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●REC
●REC<3>
しおりを挟む<紗世side>
鏑木くんが手元のスマートフォンを操作すると、ずっと黒一面だった画面が突然明るく――――なることはなかった。
大きな大きなテレビ画面には、どこか見覚えのある空間が映った――と思ったところで、映像は一時停止された。
「どうしたの? 映す予定のやつ、これじゃなかったとか?」
彼からテレビに戻したばかりの視線を再び彼に向けようとしたけれど。
「いや、そういうわけじゃなくて……。ごめん。うっかりしてた。まだ昼間なんだから、カーテン開けっぱなしじゃろくに画面見えないよね。ごめんね。ちょっと待ってて」
ベッドが弾んだのを認識するのと時を同じくして、軽い着地音が響いた。
「確かにちょっと明るいかも」
私が起き上がったとき、彼はすでに窓の前にいた。教えてもらった通りに右を下にして横になっていたおかげか、お腹の苦しさはだいぶ解消されてきていた。
「私も手伝うよ!」
遅れてベッドから下りて宣言する。彼の響かせた着地音よりも重そうな音が出て恥ずかしかったのは、ここだけの秘密だ。
「助かるよ。じゃあ、紗世ちゃんはそっち側のカーテン閉めてくれる?」
彼は少しも気にしていないようで、仕事を終えたところだった。部屋の半分ほどが時間帯には似つかわしくない暗がりに早変わりだ。
「わかった!」
飛んできた指示に従ってカーテンを閉め、急いでベッドに戻ったけれど、先に行動を開始した分、ベッドに引き上げるのも彼のほうが早かった。
「そっち側のカーテン閉めてくれてありがとう♡♡ ふたりでやったおかげですぐ終わったね♡」
そのせいで、私はベッドの上で待つ彼の胸に自ら飛び込んでいかなければならなくなった。
「いつまでもそんなとこで突っ立ってないで戻ってきなって♡♡ 紗世ちゃんとずーっとくっついてる前提で温度低めに設定してあるから、早く来てくれないと寒くて凍えちゃうんだけど♡♡」
彼はわざとらしく両手で自分を抱き締めて肩を竦めてみせた。
真夏の昼間の――おまけに高層階の――部屋のクーラーのききめなんてたかが知れているのに、なんとも策士な彼らしくて自然に笑みがこぼれた。
「それはごめんね! でも、自分から行くのってめちゃめちゃ恥ずかしいというか……!」
お酒が入っていれば、この程度のことはお茶の子さいさいなのに。
「まあまあ、そう言わずに♡♡ どうせ背中向けちゃうんだから、恥ずかしいのなんて一瞬で終わるって♡」
「ん、それもそうだね……」
観念してベッドに膝を立て、そのまま彼のところまでずりずり膝歩きした。
「やっと戻ってきてくれた♡ 可愛い可愛い俺の紗世ちゃん♡ 照れ屋さんなとこも可愛いけど、観終わったらもっともっと恥ずかしいことするのに、この程度で恥ずかしがっててどうするのさ♡♡」
到着して早々ぷいっと背中を向けてしまうのも愛想がなさすぎると思って正面から抱き着いたら、彼からも愛情たっぷりのハグをお返しされてしまった。
――――やっぱり設定温度の話は大嘘だ。だって、顔もカラダもこんなに火照って仕方ない。
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