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仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<50>
しおりを挟む「……あ、ごめんね。違うの! ちょっとよくない言い方だったよね? 鏑木くんのせいとか嫌だったとか言いたいわけじゃなくて……!」
煩悩を必死で抑えてて相槌も打てなかっただけなんだけど、不機嫌になったと思っちゃったのかな?
「じゃあさ、夢の俺はどうだった?♡ 紗世ちゃんのこと『可愛い可愛い♡♡』ってしてた?♡ ……って、これじゃ代わり映えしないいつもの俺か♡♡ 意外性なくてつまんないね?♡」
さっきまでより大きな――といっても普段喋っているときと同じくらいの――声であたふたと弁解する彼女になるべく優しく声を掛けた。
「…………ううん。夢の中の鏑木くんは、いつもの鏑木くんって感じじゃなかった…………」
「どんな風に違った?」
「そう、だなあ……」
「どう言おうって迷ってる? 紗世ちゃんの感じた通りに教えて?♡」
現実の俺と酷似してた場合、その評価まで聞き出せるってことだ。そんなの聞くっきゃないよね。
「………えっと………」
言い淀む彼女を本当は急かしたかったけど、そんなの全然優しくない。安心して話してもらうためには、いつもの俺らしさを減らしちゃうのは悪手だ。
神経を研ぎ澄ませて、待機モードで暗闇の中を一歩、また一歩と進んでいく。
「いつもの鏑木くんの感じだったら、エッチのときも『ここはどう?』とか『しんどくない?』とか気に掛けてくれて、『可愛いね♡』、『好きだよ♡♡』みたいにコミュニケーション取ってくれると思うの……」
やっと話し出してくたはいいものの、彼女のイメージする俺は俺の想像以上に甘いみたいだった。
「でも、夢の鏑木くんはなんにも言わなくて……。別の人…………みたいだった……」
「無口な俺……か。確かに別人だね。紗世ちゃんはどう思った?」
「すごく悲しかったし、すごく寂しかったよ…………」
声を震わせた彼女が心配でちらっと窺った俯き加減のお顔は、今にも泣き出してしまいそうだった。
「……いつもの俺とどっちが好み?」
抱き締めたいのを我慢して、答えのわかっていることを訊いてみたら――――。
「いつもの鏑木くんがいい……」
彼女が俺の腕にぎゅっとしがみついてきた。ボリュームのあるおっぱいが当たっちゃってる。当然と言えば当然だけどね。
間に下着と服が挟まって盾になってくれてるおかげで本来の感触は抑えられてるけど、当てているを通り越して押し付けているといってもよさそうだ。
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