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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<34>
しおりを挟む「紗世ちゃんって……♡」
思わせぶりに言葉を切れば、彼女はゆっくり手をどけて俺を見上げてきた。何も言わないでせかすの?♡ 上級者だなあ♡
人間の男たちはお喋りが大嫌いで、黙って頷いて後ろを歩く女の子が好き――――なんて、どこかの海の魔女の歌を真に受けているわけでもないだろうに。
「…………ほんっと駆け引き上手だね?♡♡ 俺がその気ないって判断したらぐいぐい押してくるし、逆にしたい雰囲気出したら恥ずかしがるし……♡」
「……私、駆け引きなんてしてないよ?♡ 恥ずかしがってるからってしたくないわけじゃないのは、鏑木くんだってわかってるでしょ?♡」
スカートを握り締めた手が細かく震えている。そのひと言を口にするだけで、どれだけの勇気を出したのか――考えるだけでたまらなくなる。
ベッタベタに甘やかして、食傷してしまうほどのご褒美をあげたいけど、そのターンが来るのはもう少し先になりそうかな?♡
「紗世ちゃん、思ってるのと逆のこと言ったりしたりするの大得意だもんね♡♡ そういうとこも可愛いし、嫌いじゃないけど……♡ 俺は自分の欲に嘘吐けなくなってるぐらいの紗世ちゃんがいちばん好きだし、最高に可愛いと思ってるかな♡」
俺が思い浮かべているのは――もちろん、先週の彼女だ。場所もシチュエーションも同じはずなのに、俺たちの状況はあのときとはまるで違う。
「……自分の欲に嘘吐けなくなったところなんて、鏑木くんに見せたことあった?♡」
「だから、先週の今日の夜のことだって♡♡ 寝る前にベッドで横になってイチャイチャしたじゃん♡♡ あのときの紗世ちゃん、結構ギリギリだったんじゃない?♡ 止めなかったら、俺、あのまま襲われてたでしょ?♡」
「…………うん♡ 先週はね、なんか……♡ 一日一緒にいて、今まで意識してなかったところにまで目が行っちゃったというか……♡♡」
存外、すんなり白状した彼女だけど、視線は俺を離れてふらふら宙を彷徨っている。だめだめ♡ 一瞬でも他のものを見るなんて♡
「今まで意識してなかった――っていうと、こないだ紗世ちゃんが触りたがってたとことか?♡♡」
独特の独占欲を発揮しながら、彼女の視界に割り込んだ。
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