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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<43>
しおりを挟む<紗世side>
「俺がこっちじゃなくて、そっち行って…………♡♡」
私を跨ぐことも出来たのに彼はそうはせず、足元をぐるっと回った。
「こうやって後ろからぎゅーってしたら、もっといいかも♡♡」
彼の提唱するベストポジションが大体わかったところで、背後からにゅっと伸びてきた腕に絡めとられる。
特に寒いと感じていたわけではなかったのに、背中がじんわりあたたかくなって、自分の身体がクーラーに冷やされていたことに気が付いた。
「先週の添い寝のときはずっと向かい合ってたから、こっちからは初めてかな?♡♡ 捕まえちゃった感出るね♡♡ こっちも好きだな♡」
彼が耳元で囁いただけでなく、そこで笑ったものだから、耳の中を小人が通り抜けていったみたいに擽ったい。
シチュエーションのせいか声色のせいか。寝る直前の甘い声と寝起きの掠れた声までよみがえってきて、頬が熱くなった。
「これなら、鏑木くんも右のほう下にできるね♡ 逆でもよかったんじゃないかと思うけど、鏑木くんは後ろからのハグで大丈夫だった?♡」
「ん?♡♡ 逆?♡」
彼の声が近付いた。耳が弱いと知ってのことか。
彼は私の男性遍歴を快く思っていないのだろうと思うことは多々あるけれど、欲しい言葉を欲しいときに掛けてくれて、ときめくポイントも完璧に押さえている彼だって、相当慣れているはずだ
「いまの状態から、さっき鏑木くんが私の後ろ回ったみたいに、今度は私が鏑木くんのこと背中からぎゅーってするの♡」
「なるほど、そういうことか♡♡ 逆だったら、紗世ちゃんの柔らかいのが当たってたかもしれないね?♡♡ そっちはまた今度してもらおうかな?♡」
反撃に出たかったのに、彼はこのままがいいみたい。
「今度でいいの?♡ 今、してもいいよ?♡」
一応、もう一度確認を取ってみる。
「ありがと♡♡ ……でもさ、紗世ちゃんがこっち来ちゃったら、画面見れないじゃん? 俺、邪魔でしょ?」
彼は腕を上げ、何も映っていない大きな画面を指した。
「今から何か観ようとしてるの?」
「そう♡♡ 今、ちょうどいい時間なんじゃないかと思うんだ。……あ、リモコンそっちか。紗世ちゃん、悪いけど電源入れてもらっていいかな?」
「いいよ。はい」
指示に従い、少し離れた場所にあったリモコンの電源ボタンを押した。
「ありがと♡♡ 」
「ちょうどいいって?」
「『観てほしいものがある』って言ったでしょ? ここってちょうどテレビの前だし、お腹いっぱいで動く気にもならないし、どうかなあと思ったんだけど…………」
振り向いたら、彼はスマートフォンを操作していた。
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