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仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<25>
しおりを挟む――――いけない。またトリップしかけてた。
ひとりのときとか、くだらない噂話とか聞いてるときとかだったら、どこに意識飛ばしてもいいと思うけど、好きな子と一緒にいるときにまで発動しちゃうのは困りものだ。
ステータス異常とか生まれつき持ってる呪いみたいなものかな……なんて、ゲーム脳すぎるね。
「苗字がだめとは言わないけどさ、なんかちょっとよそよそしいし、ちぐはぐじゃない?」
会いたいときに必ず会えるとは限らないけど、ちゃんと触れることが出来て、決められた返しじゃなくて自分の気持ちを自分の言葉で伝えてきてくれる彼女に問い掛けた。
会いたいときに会える確率を限界まで引き上げて、心身ともに誰より近付くためにも、なんとしてでも正式な恋人に昇格して、ゆくゆくは旦那にもならないと。
「ちぐはぐ?」
俺としてはいいヒント出せたと思ったんだけど、わからなかったみたい。上がった語尾が可愛らしい。
ていうか、お顔の周りにクエスチョンマークなんてあったら、そっちにも意識持っていかれそうだから、やっぱりなくていいや。
「…………だって、エッチのときは下の名前で呼び合いたいじゃん♡♡ 紗世ちゃんは、俺と幸せも愛もいっぱいのイチャイチャエッチしてくれるんじゃなかったの?♡」
「え……っ!?」
程好く上がった睫毛をぱちぱちさせているところは、某ネズミのスーパースターの永遠の恋人ちゃんみたい。あの子の睫毛、チャームポイントだよね。
初期の作品だとスーパースターが動物たちに鬼畜だったり、彼女にセクハラまがいのこと(というか完全にセクハラ)してたりしてるんだけど、恋人ちゃんも彼にやられっぱなしじゃなくてちゃんと態度でNOって突き付けてて、そういうはっきりしてるところもちょっと似てるな……なんて、ひそかに思ってたりもして。
つい最近も彼女にぴったりなカチューシャが出てたし、そろそろあのテーマパークに誘ってみてもいい頃かもね♡
もしかしたら先に違うお城に行くことになるかもしれないけど♡♡
「忘れちゃった?♡ 前に理想のエッチの話したでしょ♡♡ エッチのときも思いっきりイチャイチャしたいタイプって言ってなかったっけ?♡♡」
「!!」
ここ数日の間に気付いたんだけど、彼女は俺の顔が一定以上近付くと、目を逸らすことが出来なくなるみたい。
見惚れてるのか彼女のこだわりなのかはわからないけど、それを利用するために顔を少し近付けたら、案の定、恥ずかしそうに盛んにまばたきしながらも、潤んだ双眸に俺だけを映してくれている。
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