yours-夢の罪過-

片喰 一歌

文字の大きさ
上 下
63 / 272
仮初恋人遊戯

仮初恋人遊戯<19>

しおりを挟む

「鏑木くんの考えてくれたのはどれも全部可愛かったし、着たいなって思えて……。これからも毎シーズン見立ててほしいくらい!」

 よく見たらほっぺが赤くなってる気がする。外暑かったから、まだ熱も完全には引かないよね。
 
 ……なんて。俺だってそこまで鈍感じゃないから、理由がそれだけじゃないことはちゃんとわかってるよ。 
 
「ほんと?♡ 俺でよければ見立てるよ♡ 買い物も付き合うしさ♡♡」

「いいの?♡♡ じゃあ、今度秋物見に行くときもついてきてくれる?♡」

「OK! ご飯のときにスケジュール調整しようね」

 ちゃっかり次のデートの約束を取り付けて、肩に掛かったカーディガンに視線を落とす。
 
 いかにも女の子って感じの甘めなデザインのそれは彼女によく似合っているし、文句をつけたいとかじゃない。

 でも、ガーリーでスウィートなイメージを背負っている子だからこそ、カジュアルでボーイッシュなデザインも映えるんじゃないかって俺はひそかに思ってる……というか、『yours』の服を着てほしいだけなんだけどね。
 
 昨日か一昨日のあれ? あれは彼女の意志じゃなかったでしょ。
 
 欲を言えば俺の好きなものを好きになってほしいし、そのうえで着てほしいんだよ。
  
 目下の目標は全身『yours』のペアルックで歩くこと(だし、イチャイチャしながらどれ着るか選びたい)なんだけど、さすがにそれは難しそうだから……。

 フーディーだけお揃いで買って着るくらいが現実的な落とし所になってくるのかな?

「……というか、話してたら気付いたんだけどさ、先生って学校の先生だけじゃなかったね♡♡ お医者さんとかもありえるし♡ ってことは、ドクターとナースとかだってありだよね♡♡」

「えっと……? 鏑木くんは『先生』って呼ばれたいの?」

 ようやく目が合った彼女は、困惑気味の上目遣いで確認を取ってくる。

 一回聞けただけでも儲けものだと思ってたのに、二回目があるとはね♡ 望外の喜びってやつかな?

 


<紗世side>


「どうなんだろうね?♡♡ 今まで一度もこんなことなかったんだけど♡ 紗世ちゃんに『先生♡』って言われたとき、かなりのは本当♡」

「…………危ない……?」

「……ほんとは薄々勘付いてるんじゃない?♡♡」

 彼は本当に人の――私の、かもしれないけれど――気を引くのがうまい。その発言にこそ危険な香りを感じたけれど、好奇心には抗えなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜
恋愛
萌香は、27歳のバリバリのキャリアウーマン。大学からの親友美波に誘われて、未成年者不可のナイトプールへと行くと、親友がナンパされていた。ナンパ男と居たもう1人の無口な男は、何故か私の側から離れなくて…? この作品は、「小説家になろう」にも掲載しております。

処理中です...