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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<22>
しおりを挟む(……まあ、いつからでもいっか……♡♡ なんにも困ってないし、めちゃめちゃ幸せだもんね)
「それで、さっきの話なんだけど……」
曲が終わると、彼はぱっと真顔に戻った。
「さっき? 何話してたっけ?」
「沢田の差し入れ見がてら、スイーツ物色しに行くかどうかって話♡♡ 俺は本当にどっちでもいいんだよ。見に行ったとして、なくてもケーキがあるし、あったらうちでビュッフェ気分味わえるし♡♡ 行かないなら、その分おうちでイチャイチャ出来るしね?♡♡」
「靴……は、鏑木くんとか他の人の足踏まないように気を付けて歩けばいいだけなんだけど……」
本当のことを言うと、高くて細いヒールは、履いて座っているだけでも足が攣ってしまいそうになる。
「俺の懐の心配?♡ おうちデートで浮いた分、御馳走するくらいどうってことないよ♡♡ ていうか、俺、生きるのに必要なお金以外は全部紗世ちゃんのために遣いたいと思ってるくらいなんだけど♡」
「えっと……ありがとう?♡ でも、今回は遠慮させてほしい……かなあ」
鏑木くんは無言を貫いている。
当然と言えば当然だ。全財産注ぎ込んでもいいとまで宣言したあとに断られたのだから、いい気はしないだろう。
心なしか空気が冷え込んだ気がした。クーラーの冷風とはまた違う、隙間風のような冷気が彼のほうから流れてくる。
「…………ご飯もデザートも美味しくて食べすぎちゃったから、夜になってもお腹空かないかもしれないし…………」
「あはは♡ 実は俺もなんだ。三食分くらい食べた気がする。……そしたら、明日になるかな。俺の出番は。満腹のところに詰め込んでも美味しくないだろうしね」
「お腹空いてるときに食べるご飯がいちばん美味しいもんね。鏑木くんのお料理も楽しみ♡♡ でも、立て続けに美味しいものいっぱい食べたら太っちゃうかな……?」
『おもてなしはありがたいけど、あんまり甘やかしすぎないでね?』とブレーキをかける気でいたのか、『ベッドの上で消費しよう♡』と誘ってほしかったのか、自分でもはっきりとはわからない。
「紗世ちゃんは今のままでも可愛いし、痩せても太っても可愛いんじゃないかな?♡♡ ……って言っても、体型は気になるよね……」
わんちゃんと手――正確には前足だけれど――を繋ぎ、前方を向く彼の次のひと言に期待を寄せた。
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