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仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<54>
しおりを挟む「ええっ!? 私、鏑木くんにひどいことなんてしたくないよ?」
慌てながらも俺に合わせて囁き返した紗世ちゃんは、可愛いなんて言葉では言い表せないほど。ふたりっきりだったら迷わず吸ってた。
……いいな、紗世ちゃん吸い。髪を掻き分けて頭皮に鼻を押し付けても、いい匂いしかしないんだろうな……って、我ながら気持ち悪いな。
「鈍感さんだなあ♡♡ SMプレイのお誘いなのに♡ もちろんソフトなやつね♡ じゃないと俺も本気で泣いちゃうから! 実は前から好きな女の子にリードされてみたかったんだよね……♡♡」
「やっぱり、さわやかな顔してむっつりさんなんだ?♡♡ ……でも、考えてみれば、男の人ってリードすること多くて大変そうだね?」
「わかってくれる? 結構体力使うんだよね~。もちろん女の子がサボってるとか言いたいわけじゃないけど、たまには休憩したいなあ……みたいな」
大袈裟にため息をついて、『ぴえん』の絵文字みたいな顔で同情を誘ってみたら――――。
「……気が向いたらね?」
彼女はぼそぼそと了承してくれた。視線が明後日の方向を向いてるのは、恥ずかしいからだよね♡
「やった♡♡ でもさ、俺、知ってるよ?♡ 紗世ちゃんが『気が向いたら』って言うのは、確定演出だって♡」
「もう♡ ゲームじゃないんだよ?♡ ……まあ、それはいいけど……。ひとつだけ言わせてもらってもいい?」
一瞬にして、きっ、と眉と目尻を吊り上げた彼女だけど、よく見たら瞳を潤ませている。
「お願いだから、そういうことはふたりっきりのときに言って……!!」
妄想して興奮しちゃったのかと思ってたけど、原因は羞恥心だったらしい。でも、さっきまでは満更でもなさそうだったのに、急にどうして?
そういえば、目を凝らさなくても可愛いお顔がはっきり見えるし、誰もが憧れる魅惑の美白なお肌だって――――。
「…………あ」
周囲は明るくなっていた。俺たちはお化け屋敷を無事に出てきたらしい。
幸い、周囲は人もまばらだったけど、お化け屋敷の中だって公共の場には違いない。今後は家の外ではおとなくししていようとこっそり誓った。
時は流れ、あっという間に別れの時間になってしまった。
「送ってくれてありがとう」
ぬいぐるみを抱き締めた彼女は、家の前でぺこっと頭を下げた。
「このくらい当然だって。2日間楽しかったよ。お付き合いありがとう♡♡」
「! 私も! すっごく楽しかった!!」
強調した単語で忘れ物に気付いたのか、少しだけ崩れたメイクの彼女が頬をぽっと染めた。ありがとう、廊下の電灯。
「よかった♡」
「…………それで、告白の返事なんだけどね?」
友人たち曰く『鏑木の真顔は怖い』とのことなので、余計な圧をかけないよう、こちらも薄く笑みを浮かべて待つ。意識しなくたって、この子の前ではデレデレだとは思うけどね。
「私、この土日で鏑木くんのこと……すごく好きになっちゃったみたいで……。お詫びとかじゃなくて、私と付き合ってほしいなって…………!!」
すべて言い切って、ぎゅっと目を瞑った彼女の額にキスをした。告白したのは俺なんだから振るわけないのに、怖くなっちゃったのかな♡
「そっか♡♡ ありがとう。俺も昨日今日でもっと紗世ちゃんのこと好きになったよ♡ 期間限定じゃなくて、これからは恋人としてよろしく♡」
差し出した右手を彼女はすかさず握ってくれた。
「…………手は何回か繋いだけど、握手は初めてだね?♡」
「だね。これからも一緒にたくさんの『初めて』、経験していこうね♡♡」
あえて声を潜めて言うと、どういうことか素早く察知した彼女の頬が再び桃色に染まる。
「……うん♡」
俺たちは結局、隣の部屋の人(※大学生くらいの派手めなギャルだった。男じゃなくて心底安心した)が帰ってくるまで、無言で握手をしている怪しい男女と化していた。
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