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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<17>
しおりを挟む「なんで紗世ちゃんの名前覚えてて、俺の名前は覚えてないんだよ……!!」
不満でも怒りでもなかった。鏑木くんはお腹を抱えて笑い転げている。ここまで大笑いしている彼は滅多にお目にかかれない。
「そりゃおまえがしょっちゅう連呼してたから…………」
対する沢田さんは首を傾げている。確かに私にも彼のツボはよくわからない。――――笑いも、それ以外も。
「?」
しかし、それを抜きにしても、ふたりの会話には謎が多かった。
『長い戦い』というのもそうだし、鏑木くんが以前から私の名前を連呼していたなんて。――――まるで彼が長いこと私に片想いしていたみたい。
「…………ああ! だったら仕方ないか。ていうか、半分以上俺のせいじゃんね。ごめんごめん」
「本当にな!! これからは今まで以上に聞かされる羽目になりそうだけど」
「どうかな? ……可愛すぎて話せないかも♪」
鏑木くんの手はもう腰には添えられていなかったけれど、流し目の視線は今夜の予定を仄めかしているのだろう。鮮やかな手腕で世間を賑わす怪盗の残す、気障な犯行予告のようだ。
「……!」
「自慢はさせてもらうけど、紗世ちゃんの本当に可愛いとこは俺だけ知ってればいいもん♡♡」
(自慢はするんだ…………ていうか、私のこと自慢に思ってくれてるんだ。……嬉しいな♡)
車内でお留守番してもらっているわんちゃんを抱き締められないのが残念だ。――というより、溢れ出るときめきを受け止めてくれる存在がいないのは結構痛手だ。
「おーおー。お熱いこって。……で、結局、おまえの名前はなんだっけ? 鏑木某さん?」
慣れっこなのだろう。沢田さんは鏑木くんの惚気を軽くあしらった。
(…………元カノさんたちの惚気とかも話してたんだろうなあ。……いいけど! 鏑木くんの今の彼女は私だし!)
「…………♡♡」
訊かれているのに鏑木くんは名乗ろうとはせず、私のほうへ顔を向けた。返事の早い彼にしては珍しい。
「?♡」
彼の意図は不明だけれど、好きなひとに見つめられると自然に顔が緩んでしまう。――――ので、無理に表情を作ろうとはせず、にへら、と微笑み返した。
「ねえ、紗世ちゃん♡♡ 優しい沢田に教えてあげてよ。俺の下の名前♡」
「おまえねえ……。そのくらい自分で……って、そういうことか! 策士だなあ。おれはたまにおまえが怖いよ…………」
鏑木くんの行動の真意は、沢田さんの台詞ではっきりとわかった。
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