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“mellow time”~いつか夢で~
“mellow time”~いつか夢で~<16>
しおりを挟む「いらっしゃいませ! ……って、鏑木じゃん! 久しぶりだな?」
入ってすぐ声を掛けてくれたのは、陽気で明るい雰囲気の男の人――――鏑木くんの友達だった。
鏑木くんは付き合いの長い私の前でこそ饒舌で気さくな感じだけれど、他の人の前ではあまり口数の多いほうではないし、静謐な雰囲気を醸し出している。
ふたりと並ぶと、正反対の魅力が際立って――――。
(…………この前から鏑木くんのことがすごくかっこよく見えて、まともに見れない……。私ってほんと単純……!)
「久しぶり。最近来れてなくてごめん」
まともに見れないと言いつつ、彼の横顔をちゃっかり盗み見た。申し訳なさそうに眉が下がっても、凛々しい印象はそのままだ。
「気にすんな。おまえも忙しいんだろうし。……あ、和泉さんも一緒か。いらっしゃい!」
「どうも。ご無沙汰してます」
「ふたり、ずっと仲いいよな! 恋人より理解し合ってる感じ。上手く言えんけどさ」
その人は私たちと交互に目を合わせ、ガハハと笑った。
「!」
探りを入れたわけではなく、天然で私たちの関係性を言い当てられ、わずかに目を見開いた。
「♪」
鏑木くんはどう答えるだろうと視線だけ動かすと、すでに私の様子を窺っていた彼と目が合った。
「……恋人より理解し合ってる風に見える?♡♡ でも、恋人だよ?♡ 俺たち、一週間前から付き合ってるの♡♡ 報告したのは沢田が初めてだけど!」
――――少し。ほんの少しだけ期待していた。近況報告のついでに、恋人として紹介してくれることを。
しかし、彼は予想以上にはっきりと、なおかつ幸せそうに、私たちのことを堂々と報告してくれた。腰に添えられた手が少し気になったけれど。
(外国ならともかく、ここは日本なんだけど……! ていうか、鏑木くんってこんなラテンなノリのひとだったっけ!? …………あ、そっか。沢田さんとは私よりずっと古い付き合いだから? ……内弁慶で可愛いかも♡♡)
「マジか!? そうか……。そうかあ……! よかったなあ、鏑木!! 長い戦いだったなあ…………!!」
沢田さんは今にも泣き出しそうだ。随分と涙もろい人らしい。
「ありがと。ずっと応援してくれてて。いい報告ができて俺も嬉しい」
気のせいでなければ、鏑木くんの声も少し鼻にかかっている。
「?」
「うっし! そうとわかりゃ、サービスしてやるよ! アニバーサリーケーキ特別バージョン。『一週間記念』じゃ恰好つかんから、プレートに書くのは名前だけにしとくな! 確か、和泉さんの下のお名前は紗世さんだったよな!!」
にこにこの沢田さんがこちらを向いて問いかけてきたけれど、どちらかというと確認だった。
「あ、はい! そうです」
「…………で、鏑木…………の下の名前は――……ごめん。なんだっけ?」
そのあとすぐ鏑木くんに向き直った沢田さんは、腕を組んで考え込んでしまった。
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