yours-夢の罪過-

●REC

●REC＜2＞

「紗世ちゃんは他になんて言ってたかな……。無口で？」

　彼女の証言には、先週の昏睡レイプを決行したときの俺の様子と符合する部分があった。

（『現実での俺の行動が彼女にエッチな夢を見せてたかもしれない』って思うと、興奮するな♡♡ なんだこれ？♡ 支配欲の一種か……？）

「……うん♡ 悲しかったし寂しかったはずなんだけど、お顔が優しかったからいいかなあって思っちゃった♡♡」

　彼女は先週と同じように申告してきてくれた。ただ、どんな顔してたかは確認のしようがないしなあ……。他にもっと判断基準になりそうなもの――ああ、俺にもト・レ・ー・ド・マ・ー・ク・があったじゃん♡♡

「紗世ちゃんは優しいね♡ ちなみに、服装とかって覚えてる？♡」

「服？♡♡ えっと、ちょっと待ってね？　私、ずーっと鏑木くんのお顔見てた気がするし、思い出せるかわからないんだけど……♡♡」

「へえ♡♡ 紗世ちゃん、抱かれてる間ずっと俺の顔見てたの？♡♡」

　彼女が俺の顔に弱いことは知ってたし、そこは全然意外じゃないんだけど、嬉しかったからサービスのつもりでさっき以上に顔を近付けた。
　
　ずっと好きだった君を抱いたおかげか先週から肌の調子も絶好調だし、好きなだけ見ていいよ♡ 

「鏑木くんのお顔好きだし、いっぱいキスしてくれたから♡♡ ……じゃなくて、そのとき何着てたか思い出すんだったよね！　ええっと……」

　彼女は慌てて本筋に戻ってくれたけど、思わぬ収穫があった。――あの日、俺は貪るように口付けを繰り返していたはずだから。

（やっぱり多少は影響してるっぽいな♡♡ それもこれもきっと紗世ちゃんが素直なおかげだね♡）

「うーん？　……だけど、エッチのときなんだから裸じゃ――――あれ？　でも、確かに鏑木くん、何か着てた気がするかも……？」

「何着てたかまでは思い出せない感じかな？」

「うん。ごめんね？　思い出そうとしてるんだけど、鏑木くんのお顔しか浮かんでこなくて……♡♡」　

　軽く両手を合わせて『ごめんね』のポーズを取った彼女にキスをした。唇を挟むようなやつ。

「ん……♡」

「そっか♡♡ 全然大丈夫だよ♡ いっぱい頑張ってくれてありがとう♡」

　愛おしさが募っただけだけど、ご褒美も兼ねられてちょうどよかったかも。
　
「…………そのときの俺ってさ、もしかしたらこんな感じだったんじゃないかなあ♡♡」

　キスの余韻を引き摺りつつも、暗くなる寸前のスマートフォンの画面をタップして、そこに映っているものを何十倍も大きなテレビ画面に映し出した。

　――――さあ、楽しい時間の始まりだ。