yours-夢の罪過-

片喰 一歌

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“mellow time”~いつか夢で~

“mellow time”~いつか夢で~<29>

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「…………だから、裸になんてなっちゃったら、鏑木くんのほうまともに見れなくなっちゃうし、いつも通りに生活するとか絶対無理だよ……♡♡ だから、ね?♡ 服はまだ脱がないでおこ?♡ エッチのときはちゃんと脱ぐから……♡♡」

「ふうん?♡ そういうことなら脱がなくていいし、俺も脱ぐのやめるけど…………」
 
 静かに私の話に耳を傾けていた彼が、ベルトから手を離してくれたことに安心したのも束の間。
  
「質問にはちゃんと答えてほしいな♡♡ ……そのエッチなポーズでオトコを誘うのは、これで何回目かって訊いてるんだよ」
 
 突如、冷たい怒りを孕んだ声が空気を震わせた。

(え。そんなこと訊かれてたっけ……!?)
 
 彼は本当にそんな質問をしたのか。していたとして、私はなぜきちんと答えていないひっぱってしまったのか。気になることは多々あれど、一分一秒でも早く機嫌を直してもらうのが先決だ。
 
「こんなことするの初めて――――じゃなかったかもだけど、服着たままするのは初めて……だよ?♡♡」

「……なーんか聞き捨てならない台詞が聞こえたなあ♡ マッパでこんな恰好したことあるの?♡ いや、下着?♡ でも、どっちにしても谷間とかくびれとか丸見えじゃん♡♡ エロすぎでしょ♡」

 急いで組み立てた回答は、まずまずといったところか。

 一瞬、火に油を注いでしまったかとひやひやしたけれど、ひとまず怒りを鎮めることには成功したらしい。――――それと同時に、想像を掻き立ててしまったようだけれど。

「…………このポーズ、もし裸とか下着姿とかでされたら、鏑木くんはもっと嬉しい?♡♡」

 質問の方向性も身体の向きも少し変えてみたところ、視界が一気に暗くなった。

「そりゃ嬉しいよ♡♡ 『犯してください♡』って言われてるようなもんだし♡ 実際そう思ってるとは限らないけどさ?♡」

 彼が距離を詰めてきたせいだ。

「…………私……は……♡ 服着ちゃってるけど、『犯してください♡』のつもりでしたんだよ?♡ 鏑木くんが誘われてくれてよかった♡♡」

「可愛いこと言って、全部帳消しにしようとしてない?♡ そのポーズで他の奴誘ったことがあるのは事実でしょ?」

「そうだけど……。これから何回でもするから許して?♡♡」

 襟ぐりから覗いているであろう谷間を見せつけるように、身体を傾けた。
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