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仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<42>
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「鏑木くん、怖いの? 怖かったら、私に掴まってていいよ?」
料金を払って、お化け屋敷の中に入って数分。あろうことか、俺は彼女の半歩ほど後ろをついていく形になっていた。
「手だけじゃ心細いかな? 肩でも腰でも抱いてくれていいよ?」
「紗世ちゃん爆イケすぎない……!? 全国の乙女たちが恋に落ちちゃう……! けど、その発言はちょっと危ういっていうか、紗世ちゃんの細い腰なんて抱いたら別の意味で元気になっちゃいそうっていうか…………」
――――正直、舐め腐っていた。
今は遊園地でなくてもお化け屋敷単体で楽しめる施設が全国にあるらしいということは知ってたけど、ここまで本格的だったのは計算外だ。
そういえば、その道で有名な人がプロデュースしたってサイトに書いてあったような……。
「んー。確かにここは雰囲気満点だけど、そういうことする雰囲気じゃないよね。廃校をテーマに作られたセットだし。私はもっと清潔でラグジュアリーなとこでするのが好き♡」
対する紗世ちゃんは楽しそう。さらっと好きなシチュエーションまで暴露しちゃってるし、相当満喫してない?
「へえ♡♡ 紗世ちゃんはそういうのが好きなんだ♡♡ 参考になる…………じゃなくて! いや、めちゃくちゃ参考にはするけど!」
「うん♡ いいとこ、連れてってね?♡」
一瞬だけ怖いのも忘れて返事した俺がおかしかったのか、口元を隠して笑ってる。やっぱり可愛いなあ……。
「楽しみにしててほしいな♡♡」
それなのにこんなに頼もしいとか最強のギャップ萌え。全世界の人に惚れられてないのが不思議。
「ちなみになんだけどさ……。ゾンビはだめなのに、なんでお化けは大丈夫なの…………?」
「え? ゾンビとお化けは全然別物でしょ? 同一視するのは逆に難しいんじゃないかなあ?」
首を傾げる彼女の言葉に俺も同じ方向に首を傾げた。
「実体の有無的な意味で?」
ハロウィンのコスプレとしてはどっちも定番だし、ホラゲの敵としてもツートップ疑惑(※俺調べ)浮上してるくらいお馴染みの組み合わせなんじゃないかと思うんだけど、彼女の見解は違うみたい。
「そこは気にしたことなかったけど、確かにそれも違いのうちだよね……。なるほど、勉強になる……!」
あーあ。ゲーセンではゾンビバスターとして尊敬の眼差しで見てもらってたのが嘘みたい……。
というか、別人すぎないかな。こんなことで幻滅するような子じゃないのは知ってるけど、どうにか名誉挽回したい。
っていっても、苦手なものは苦手なんだよ……!
「でも、何回考えても、私はお化けはそこまで怖くないかなあ」
彼女は床に飛び散った血痕を大きく避けた。偽物ってわかってても避けちゃうのわかる。あと、手は繋いだまま避けてくれたのが地味に嬉しくて、怖さも少し紛れてきた。
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