97 / 171
仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<53>
しおりを挟む「そうかなあ? 鏑木くんみたいな非の打ち所ないひとのほうが、案外えぐいフェチ持ってたりしない?♡」
横目で見てくる彼女の瞳はいつもの半分程度の縦幅なのに、可愛さが少しも損なわれていない。
「え~?♡♡ 俺って、そんなミスター・パーフェクトかなあ?♡ 紗世ちゃんにそう思ってもらえるのは嬉しいけど、ご期待に添えるようなハードな嗜好はないよ?♡」
どきりと大きく心臓が脈打ったのを隠すように、声が大きくなる。
特殊性癖はない――――と自分では思ってるけど、昏睡状態の彼女をレイプした挙げ句、一部始終を収めたハメ撮りまで残しているのは事実だ。
『つい出来心で……』って常套句も、今までの俺だったら『絶対に計画的犯行でしょ』って鼻で笑ってたと思うけど、同じ穴の狢になった今ならわかる。あれ、本当なんだろうなって。
「え~?♡♡ ほんとに?♡♡」
彼女は俺の真似っこをして言う。
――――ああ、なんかいいな。こういうの。自然体でいられるけど、ドキドキもして。『ずっとこういう恋愛がしたかった』って理想が君と過ごしてるだけで全部叶ってる気がする。
こんな相手、君を逃したら絶対に現れないだろうし、そんな理由なんてなくたって、俺は君がいい。紗世ちゃんじゃないと嫌だ。
このまま秘密にしておけば、俺たちはたぶん、一生を通して仲良くしていられるんじゃないかと思う。
もしかしたら、喧嘩自体しないって感じではないかもしれないけど、その都度ちゃんと謝って、すぐ仲直りして……みたいに。
(いつ打ち明けるのがいちばんいいかな。出来るだけ早いほうがいいんだけど)
無邪気な笑顔と純粋な好意を向けられるうちに本当のことを打ち明けるのが怖くなってきたのも本当だし、黙っていることも出来るけど、それはしないし、したくない。
「…………あ♡ それじゃあさ、いつでもいいから俺のこといじめてよ♡♡」
何はともあれ、今考えるべきことでないのは確かだ。思考を中断して会話に復帰した。
物音がした地点からはだいぶ離れたけど、この近くにも人が隠れていそうな暗がりは多い。脅かし役の人が配置されてたら申し訳ないし、彼女にだけ聞こえるようにひそひそと。
この喋り方、喉に負担かかるだけじゃなくてびっくりするくらい喉渇くから、ここ出たらパフェかなにか食べに行かないか提案してみよう。
小さいお口いっぱいに甘いものを頬張って幸福に浸る彼女も見れるし、一挙両得だ。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる