った以上に忍耐強いのか。単に気付いていないだけか。彼女が俺の手に制裁を加えることはなかった。
(だけど、いつまでいい子に観てられるかな♡♡ あんまりやきもちとか不安とかばっかなのもかわいそうだから、早い段階で女の子が紗世ちゃんだって気付けたらいいんだけど)
映像の中の俺が華奢な腕を撫で回し始めた。掴むのをやめたはいいけど、腕に執着しすぎじゃないかな。――というか、我ながらいやらしい手つきだ。下心しか感じられない。
何気なく本物の彼女の様子を確認したところ、先ほど手があったはずの場所には、シーツを握り締めていた跡だけが残されていた。
では、彼女の手はどこに行ったんだろう? 肘の角度を見て、その疑問は氷解した。
(胸元ねえ……♡♡ 下持ってっちゃうのはあからさますぎるけど、胸なら俺に隠れていじれなくもないもんね?♡♡)
俺が見てもいやらしいということは、紗世ちゃんから見ても(よく言えば)さぞかし官能的だったことだろう。
そうでなくても心身ともに準備万端だった彼女のことだ。今、シたくてシたくて仕方ない気分なんじゃない?♡
(こないだ添い寝したときも、めっちゃめちゃ積極的だったもんね……♡♡ スイッチ入っちゃうと、するまでおさまらないんだろうな。だから、何股もかけてたわけか……。これからは俺が責任持って鎮めてあげるから、浮気なんて絶対しないでね♡♡♡)
今度こそ腕と腕を重ね、手首をそっと拘束した。俺といるんだから、ひとりで楽しむなんて許さないよ?
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