yours-夢の罪過-

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
132 / 247
“mellow time”~いつか夢で~

“mellow time”~いつか夢で~<34>

しおりを挟む

「紗世ちゃんって……♡」
 
 思わせぶりに言葉を切れば、彼女はゆっくり手をどけて俺を見上げてきた。何も言わないでせかすの?♡ 上級者だなあ♡

 人間の男たちはお喋りが大嫌いで、黙って頷いて後ろを歩く女の子が好き――――なんて、どこかの海の魔女の歌を真に受けているわけでもないだろうに。
 
「…………ほんっと駆け引き上手だね?♡♡ 俺がその気ないって判断したらぐいぐい押してくるし、逆にしたい雰囲気出したら恥ずかしがるし……♡」

「……私、駆け引きなんてしてないよ?♡ 恥ずかしがってるからってしたくないわけじゃないのは、鏑木くんだってわかってるでしょ?♡」

 スカートを握り締めた手が細かく震えている。そのひと言を口にするだけで、どれだけの勇気を出したのか――考えるだけでたまらなくなる。

 ベッタベタに甘やかして、食傷してしまうほどのご褒美をあげたいけど、そのターンが来るのはもう少し先になりそうかな?♡

「紗世ちゃん、思ってるのと逆のこと言ったりしたりするの大得意だもんね♡♡ そういうとこも可愛いし、嫌いじゃないけど……♡ 俺はの紗世ちゃんがいちばん好きだし、最高に可愛いと思ってるかな♡」 

 俺が思い浮かべているのは――もちろん、先週の彼女だ。場所もシチュエーションも同じはずなのに、俺たちの状況はあのときとはまるで違う。

「……自分の欲に嘘吐けなくなったところなんて、鏑木くんに見せたことあった?♡」
 
「だから、先週の今日の夜のことだって♡♡ 寝る前にベッドで横になってイチャイチャしたじゃん♡♡ あのときの紗世ちゃん、結構ギリギリだったんじゃない?♡ 止めなかったら、俺、あのまま襲われてたでしょ?♡」

「…………うん♡ 先週はね、なんか……♡ 一日一緒にいて、にまで目が行っちゃったというか……♡♡」

 存外、すんなり白状した彼女だけど、視線は俺を離れてふらふら宙を彷徨っている。だめだめ♡ 一瞬でも他のものを見るなんて♡ 

「今まで意識してなかった――っていうと、とか?♡♡」

 独特の独占欲を発揮しながら、彼女の視界に割り込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

処理中です...