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仮初恋人遊戯
仮初恋人遊戯<20>
しおりを挟む「こんな公衆の面前でおっ勃てちゃうところだったってことだよ♡ もしそうなってたら、責任取ってくれてた?♡♡」
あちこちから聞こえる騒音の中で、この空間においては異質な不健全さを纏った台詞だけがやけにクリアだった。
「!?」
色んな音がぶつかり合って不協和音を奏でているというだけでも頭痛がしてきそうだというのに、軽率に頭痛の種を増やさないでほしい。
「あはは♡♡ 固まっちゃった♡ ごめんごめん♡ 見てもらえばわかると思うけど、セーフだから♡♡ ね?♡ ほら、なんともない♡♡」
流れるように手を取った彼が、下半身に一瞬視線を送る程度で済ませてくれる気がないらしいことは明々白々だった。
今さらかもしれないけれど、私が好きになったひとは想像以上にぶっ飛んでいたらしい。
『愛情表現が少々大胆』と言えばいいのか、『言動がふとした瞬間に変態的になる』と言えばいいのかわからないけれど。
「こ、こんなところで堂々と確認できるわけないでしょ……っ♡♡」
直接そこを確認させようとしてくる少しだけ強引な手を振りほどいたけれど、彼は不気味に思えてくるくらいさわやかな笑顔を崩さない。
「確かに♡ ふたりっきりだったら、見るどころか触って確認できたもんね……?♡♡」
「い…………まだって、触って確認させようとしてたでしょ……♡」
「昨日の夜、触りたがってたからどうかなって思ったんだけど♡♡ 確認してくれないの?♡ 俺、頑張って我慢したんだけどなあ♡♡」
「触りたくないわけじゃないけど……! さすがにこんなところじゃ無理…………!!」
「女教師風のカラダのラインが出るブラウスとタイトスカートも似合うだろうし、制服も捨てがたい……♡ ブレザーとセーラー服でも迷うなあ♡♡ 印象を決めるニーソの色も大事だよね♡ 白に紺に黒に……♡♡」
あくまで場所の問題なのだということを強調すれば、彼は笑みを深めて続きを語った。
「待てよ? ニーソじゃなくてハイソか! そうだそうだ。なんかおかしいと思ったら、言い間違えてた! あれも可愛いけど、スカート短くしないといけないから、紗世ちゃんに履いてもらうにしても、ふたりっきりのとき限定にしないと……」
よくそんなアイディアがぽんぽん浮かぶなあ。
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