70 / 272
仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<26>
しおりを挟む「……それとも、もう俺とはそういうことしたくなくなっちゃったのかな。だったら、残念だけど仕方ないか……」
他にもいくつか、彼女と彼氏彼女の距離感で接してみて初めてわかったことがあって――――。
そのうちのひとつとして挙げられるのが『この子との駆け引きは特に、引き際の見極めが重要になってくるらしい』ってこと。
具体的には一回思い切って押して、そのあとすぐに引いてみるのがちょうどいい塩梅で、今はその仮説を立証するために、しゅんとした顔で残念そうに呟いたところ。
「ううん! したいよ♡♡ したい…………けど……♡♡」
彼女は思った通りに自分の気持ちを打ち明けてくれた。
こんな小手先のテクニックを使ったのが申し訳なくなっちゃうくらいに正直でシンプルな回答だ。
「お名前呼ぶのは、まだ恥ずかしい……♡ ていうか……何回も連呼しなくても、もうなんの話かわかったから…………っ♡♡」
頬だけじゃなくて耳のほうまで染まっちゃってる。
だいぶ想像力が豊かなのは君も同じみたいだから、ベッドインしたら言葉でもたくさん辱めないといけないね♡♡
「先生プレイのときは『鏑木先生♡』でも『先生♡』だけでも好きにしてくれたらいいと思うけど、それ以外のときだったら、『千尋♡』って呼んでほしいんだけどな……♡♡」
今の俺は先生でもなんでもないけど、来るべきときのために今から教育しておくのも一手かもしれない。
「え? 呼び方気にするんだ? 意外!」
「そうだよ?♡ だから、俺のほうもなるべく希望に副いたいと思ってるんだよね。紗世ちゃんはなんて呼ばれたい?♡ いつもみたいに『紗世ちゃん♡』がいい?♡♡ それとも、エッチのときだけは呼び捨て希望?♡♡」
無邪気な彼女はただそれだけの質問にも照れて、ついに口を覆った。
いい感じにピン留めされてた視線も、助けを求めるみたいにあっちこっちに彷徨い出したから、顔をもっと近付けて、視線も意識も強引に独り占め。
「…………え♡ ええっと……♡」
「ああ♡♡ 急いで答え出さなくてもいいよ?♡ そのときになったら教えてくれれば♡ でも、それまでにちゃーんと考えておいてね♡♡」
「……うん。そのときは、ちゃんと言うね?」
頷いた彼女の中では、すでに明確な答えが出ているのかもしれない。
そう遠くないうちに来るであろうそのときを楽しみに、にっこり笑って頷き返した。
1
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。


マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ナイトプールで熱い夜
狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…?
この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる