yours-夢の罪過-

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
149 / 158
●REC

●REC<3>

しおりを挟む

<紗世side>


 鏑木くんが手元のスマートフォンを操作すると、ずっと黒一面だった画面が突然明るく――――なることはなかった。

 大きな大きなテレビ画面には、どこか見覚えのある空間が映った――と思ったところで、映像は一時停止された。

「どうしたの? 映す予定のやつ、これじゃなかったとか?」

 彼からテレビに戻したばかりの視線を再び彼に向けようとしたけれど。

「いや、そういうわけじゃなくて……。ごめん。うっかりしてた。まだ昼間なんだから、カーテン開けっぱなしじゃろくに画面見えないよね。ごめんね。ちょっと待ってて」

 ベッドが弾んだのを認識するのと時を同じくして、軽い着地音が響いた。

「確かにちょっと明るいかも」
 
 私が起き上がったとき、彼はすでに窓の前にいた。教えてもらった通りに右を下にして横になっていたおかげか、お腹の苦しさはだいぶ解消されてきていた。

「私も手伝うよ!」

 遅れてベッドから下りて宣言する。彼の響かせた着地音よりも重そうな音が出て恥ずかしかったのは、ここだけの秘密だ。

「助かるよ。じゃあ、紗世ちゃんはそっち側のカーテン閉めてくれる?」

 彼は少しも気にしていないようで、仕事を終えたところだった。部屋の半分ほどが時間帯には似つかわしくない暗がりに早変わりだ。

「わかった!」

 飛んできた指示に従ってカーテンを閉め、急いでベッドに戻ったけれど、先に行動を開始した分、ベッドに引き上げるのも彼のほうが早かった。

「そっち側のカーテン閉めてくれてありがとう♡♡ ふたりでやったおかげですぐ終わったね♡」

 そのせいで、私はベッドの上で待つ彼の胸に自ら飛び込んでいかなければならなくなった。

「いつまでもそんなとこで突っ立ってないで戻ってきなって♡♡ 紗世ちゃんとずーっとくっついてる前提で温度低めに設定してあるから、早く来てくれないと寒くて凍えちゃうんだけど♡♡」

 彼はわざとらしく両手で自分を抱き締めて肩を竦めてみせた。
 
 真夏の昼間の――おまけに高層階の――部屋のクーラーのききめなんてたかが知れているのに、なんとも策士な彼らしくて自然に笑みがこぼれた。

「それはごめんね! でも、自分から行くのってめちゃめちゃ恥ずかしいというか……!」

 お酒が入っていれば、この程度のことはお茶の子さいさいなのに。

「まあまあ、そう言わずに♡♡ どうせ背中向けちゃうんだから、恥ずかしいのなんて一瞬で終わるって♡」

「ん、それもそうだね……」
 
 観念してベッドに膝を立て、そのまま彼のところまでずりずり膝歩きした。

「やっと戻ってきてくれた♡ 可愛い可愛い俺の紗世ちゃん♡ 照れ屋さんなとこも可愛いけど、観終わったらもっともっと恥ずかしいことするのに、この程度で恥ずかしがっててどうするのさ♡♡」

 到着して早々ぷいっと背中を向けてしまうのも愛想がなさすぎると思って正面から抱き着いたら、彼からも愛情たっぷりのハグをお返しされてしまった。

 ――――やっぱり設定温度の話は大嘘だ。だって、顔もカラダもこんなに火照って仕方ない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話

mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。 クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。 友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

お風呂でエッチな意地悪をされちゃうお話

まゆら
恋愛
洗っているだけだから感じちゃダメだよって言われながら、乳首やクリを責められちゃって、いやいやしても許してもらえない女の子のお話です。 pixivとFantiaでは『お風呂で乳首と……』で投稿している作品です。 アルファポリスで投稿するには、ちょっと躊躇ってしまったので、タイトルを変更してますが、内容はpixivと同じです。 こちらの編集中に間違えて前に投稿した下の作品を削除してしまいました😭 再投稿をしてるので、またよろしくお願いします…。 『お家デートでエッチないたずら』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/924228204/475663228

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

お屋敷メイドと7人の兄弟

とよ
恋愛
【露骨な性的表現を含みます】 【貞操観念はありません】 メイドさん達が昼でも夜でも7人兄弟のお世話をするお話です。

処理中です...