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●REC
●REC<4>
しおりを挟む「それはそう……!! 今から観るのも、ちょっとエッチな内容っぽいし…………」
こんなに密着していつもの何倍も大袈裟に脈打つ鼓動が伝わってしまわないか心配だけれど、今更だ。
「どうかなあ♡♡ 『ちょっと』で済むといいね?♡」
彼は顎をくいっと上げ、余裕の笑みを浮かべている。
「ちょっとで済まない可能性あるの?♡♡ そしたら、鏑木くんこそ私に襲われる覚悟しといてよね♡♡」
そんな彼を見上げながら、冗談めかして宣言してみた。
「あっははは♡ いいよいいよ、大歓迎♡♡ でも、俺を襲うからには逆転されることも承知したうえでよろしくね?♡♡ 最後までおとなしくしてるとか、絶対出来ないと思うしさ?♡」
「……わかった♡」
毎度お馴染み『yours』のパーカーを着用しているとき、アニマル耳付きのフードを頭に被っていることが多いせいで、彼の頭にチーターやトラといった肉食獣の耳が生えているような幻覚に襲われた。
(鏑木くん、サーバル耳とかも似合いそう♡♡ おっきいリボンしてるみたいになって絶対可愛い♡♡)
私が『彼に似合うのはどの動物の耳か』なんて検討していることも知らずに、彼は手遊びに私の頬をむにむにし出した。
(クマちゃんとかもいいかも♡ 凶暴だけど、お耳の形はめちゃくちゃ可愛いし♡ お耳の形の可愛さでいくと、アライグマも外せないよね♡ ……別に肉食獣縛りってわけでもないのに、さっきから肉食獣ばっかり……! 私ってば、鏑木くんのこと『可愛めの肉食獣』だと思ってる……?♡♡)
「一回ぎゅってしちゃうと、いつまでもこうしてたくなるな…………。こんなの紗世ちゃんが初めてだ……」
頭の上から顔に視線を下げたら、彼は幸福そうに瞼を閉じていた。
(肉食獣なんて失礼だったかも! 鏑木くんはこんなに優しくて可愛いのに♡ ……動物詳しくないけど、うさちゃんとかパンダさんとかって感じかなあ……?♡♡ 片っぽ直角に折れて垂れてて、もう片っぽはぴーんって立ってるうさ耳パーカーとかないのかな?♡ あったら絶対似合うのに♡♡)
リラックスしきった表情も少し眠そうな声も、普段の頼りがいのある(……そして、ちょっぴり毒気もある)しっかり者の彼からは想像のつかないものだった。
「もうちょっとこのままでいる?♡♡ 私も鏑木くんにぎゅってしてもらうの好きだし……♡♡」
珍しい姿の彼をもう少し眺めていたくて、提案してみたけれど――――。
「ありがと♡ でも、全然『もうちょっと』じゃ済まなくて、カーテン閉めた意味なくなっちゃいそうだし、後ろからぎゅってしててあげるから、向こう向いて?♡♡ 俺が観せたいもの、紗世ちゃんもずっと気になってたでしょ?♡」
長い睫毛を押し上げて、大きな双眸が開いた。そのさまは、月明かりの下で甘い香りを放ちながら開花を遂げる月下美人のようだと思った。
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