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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<37>
しおりを挟む「完全に違うとまでは言わないけど、『好き』って直接伝えたくなっちゃった…………じゃ、理由にならないかな?♡♡」
ふっくら盛り上がった涙袋のカーペットと睫毛のカーテンの先で待つ、きらきらした瞳に吸い込まれてしまいそうだ。涙の膜が少し厚めに見えるのは、興奮してくれてるせいだったらいいな♡♡
俺とは身長差が結構あるから、上目遣いがデフォルトというかそのほうが見慣れてるんだけど、こうして至近距離で見つめ合うと、ほとんど身長差のないカップルが羨ましくてたまらなくなる。
横に立ってるだけなのに、大好きな彼女とずっと顔近いのも、気軽に耳打ちしたりされたり出来るのも、背の高さが同じくらいのカップルの特権だ。
「直接って♡♡ 言葉でも他のスキンシップでもだめだった?♡♡ しかも、俺に直接じゃなくて、俺のに直接伝えたい感じ?♡」
でも、普段が遠い分、今みたいに近付いたときの喜びも大きくなる――って考えたら、案外悪くもないかもね。
「うん……♡ 『鏑木くんのためだよ♡』って言えたらよかったけど、私、そんないい子じゃないし、いちばん自信あるのが気持ちよくなってもらうことだから♡♡ ……したら、『好き』って気持ちも伝えられて、鏑木くんにも喜んでもらえるかなあと思って♡」
話す彼女は『元カレは片手で数えられるくらいで、経験人数はもっと少ないです!』みたいな純情面なのに、とんだ食わせ物だよ。
俺も俺で、なんで紗世ちゃんのこと好きになっちゃったかな。――――でも、理性でブレーキかけることが出来てたら、それはもう恋じゃないか。
彼女の性衝動も似たようなものなのかも。だったら、ある程度は仕方ないのかな。許すか否かは別問題だけど。
「そっか♡ 自信あるの?♡♡ そういうテクニック♡」
引き攣る口角を強引に上げて誤魔化しつつ、話題をさりげなくこれから深まっていく時間にふさわしいほうに誘導した。
「……一応は?♡」
「それって手で?♡ 舌のほうかな?♡」
「どっちかって言ったら、舌のほう?♡♡ …………ていうか、鏑木くんのはぺろぺろしたいと思ってて♡♡ もちろん、そういうのが好きだったらだけど……♡♡」
彼女は赤い舌先を見せた。
大胆な言葉や仕草とは裏腹に、もじもじして、頬なんて染めちゃって。今、君は頭に誰を思い浮かべたの?
何代目の奴なのかとか交際期間とかは謎に包まれてるけど、彼女に舐め技を教え込んだオトコがいたと見た。考えただけで虫唾が走るけど、複数人いた可能性も否定できないな……。
――――ああ、気に食わない。気に食わない。君を形作るすべてを愛せたらよかったのに、俺の懐はすでに底が見えている。浅い。きわめて浅い。
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